クレモナ カルテット

ヴィヨームの手紙(1858年12月12日 パリ)

関西弦楽器製作者協会のコラムで一部ご紹介しましたヴィヨームの手紙の全文翻訳です。

 

1858年12月12日 パリ   

カールマン様

10月27日付けの親書を頂き大変光栄です、翻訳によると

私のバイオリン1台とヴィオラを1台とあと工房製をお持ちで、

その製作証明書の発行をご希望との事ですが

私は自分の楽器を見ずに証明書を書くことは致しかねます。

過去に信頼していたシモン氏※に書いた事がありましたが、

私の不運かまたは彼に何がしの理由があるのか多額の借金を返済しないので、

もう彼とは話もしたくないです。

 

確かに私は自分の楽器に番号を付けていますが

所有者までは記載しておらず今回に関してはその方が良かったのかも知れませんが、

先生から生徒へとおおむね所有者は変わるのでその必要はないと考えています。

またヴァイオリン1台とチェロ1台をご所望との事ですが、

私は多くの注文を抱えているにも関わらず値上げしておらず、

ヴァイオリンは300フラン、チェロは600フラン(どちらもケース、弓は別売り)

良い弓は29フラン、ヴァイオリンの上等なケースは30フラン、チェロは倍の60フラン

で販売しています。もしオールドのイタリアンをご希望でしたら

ストラディバリウスなどいかがでしょうか?

価格は楽器のコンディションによってかなり左右されますが、

ヴァイオリンで2000フランから8000フラン、チェロで3000フランから12000フランです。

お客様のご予算に合わせてぜひオールド楽器もご検討ください。

現物を見ないままご購入されるのは難しいと思いますが、

高価なものをお送りするわけにも参りません、

大変デリケートな問題ですがご信頼頂くしかないです。

私はお客様に売買仲介するのも喜びとしていまして、

ご予算を教えてくださればご連絡差し上げる事に

労をいといません。

もしパリにおいでになる際は私のコレクションをご覧いただければ幸いです。

それではお返事お待ちしております。(サインと場所)

追伸:もし私の楽器でカルテットセットに仕上げたいならもちろん最高に美しい楽器をご提供させて頂きます。

他にご所望がありましたら直接ご連絡ください、私の弓は29フランと銀べっ甲は100フランです。

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※弓職人のP・シモン(1808-1881)ヴィヨーム工房で1840年から4年間働いた。

 

次回はアマティについて記載がある

1862年1月9日付けの手紙をご紹介したいと思います。

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