昔から虫が好きだった。
近くの山や川や畑で、よく虫をかわいがっていた。
本当に、かわいがっていた。
それは、もう、人が『ひく』くらい…
本人は純粋に
「虫スキー♪キャッキャ!!」
と思っているのだが、私は子供。
かわいがり方を間違っていた。
【ここから先は好奇心のある方だけお読みください】
ミミズを触ったことはあるだろうか?
とてもネバネバしている。
ベタベタというのだろうか。
どちらにしても、私はネバネバにもベタベタにもなりたくない。
ミミズがかわいそう。
そう思った幼い私は、ミミズに『サラ砂』をかけてあげた。
ミミズはすぐにサラサラになり、サラ砂のおかげで美白にもなった。
満足したのか動きが穏やかになるミミズ。
よし!
ミミズはこうしてかわいがってあげた。
アリにはパンを与え、
蚊には血を与えた。
梅雨。
近所のアジサイには当たり前のようにカタツムリがいた。
私はカタツムリのグルグルと茶色に魅力を感じ、
家に連れて帰った。
家族はもちろん気持ち悪がった。
が、かわいい娘に協力してくれた。
「キュウリ食べるんちゃうか?」
母に言われるまま、キュウリをあげた。
かわいいカタツムリはかわいくキュウリを食べ、
かわいいキュウリ色のウンコをした。
ニンジンをあげればニンジン色のウンコをした。
とにかくかわいがっていたのだ。
ところがある日、事件がおきた。
私はこのかわいいカタツムリを独り占めしている。
そのことに罪悪感を感じた私は近所の子供たちに見せることにした。
「ほぅら、かわいいでしょう?」
と見せるのが恥ずかしくなってきた。
本心を声に出すのはとても恥ずかしい。
それが自慢となれば格別だ。
幼い私は考えた。
「カタツムリ競争しよう!」
カタツムリを2匹、虫カゴから出し、競走させた。
そしてそれを子供たち5、6人が囲んで見ていた。
遅いながらもかわいらしく進むカタツムリ。
なにかから逃げるようにグイグイ進むカタツムリ。
そのときだ。
........グシャ
踏まれた…
私のかわいいカタツムリ…
潰れたカタツムリから目をそらすことができなかった。
なんてあっけない…
さっきまであんなに必死で歩いてたのに…
私はその足の主を睨んだ。
ともくん…
1丁目のともくん…
色白で小さくて、
目がクリクリのともくん…
いくら1年生だからって許されることじゃない。
怒り狂った私はともくんに向かって説教した。
つもりだった。
私は泣き喚いていた。
1年生のともくんに泣かされた。
現実はこうだった。
それからカタツムリを見るたび、ともくんを思い出す。
1丁目のともくん。
また梅雨がやってきた。
近くの山や川や畑で、よく虫をかわいがっていた。
本当に、かわいがっていた。
それは、もう、人が『ひく』くらい…
本人は純粋に
「虫スキー♪キャッキャ!!」
と思っているのだが、私は子供。
かわいがり方を間違っていた。
【ここから先は好奇心のある方だけお読みください】
ミミズを触ったことはあるだろうか?
とてもネバネバしている。
ベタベタというのだろうか。
どちらにしても、私はネバネバにもベタベタにもなりたくない。
ミミズがかわいそう。
そう思った幼い私は、ミミズに『サラ砂』をかけてあげた。
ミミズはすぐにサラサラになり、サラ砂のおかげで美白にもなった。
満足したのか動きが穏やかになるミミズ。
よし!
ミミズはこうしてかわいがってあげた。
アリにはパンを与え、
蚊には血を与えた。
梅雨。
近所のアジサイには当たり前のようにカタツムリがいた。
私はカタツムリのグルグルと茶色に魅力を感じ、
家に連れて帰った。
家族はもちろん気持ち悪がった。
が、かわいい娘に協力してくれた。
「キュウリ食べるんちゃうか?」
母に言われるまま、キュウリをあげた。
かわいいカタツムリはかわいくキュウリを食べ、
かわいいキュウリ色のウンコをした。
ニンジンをあげればニンジン色のウンコをした。
とにかくかわいがっていたのだ。
ところがある日、事件がおきた。
私はこのかわいいカタツムリを独り占めしている。
そのことに罪悪感を感じた私は近所の子供たちに見せることにした。
「ほぅら、かわいいでしょう?」
と見せるのが恥ずかしくなってきた。
本心を声に出すのはとても恥ずかしい。
それが自慢となれば格別だ。
幼い私は考えた。
「カタツムリ競争しよう!」
カタツムリを2匹、虫カゴから出し、競走させた。
そしてそれを子供たち5、6人が囲んで見ていた。
遅いながらもかわいらしく進むカタツムリ。
なにかから逃げるようにグイグイ進むカタツムリ。
そのときだ。
........グシャ
踏まれた…
私のかわいいカタツムリ…
潰れたカタツムリから目をそらすことができなかった。
なんてあっけない…
さっきまであんなに必死で歩いてたのに…
私はその足の主を睨んだ。
ともくん…
1丁目のともくん…
色白で小さくて、
目がクリクリのともくん…
いくら1年生だからって許されることじゃない。
怒り狂った私はともくんに向かって説教した。
つもりだった。
私は泣き喚いていた。
1年生のともくんに泣かされた。
現実はこうだった。
それからカタツムリを見るたび、ともくんを思い出す。
1丁目のともくん。
また梅雨がやってきた。