泣きに泣いた。
演出家ロバート・ウィルソンと作曲家アルヴォ・ペルト、両氏が組んだ『Adam's passion』の初演をテレビでやっていた。
深夜の仕事帰り。油断して物食いながら最初を観てしまい悔やんだ、僅か数秒だが、何かを逃した筈。
しかしそのあと約2時間、垣間見てしまったという他ない光景と音と踊りがモニターから溢れて、酔った。
濛濛たる煙のなかに立つ人影を暖かなコーラスが包み、それは始まる。人影はアダム、最初の人。そのシルエットが霧に彷徨う。
彷徨うゆえ、歌い踊る、人。その影。
ミゼレーレと言うのかしら、深い嘆きの歌の海に包まれながら、男・女・大人・子ども、さまざまな人が様々な行為を、ゆっくりと確かめるように積み重ねてゆく。見つめながら、聴き入りながら、私の内部で、日々積み重なる背中の重さや胸の詰まりが、ほどけてゆく。
衝撃と安心が渾然一体したような感覚。グレゴリオ聖歌を初めて聴いた時の感じに似ていたかもしれない。
北からの、風。
欧州の人ならではの感性が紡ぐ世界。しかし、そこから溢れるエネルギーそれが、あまりにも確かに胸を打つのだった。
放送が終わったとき、すでに夜明け。曇り空が染まる色が、血の色に錯覚された。作品の残響のせいかしら。
音楽と踊りは人の境目を超えるという。しかしそれが確かだと思える体験は、滅多にない。それが、、、。
凄いものが、ある、生まれる。
演出家ロバート・ウィルソンと作曲家アルヴォ・ペルト、両氏が組んだ『Adam's passion』の初演をテレビでやっていた。
深夜の仕事帰り。油断して物食いながら最初を観てしまい悔やんだ、僅か数秒だが、何かを逃した筈。
しかしそのあと約2時間、垣間見てしまったという他ない光景と音と踊りがモニターから溢れて、酔った。
濛濛たる煙のなかに立つ人影を暖かなコーラスが包み、それは始まる。人影はアダム、最初の人。そのシルエットが霧に彷徨う。
彷徨うゆえ、歌い踊る、人。その影。
ミゼレーレと言うのかしら、深い嘆きの歌の海に包まれながら、男・女・大人・子ども、さまざまな人が様々な行為を、ゆっくりと確かめるように積み重ねてゆく。見つめながら、聴き入りながら、私の内部で、日々積み重なる背中の重さや胸の詰まりが、ほどけてゆく。
衝撃と安心が渾然一体したような感覚。グレゴリオ聖歌を初めて聴いた時の感じに似ていたかもしれない。
北からの、風。
欧州の人ならではの感性が紡ぐ世界。しかし、そこから溢れるエネルギーそれが、あまりにも確かに胸を打つのだった。
放送が終わったとき、すでに夜明け。曇り空が染まる色が、血の色に錯覚された。作品の残響のせいかしら。
音楽と踊りは人の境目を超えるという。しかしそれが確かだと思える体験は、滅多にない。それが、、、。
凄いものが、ある、生まれる。