一病息災〜心房細動とその周辺

心房細動の治療は日進月歩。目に留まった記事の備忘録です。
他に、生活習慣病や自分に関係ありそうな健康問題も。

BNPによる「隠れ心不全」の評価

2017年08月20日 06時47分21秒 | 心房細動
 循環器専門医から「BNPを検査すると潜在的な心不全状態がわかりますよ」とアドバイスを受けました。
 不整脈持ちの私は、調べてみましたが正常範囲だったのでほっとしました。
 それに関連した記事;

■「隠れ心不全」30~60代の20% 佐賀大教授が調査
2017/8/17 佐賀新聞
「早期発見へ定期健診を」
 心臓の働きが低下して必要な血液を全身へ送ることが難しくなる心不全について、30~60代の約20%が軽度の心不全か「予備軍」とみられることが、佐賀大学医学部循環器内科の調査で分かった。高齢者の病気と思われがちな心不全のリスクが現役世代にもあることを示す結果で、早期発見につながるように定期的な健診の受診を促している。
 調査は、野出孝一教授(56)が2008年から伊万里市の浦之崎病院(現伊万里松浦病院)の協力で実施した。職場健診を受けた30~60代の2140人(男性1332人、女性808人)を対象に、心不全を判断する指標になるホルモン「NT-proBNP」の血中量を調べた。約1年かけてデータを集めた後、田中敦史博士研究員(36)らと分析を続けてきた。
 結果では、心不全が疑われる血液1ミリリットル当たり55ピコグラム(ピコグラムは1ミリグラムの10億分の1)以上のホルモン量が検出された人が約2割に上った。男女別では、男性よりも女性に数値が高い傾向がうかがえた。
 野出教授は「心不全は高齢者に多いが、今回の調査で若い世代にも一定のリスクがあることが分かった」と話している。
 調査では、問診の結果も踏まえて、不眠や寝付きが悪いなど睡眠障害があると認められた人はホルモン量が多い傾向にあり、特に女性で顕著なことも分かった。調査チームは「睡眠障害と心不全との関連など、まだ分からない点も多い。今回の分析結果を心不全の予防や治療に結びつける研究をさらに進めたい」と話す。


 心室筋のダメージを評価するには「加算平均心電図」も有用と聞きましたが、循環器専門病院でないと検査できないようです。

上大静脈起源の心房細動の遺伝的リスク因子

2017年08月19日 08時22分59秒 | 心房細動
 心房細動の起源は肺静脈と云われていますが、そこだけではありません。上大静脈が起源のこともあります。
 遺伝子解析により、上大静脈起源心房細動を起こしやすい人が特定できそうな時代になりました。

■ 上大静脈起源の心房細動の遺伝的リスク因子を同定-東京医歯大
2017年08月18日:QLifePro
◇ さいたま赤十字病院らとの多施設共同研究で
 東京医科歯科大学は8月16日、上大静脈起源の異所性興奮が原因で起こる心房細動患者で共通する臨床パラメーターや一塩基多型を特定したことを発表した。この研究は、同大医学部附属病院遺伝子診療科の江花有亮講師と難治疾患研究所生体情報薬理学分野の古川哲史教授の研究グループが、関連施設であるさいたま赤十字病院、土浦協同病院、国立災害医療センターとの多施設共同研究において2,170人の心房細動症例を対象に臨床研究を実施したもの。研究成果は「Circulation Journal」に掲載されている。
 心房細動患者に対してカテーテル・アブレーション治療を行う際、多くの場合、トリガーとなるのは肺静脈スリーブであることから、肺静脈隔離術という治療が一般的だ。しかし、繰り返し肺静脈隔離術を実施しても心房細動が再発してしまうケースがある。今回の研究では、上大静脈に心房細動のトリガーとなる異所性興奮を認めた症例、また薬物投与と心臓への電気的な刺激によって、上大静脈から異所性興奮を認めた症例を「上大静脈由来の心房細動」と定義。通常の心房細動患者と異なる臨床的特徴は、比較的若年であり、女性が多く、痩せ型の体形であることが判明したという。

◇ 遺伝子領域「4q25/PITX2」「10q25/NEURL1」が関連
 日本人のゲノムワイド関連研究(GWAS)で同定されていた6つの一塩基多型について、遺伝型タイピング解析を行ったところ、そのうち2つの一塩基多型「4q25/PITX2遺伝子領域」と「10q25/NEURL1 遺伝子領域」が上大静脈由来心房細動のなりやすさと関連していることが示された。さらに、これら2つの遺伝子領域について遺伝型データを用いて、遺伝的リスクスコアによって検討を加えたところ、約9倍なりやすいことが示されたという。また、これらの臨床的因子および遺伝的因子について、3施設でのメタ解析を実施。これらの遺伝子の影響を見るために、公開データベース「GTEx」で遺伝子型による組織における遺伝子発現レベルの変化を確認したところ、リスクとなる遺伝子型ではNEURL1という分子の発現レベルが低下していることが判明したという。
 今回の大規模な臨床研究を通して、上大静脈由来心房細動の臨床上の特徴と、遺伝的因子が明らかとなった。今後、これらを手掛かりに上大静脈における異所性興奮発生のメカニズムの解明や、臨床情報と遺伝情報からカテーテル・アブレーション治療におけるストラテジーの意思決定などへの活用が期待される、と研究グループは述べている。