ごろにゃん御殿からの便り。

猫と写真と映画と読書とハンドメイドのある暮らし。

「グレアム・グリン 毒殺日記」を読む

2006-09-30 | 
グレアム・ヤング 毒殺日記 (単行本(ソフトカバー))

アマゾンでは、在庫なしのようだ。

先日、図書館でこの本を見つけて、借りる。
だいぶ前、日本で、このシトをパクって母親に毒をもっていた女高生事件があったが、グレアム・グリンの事件のことは、だいぶ前、映画「毒殺日記」でみて、なんとなく記憶にあったが、印象に残るよーな映画でもなく、女高生のその事件がなかったら、思いだしもしなかっただろうし、興味もなかった。

映画でみた作品の原作は、ほとんど読むきがしないからだ。

この本は、タイトルは「グレアム・グリン 毒殺日記」だが、別にグレアムの日記をそのまま著作物にしているわけではない。
日記は、ひとつもでてこない。 (※裁判で日記が登場した時の引用では、部分的にでてくるが。)
タイトルから判断して日記が読めるのだと思ったのだが、最初から最後まで、グレアムのドキュメンタリーものだった。

しかし、おもしろくて、途中でやめることができず、読んでしまった。
目が疲労とドライアイで充血してやばいなと思いながら、やめられず。

もし、数カ月前にこの本を読んだら、また今と違う感想だったというのも、意味深い。

アスペルガー症候群という発達障害を知ってるだろうか?
専門家ではないので、やたらなことはいえないのだが、グレアムの幼い頃からの特徴を読んでいくと、あの症状にすごくあてはまる。
グレアムは、たまたま毒物と死に、強く関心をもってしまったが、これが、別の方面に関心をもったら、その道の学者や専門家にだってなりえた知能だ。

アスペルガーのことは、かなり昔、知人に聞いたことがあり(身内の者がこの病気だといってた。)、たまたま数カ月前、図書館で本をみつけて、数冊読みあさったのだが、なかなか興味深かった。
知人に聞いた時には、関係ない聞いたこともない病気という程度で、忘れていたのだが。

自閉症で、特定なことに、高度な才能を発揮するひとがいるというのは、なんとなく知っていたが、まさにそれの系統である。

ビル・ゲイツやアインシュタインも、その傾向と推測されると書いてた精神科医のヒトもいた。
日本でも詩人や音楽家やさまざまな場所で才能発揮して活躍しているひとがいると。(名前は忘れたが。)

そーいうのをふまえて、この本を読むと、当人にも周囲にも、グレアムの異常な関心をとめることが無理難題なのがよくわかる。いったんもった興味には、執着して、とことんこりかたまるのだ。
独学で少年時代からすでに毒物に精通し、最初は、ネズミや猫などで実験していたというから、おそろしい。

後に、周囲の人間をターゲットにするわけだが、別に相手に恨みも憎しみもないのだ。同時に、親愛という感情もないのだろう。

しどいことをしたこともないのに、毒を盛られるなど、たまったものではない。
それどころか親しくされたり親切にしてもらったしとたちに、ためらわず毒いりお茶をのます。
一気に殺害するのでなく、徐々に毒で弱っていくのを、観察しているというとこに、すごみがある。

グレアムは、義母を毒殺し(徐々に毒をもり弱らせて殺害)、父やおばなど身内に次々毒をもり、14歳の時、逮捕され医療刑務所にいれらるのだが、何年後かに(7~8年か?)、出所する。
もし、これが治らない病気とわかっていたら、出所させず、その後の、毒殺事件も起こらなかったのだ。

出所後、過去を伏せて仕事につき、そこで同僚などに、毒をもりはじめる。
死者もでる。

くだんの母親に毒をもった少女も、母親を憎んで苦しめてやろうという気持はなかったんだろなと、グレアムのドキュメンタリーを読むと思う。

病気自体は、古くからあったようだが、知られるようになったのは、最近のようだ。
長崎のしゅんちゃん殺人事件の少年や長崎佐世保の同級生をカッターナイフで殺害した少女も、この病気だそうだ。

人間の奥深い不思議さを、つくづく思う1冊である。


断っておくが、アスペラガー症候群のヒト イコール 犯罪者 ではない。
あたりまえだが。



ところで、10月4日ごろで、アクセス不能になる予定。復帰は、いつか不明。
新しいブロバイダーからの登録書類まだ届いてないし、それから送ったりなんやかやと1週間以上は、かかるのか?


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
興味深い (にあ)
2006-10-03 11:15:30
犯罪がらみではないんですが、以前に興味があって「ウィリアムズ症候群」のことを調べたのを思い出しました。

(ウィリアムズ症候群は、第7染色体の部分欠損による障害と、近年の研究で解明されているそうです)



リンク先の「アスペルガー症候群」を読んだだけですが、「非常に不器用」だったり「年少や年配の友人を好む」こと「単純な計算が苦手」などに、共通点があったからです。



逆にまったく違う部分もあり、アスペルガーの子は対人の協調が難しいようですが(読み方が浅いかもしれませんが)、ウィリアムズの子は自分と他者との境界がなく、激しい感情移入をしやすいらしいです。



つまり、泣いている子がいると自分も同じように泣いてしまうし、痛がってしまったりする。本を読めば主人公と同じ“体験”をし、暗い音楽を聴けば過剰なほどに影響をうけ、明るい音楽だとその逆、のように。



私が興味を持ったのは、染色体の部分欠損、というひとつのことが、その人の特徴(ウィリアムスの子は、外見にも共通点が多い)や性格まで決定づけているということです。



アスペルガーの原因はまだ解明されていないようですが、なんらかの欠損または過剰によるものという可能性もあるかもしれませんね。



興味本位という言葉は悪いものですが……いずれにしろ、興味をかきたてられます。私も文献を探してみようかな。
返信する
ウィリアムズ症候群 (管理人)
2006-10-03 20:45:50
にあさん、いらっしゃいませ。



あ、その線もあったですね。

その染色体異常も、犯罪者の中には、かなりの率で多いと、精神科医(名前忘れた)が書いてた本読んでいたの思いだしました。



本のタイトル思いだせない。

「子どもを殺す子どもたち」だっけなあ?(福島章著)

読んでしまうとすぐ忘れてしまうので、違うかもしれんけど、激昂しやすいというよーなシトに多いと読んだような記憶が。



アスペルガーのシトは、気に入ったことに固執するという傾向がある特徴から、ヤングの毒薬に関して一方的に、しゃべりまくるというよーなとこから、それかなと思ったりしたのですが、素人なので、あくまで勝手な推測です。



最近では、その染色体異常も疑って検査する(犯罪者に)よーになってきてるとか読んだの思いだしました。(すっかり忘れてた)

勿論、それ、イコール犯罪者というわけではないので、ふつーに社会生活してるシトは、検査などしないだろうし、機会もないでしょうが。



にあさんも、機会があれば、是非この本読んでみてください。なかなかおもしろいです。



なんでそう残酷なことできるのか?と思うと、犯罪者の人格分析に関心もってしまう。



にあさんとは、昔、某ネットで、ある本をめぐってバトルした間がらですね。

本の話題に、つきあってもらえるよい仲間に再会できて、うれしい。
返信する