一病息災〜心房細動とその周辺

心房細動の治療は日進月歩。目に留まった記事の備忘録です。
他に、生活習慣病や自分に関係ありそうな健康問題も。

心房細動アブレーションの最新状況

2023年01月22日 14時43分14秒 | 心房細動
実は私、先日心房細動に対するカテーテルアブレーションを受けてきました。
その結果、心房細動が激減するとともにほかにも出ていた各種不整脈(上室性期外収縮、心室性期外収縮)も減り、
“ざわついてちゃんと動いてくれない心臓”から“沈黙の臓器”に戻ってくれました。
めでたしめでたし。

事前に検索した記事を紹介します。

▢ 心房細動アブレーション、日本の最新状況
J-ABレジストリの中間解析
2022年07月12日:メディカルトリビューン)より抜粋;
※ 下線は私が引きました。

 日本ではここ数年、カテーテルアブレーションの件数が年間10万件を超えている。東京慈恵会医科大学病院循環器内科教授の山根禎一氏らは、全国多施設前向き観察プロジェクト日本カテーテルアブレーション(J-AB)レジストリの中間解析を実施。その結果、日本における心房細動(AF)に対するカテーテルアブレーション(AFアブレーション)の現状、施行件数と治療成績との関連、地域差が明らかになったと、第68回日本不整脈心電学会(6月8~11日)で発表した。

心房細動アブレーションは推計で年間約7万4,000件
 J-ABレジストリは、日本におけるカテーテルアブレーションの現状把握を目的とした全国多施設前向き観察プロジェクト。日本不整脈心電学会と国立循環器病研究センターの主導により2017年に開始された。今年(2022年)5月には累積症例登録数が34万5,855人に達し、世界最大規模となっている。
 山根氏はまず、日本のAFアブレーションの現状を報告した。日本循環器学会循環器疾患診療実態調査(J-ROAD)によると、2020年、2021年に施行されたカテーテルアブレーションの総件数はいずれも10万件超。J-ABレジストリでは、カテーテルアブレーションの73.8%がAFに対するものであったことから、日本では年間約7万4,000件のAFアブレーションが施行されているという試算だ。
 アブレーションの対象となったAFの内訳は、発作性が59.3%、持続性が40.5%。AFの持続期間は、1週間~1年が58.4%と最多だった。
 追加アブレーションの種類は、下大静脈三尖弁輪間峡部(CTI)アブレーションが最も多く(59.3%)、線状アブレーション(41.3%)、上大静脈(SVC)隔離術(33.3%)、非肺静脈起源(Non-PV)トリガーアブレーション(7.1%)、心房分裂電位(CFAE)アブレーション(5.2%)が続いた

RFカテ+バルーン、女性、高齢、低BMI、心疾患が合併症リスクに
 AFアブレーションによる急性期合併症の発生率は2.74%、死亡率は0.06%で、海外の報告(それぞれ2.90%、0.06%)と同等だった。
 AFアブレーションの種類は、高周波(RF)カテーテルが67.8%、バルーンが21.9%、RFカテーテル+バルーンが10.4%だった。

 ロジスティック回帰モデルを用いて複数の因子を調整し、AFアブレーションによる合併症の危険因子を抽出した。
 解析の結果、合併症リスクとの間に有意な関連が認められたのは、RFカテーテル+バルーン〔調整オッズ比(aOR)1.58、95%CI 1.42~1.77、P<0.001〕、女性(同1.37、1.26~1.49、P<0.001)、高齢(70~74歳:同1.20、1.05~1.37、P=0.007、75~79歳:同1.42、1.24~1.62、P<0.001、80~84歳:同1.37、1.16~1.63、P<0.001、85歳以上:同1.63、1.23~2.15、P<0.001)、BMI 18.5未満(同1.28、1.09~1.50、P<0.003)、心疾患の既往(同1.55、1.41~1.72、P<0.001)だった。
・・・
アブレーションの患者選択に地域差
 さらに山根氏は、2017~19年の基礎調査(AF患者10万7,082例)のデータを用いて、AFアブレーションの地域差について検討した結果も提示。
 患者選択における都道府県別の違いを見ると、75歳以上の割合は7.4~34.2%と幅があり、関西地区(京都府、奈良県、徳島県、香川県、大阪府)で高く、東北地区(秋田県、岩手県、新潟県、山形県、青森県)で低かった。また、75歳以上の割合と10万人当たりのアブレーション登録件数との間には正の相関が認められた〔相関係数=0.54、P<0.001〕。
 持続性AFの割合は22.6~51.4%、沖縄県、宮崎県、群馬県、徳島県、兵庫県で高く、秋田県、山形県、岩手県、青森県、福島県で低かった。
 無症候性AFの割合は4.2~52.4%、和歌山県、沖縄県、静岡県、広島県、茨城県で高く、秋田県、岩手県、山形県、佐賀県、岐阜県で低かった。

急性期合併症、退院時再発にも地域差
 都道府県別のAFアブレーションによる急性期合併症、退院時再発を検討したところ、いずれも地域差が見られた(急性期合併症:0.81~5.32%、退院時再発2.14~25.90%)。
 複数の交絡因子を調整し、AFアブレーションによる急性期合併症リスクおよび退院時再発リスクの地域差に関連する因子を重回帰分析で検討。その結果、AFアブレーションによる急性期合併症リスクの地域差と有意に関連する因子はなかった。
 一方、AFアブレーションの退院時再発リスクの地域差では、唯一、10万人当たりのAFアブレーション施行件数との間に有意な関連が認められた〔標準偏回帰係数(β)-0.04、標準誤差0.019、P=0.036〕。他には、無症候性AFの割合、10万人当たりの専門医数が関連因子である可能性が示唆された。
 山根氏は「今回の報告はあくまで中間解析の結果である」と前置きした上で、「施設ボリュームと合併症および再発の真の関連を示すには、アブレーション施行件数が少ない施設を解析対象から除外することを検討する必要があるかもしれない」と
述べ、講演を終えた。