拙著『要塞化する琉球弧』第4章から引用
「日米安全保障協議委員会(2+2)で確認された馬毛島の自衛隊基地化
ここでいう日米合意とは何か。これは、2011年、日米安全保障協議委員会(2+2)の決定である。種子島の自治体や住民たちへ、事前の打診さえもない、完全な頭ごなしの決定だ。
「日本政府は、新たな自衛隊の施設のため、馬毛島が検討対象となる旨地元に説明することとしている。南西地域における防衛態勢の充実の観点から、 同施設は、大規模災害を含む各種事態に対処する際の活動を支援するとともに、通常の訓練等のために使用され、併せて米軍の空母艦載機離発着訓練の恒久的な施設として使用されることになる」
また、2019年4月19日、日米安全保障協議委員会でも再確認された。
「閣僚は、昨年の厚木飛行場から岩国飛行場への空母航空団部隊の移駐を歓迎した。米国は、新たな自衛隊施設のための馬毛島の取得に係る日本政府の継続的な取組に対する評価を表明した。同施設は大規模災害対処等の活動を支援するとともに、通常の訓練等のために使用され、併せて、米軍 による空母艦載機着陸訓練(FCLP)の恒久的な施設として使用されることになる。米国は、恒久的なFCLP施設が米軍の安全な運用及び訓練に大いに貢献することになると改めて表明した。閣僚は、可能な限り早期に当該恒久的な施設の整備を完了させるために、緊密に取り組む意図を表明した」 (以上外務省サイトから)
長文の引用を了承してほしいのは、この日米安全保障委員会の決定内容を正確に理解してほしいからだ。ここには、明確に――
「新たな自衛隊の施設のため」「南西地域における防衛態勢の充実の観点から、 同施設は、大規模災害を含む各種事態に対処する際の活動を支援するとともに、通常の訓練等のために使用され、併せて米軍の空母艦載機離発着訓練の恒久的な施設として使用」と明記されている(2019年決定もほぼ同様)。
つまり、馬毛島の軍事使用については、自衛隊が主に使用、米軍も使わせて貰う、ということなのだ。
これは、防衛省が公開するホームページにも、全く同一内容が記載されている。次頁・次々頁図にその一部を掲載しているが、全文は「国を守る」という防衛省サイトに掲載されている。ここには――
「他の地域から南西地域への展開訓練施設、 大規模災害・島嶼部攻撃等に際しては、人員・装備の集結・展開拠点として活用、 島嶼部への上陸・対処訓練施設」(3頁)と。
ここでいう「大規模災害」は単なる口実である。
つまり、馬毛島は、南西シフト態勢の主として「事前集積拠点」であり、「島嶼防衛戦」の「上陸演習拠点を兼ねた訓練施設」として、多用途の活用が目論まれているということだ。
最新の報道では、ここに空自のF15、海自のP3C、そして、今後の配備予定のF35B(ヘリ空母「いずも」改修による本格空母への搭載)などの「南西航空拠点基地」を造ることも発表されている。
先述の「薩南諸島の防衛上の意義」という文書から見ると、主として馬毛島は航空兵站拠点であり、奄美大島は海上兵站拠点(ヘリ輸送拠点を含む)ということだ。」
(第4章 南西シフトの事前集積・上陸演習拠点――馬毛島・種子島――メディアが隠蔽する自衛隊基地化)
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