誰もいない劇場にいると、さまざまな想念が駆け巡ります。
扉を閉めて、風や自然光から離れること、、、。
暗箱のような、空っぽの空間に満ちている残響は独特です。
劇場で観たナマの踊りは子どものときから今まで全て覚えている気がします。
ともに観る、という楽しみが踊りの公演にはあります。目の前で踊るのは生身の人で、となりで見つめるのも生身の人で、という、その状態がとても得難い感覚を拡げてくれるのです。
見ているというより、全感覚で感じとっている。いろんな人のいろんな感覚が場内に張り巡らされている中に居るのです。共にある楽しみ、と言えばいいのでしょうか。
磁場に居る、磁場を形成する一人でもある。それから、ダンサーと何かしらを交わしている感じが、やはりあります。ダンサーと目が合うこともあります。立ち会う人の発する全てをダンサーは感じながら踊っています。
そのために劇場は閉じた空間になっています。
樹木や土や水のない、真空の空間で踊る。その意味は現代では巨大だと思います。
劇場で観るナマの踊りは、人間の神経の束とも言えると思います。踊りそのものはもちろん、空間に座った心地や、始まる前の緊張感や、終わったあとの雰囲気まで、すべてが作品体験として心に刻み込まれます。
いま制作している作品は、そういうことも含めて、ダンスそのもの、そしてダンスの場、に対する気持ちが反映したものになる予感があります。
上演は作品の目処と世の状況を測り合って決めます。
今年は地道な作業や実験の時間を久々にとれています。じっくり時間をかけなければ出来ないダンス作品を探っていきたいです。
(Sakurai Ikuya 2020)
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