まだ、今の仕事に慣れないある日の夜勤。
ナース二人での夜勤は、一人が仮眠に行ってる間、先に休ませて貰った もう一人は
明け方に患者さんのポータブルトイレの片づけをしなくてはならない。
その日、手が汚れないように私は、厚手のゴムの手袋をはめて作業をした。
それが悪かった。
ポータを洗い場に運んだ矢先に、思うように動かないその手をポータはつるりと滑り・・・
次の瞬間、私は「 嗚呼・・・!神様!!」と、心で叫んだのを覚えてる。
ひっくり返ったポータからこぼれ出た大量の糞尿が私のズボンにビシャリと飛び散った。
信じられずに呆然と立ち尽くす。
それでも、はっと我に返る。すぐにでもシャワーを浴びたい。でも
その前に床に飛び散ったこの糞尿を洗い流さなければ、寝ぼけた患者さんがやってきてツルリと滑ったら大変だ。
糞尿にまみれたまま、急いで奥からホースを引っ張ると汚れたタイルの床を水で流し、
洗剤をまき、デッキブラシでゴシゴシ擦るとまた水で洗い流した。
換気と、床が早く乾くように窓を開ける。ようやく自分の番だ。
急いでシャワーを浴びゴシゴシと綺麗に洗う。汚れた白衣も洗い流しハイターに付け込んで洗濯し、新しい白衣に袖を通す。
やっと
やっと 信じられない悪夢の様な長い時間が過ぎ ほっと息をつく。
そうして 何事もなかったかのように仕事を続ける。。。。
長い夜勤が終わる。私は誰にもこの話をしたくなかった。
でも ボスには 話した。
泣き出さないように私は ことさらに自分のドジを笑いながら、おかしげにその話をした。
あなたは少し黙って 胸を詰まらせた声で静かに
『 辛かったな・・・』 と 言った。
いつもふざけて なんでも笑い話にしてしまう貴方が。
前略 BOSS。
今日は貴方の命日です。
早いもので もう1年が経ちました。
去年の今頃 私は何も知らずに眠っていたでしょう。。。
そうして明日には知るのです。貴方が逝ってしまったことを
前略 BOSS
まだまだ息子たちにも手がかかるし年金暮らしになった親も色々助けてあげたいです。
お給料のいい仕事に、目をつぶって えいやっと飛び込んでみる覚悟はあるのに
それなのに 私は辞めますの一言が・・・・言えません。
『 度胸がいいくせに・・・ガラスだな、おまえは
』いつも言ってましたねぇ・・
ええ。
前略 BOSSさま。
あては 相変わらずですが
とりあえず元気でやってます。

. かしこ
ナース二人での夜勤は、一人が仮眠に行ってる間、先に休ませて貰った もう一人は
明け方に患者さんのポータブルトイレの片づけをしなくてはならない。
その日、手が汚れないように私は、厚手のゴムの手袋をはめて作業をした。
それが悪かった。
ポータを洗い場に運んだ矢先に、思うように動かないその手をポータはつるりと滑り・・・
次の瞬間、私は「 嗚呼・・・!神様!!」と、心で叫んだのを覚えてる。
ひっくり返ったポータからこぼれ出た大量の糞尿が私のズボンにビシャリと飛び散った。
信じられずに呆然と立ち尽くす。
それでも、はっと我に返る。すぐにでもシャワーを浴びたい。でも
その前に床に飛び散ったこの糞尿を洗い流さなければ、寝ぼけた患者さんがやってきてツルリと滑ったら大変だ。
糞尿にまみれたまま、急いで奥からホースを引っ張ると汚れたタイルの床を水で流し、
洗剤をまき、デッキブラシでゴシゴシ擦るとまた水で洗い流した。
換気と、床が早く乾くように窓を開ける。ようやく自分の番だ。
急いでシャワーを浴びゴシゴシと綺麗に洗う。汚れた白衣も洗い流しハイターに付け込んで洗濯し、新しい白衣に袖を通す。
やっと
やっと 信じられない悪夢の様な長い時間が過ぎ ほっと息をつく。
そうして 何事もなかったかのように仕事を続ける。。。。
長い夜勤が終わる。私は誰にもこの話をしたくなかった。
でも ボスには 話した。
泣き出さないように私は ことさらに自分のドジを笑いながら、おかしげにその話をした。
あなたは少し黙って 胸を詰まらせた声で静かに
『 辛かったな・・・』 と 言った。
いつもふざけて なんでも笑い話にしてしまう貴方が。
前略 BOSS。
今日は貴方の命日です。
早いもので もう1年が経ちました。
去年の今頃 私は何も知らずに眠っていたでしょう。。。
そうして明日には知るのです。貴方が逝ってしまったことを
前略 BOSS
まだまだ息子たちにも手がかかるし年金暮らしになった親も色々助けてあげたいです。
お給料のいい仕事に、目をつぶって えいやっと飛び込んでみる覚悟はあるのに
それなのに 私は辞めますの一言が・・・・言えません。
『 度胸がいいくせに・・・ガラスだな、おまえは

ええ。

あては 相変わらずですが
とりあえず元気でやってます。

. かしこ