2022.5.5追記
吉田誠一さんのホームページの情報によると5/2に9.9等という観測があったそうです。
予測よりかなり暗くなってしまったようです。
追記終わり
ゴールデンウイーク中にパンスターズ彗星 (C/2021 O3)が明るくなるかもしれないと予報されていました。
2021年7月26日に地球に衝突する可能性のある地球近傍天体を発見するパンスターズ (Pan-STARRS, Panoramic Survey Telescope And Rapid Response System)計画の望遠鏡による自動掃天観測で発見された彗星です。
残念ながら「南半球では、4月半ばに超低空で観測できたが、7.6等以下で見えなかった (4月19日、Chris Wyatt)。写真でも9.0等以下で写らなかった(4月22日、Michael Mattiazzo)。」と吉田誠一さんのホームページに記載されていました。
太陽に最も近づいたのが4/21でその時の太陽からの距離(近日点距離)は0.29天文単位(太陽と地球の平均距離が1天文単位)でした。
水星の軌道の内側まで入り込んでいるので、最接近前に太陽の熱であぶられて崩壊してしまったのかもしれません。
ステラナビゲータVer8.1というソフト(有料)でシミュレーションしてみると今日の日没後、西の低空に何とか見えるはずでした。
(参考:ステラナビゲータの最新は11ですが8.1でもWindows10で動きます)
尾の見え方は実際にどのくらい伸びているかで変わってきます。
0.1天文単位まで伸びていたら19:40にはこんな感じに見えるはずでした。
マス目は角度の10度です。
0.3天文単位まで伸びていればこんな感じになるはずでした。
下側に月齢1.3の月が出ているのが目安になります。
また、月とパンスターズ彗星の間にある星の集まりはプレアデス星団(すばる)です。
明日はこんな感じになるはずでした。(0.1天文単位の尾の場合)
全光度(尾を含めた全体の明るさを1点の明るさにした場合の光度)で5.6等という計算なので肉眼では無理ですが写真には写るかもしれないと考えていました。
予報よりも暗そうなので写真にも写らないでしょうね。
残念です。
次に明るくなりそうなのはZTF彗星 (C/2022 E3)で来年の2月に地球に接近して5等級になると予報されています。
こちらは近日点距離が1.1天文単位なので崩壊の恐れはないのと条件が良いので見やすいはずです。
最も明るくなるころは月あかりの影響があるので夜明け前にならないと本来の姿を見られないようです。
残念なのは太陽に近づかないのでチリの放出が少なく立派な尾を引く可能性が低いことです。
ステラナビゲータで2023年2月1日5時、尾の長さ0.1天文単位でシミュレーションするとこんな感じです。
ちなみにZTFはパロマー天文台にあるサミュエルオシン-シュミット望遠鏡による自動掃天観測の略称です。
Pan-STARRS、ZTF、ATLAS、LINEAR、NEATなど、自動掃天観測が行われているため天文アマチュアによる彗星発見の機会は減りました。
それでも日没直後の西の空や夜明け直前の東の空という太陽に近い空は発見の機会が残されているようです。
太陽の反対側から近づいてくる彗星は自動掃天観測でも発見できず、太陽近傍で明るくなった時に初めて見えるようになるからです。
星に自分の名前が付けられるのは小惑星か彗星だけですのでチャレンジみる価値があると思います。
朝が弱い私には無理な話です。
明るい彗星が来ると良いのですが生きているうちに見られるでしょうか。
次のハレー彗星の回帰は条件が良いのですが、生きていたとして100歳ですので無理そうです。