一病息災〜心房細動とその周辺

心房細動の治療は日進月歩。目に留まった記事の備忘録です。
他に、生活習慣病や自分に関係ありそうな健康問題も。

睡眠薬の使われ方と効果

2024年10月11日 06時31分38秒 | 加齢現象

前項目で、

「不眠症とは何か?」

「睡眠薬とは何か?」

を扱いました。

 

この項目では、

「実際に使われている睡眠薬は何か?」

「睡眠薬の効果は?」

について考えます。

以下に引用する記事を紹介します。

 

<ポイント>

・不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬(スボレキサント、ラメルテオン、エスゾピクロン、ゾルピデム、トリアゾラム)による単剤療法を行った患者を解析。

・主要アウトカムは「単剤療法の失敗」とし、ガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法を開始してから6ヵ月以内に睡眠薬の変更または追加を行った場合と定義した。副次的アウトカムは「単剤療法の中止」とし、単剤療法が失敗しなかった後、6ヵ月以内に2ヵ月連続で睡眠薬を処方しなかった場合と定義した。

・6ヵ月間のフォローアップ期間中に単剤療法を失敗した患者は約10%。

・エスゾピクロンと比較し、ラメルテオンは単剤療法の失敗例が多く、ゾルピデム、トリアゾラムは失敗例が少なかった。スボレキサントとエスゾピクロンでは、有意な差が認められなかった。

 → 有効性は、ゾルピデム/トリアゾラム>エスゾピクロン/スボレキサント>ラメルテオン?

・単剤療法が失敗しなかった後、睡眠薬を中止した患者の割合は約85%。

・エスゾピクロンと比較し、ラメルテオン、スボレキサントは中止例が多かった。ゾルピデムまたはトリアゾラムとエスゾピクロンでは、有意な差が認められなかった。

 → 離脱可能例は、ラメルテオン/スボレキサント>ゾルピデム/トリアゾラム/エスゾピクロン?

 

・・・ポイントと思われる文章を拾っても、よくわかりませんね。これが医学論文です。

単剤失敗例 → 有効率が低い、

離脱可能例 → 依存性が少ない、

と読めばいいのかな?

すると、単剤失敗例が少なく、離脱可能例が多いのが「優秀な睡眠薬」と考えられるということ。

 

 もう少し砕いて説明を試みると、扱った薬剤と効果は、

スボレキサント(商品名:ベルソムラ)オレキシン・ハイポレクチン受容体拮抗薬、短時間作用型

 → 単剤失敗例はそこそこ、有効例の中で休薬できる例が多い。

エスゾピクロン(商品名:ルネスタ)非ベンゾジアゼピン系、超短時間作用型

 → 単剤失敗例も、離脱可能例も平均的。

ラメルテオン(商品名:ロゼレム)メラトニン受容体拮抗薬、超短時間作用型

 → 単剤失敗例が最多だが、有効例で休薬できたのも最多。

ゾルピデム(商品名:マイスリー)非ベンゾジアゼピン系、超短時間作用型

 → 単剤失敗例は少なく、離脱可能例は平均的。

トリアゾラム(商品名:ハルシオン)ベンゾジアゼピン系、超短時間作用型

 → 単剤失敗例は少なく、離脱可能例は平均的。

 

私が注目したラメルテオン(ロゼレム®)は「有効率が高くないけど、離脱できる例は多い」という評価、つまり「効けばラッキー」な薬?

結論として、単剤失敗例が少なく、かつ離脱可能例が多い「理想の睡眠薬」は存在しないということに・・・

 

▢ ガイドラインで推奨される睡眠薬、日本の臨床で有用なのは?

ケアネット:2024/05/15)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 不眠症のガイドラインでは、いくつかの睡眠薬が推奨されているが、臨床現場において最も有用な睡眠薬は明らかとなっていない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法の失敗リスクが低い薬剤、単剤療法後の中止率の高い薬剤を特定するため、本研究を実施した。JAMA Network Open誌2024年4月1日号の報告。

 2005年4月~2021年3月の日本医療データセンターレセプトデータベースのデータを用いて、レトロスペクティブ観察コホート研究を実施した。対象患者は、不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬(スボレキサント、ラメルテオン、エスゾピクロン、ゾルピデム、トリアゾラム)による単剤療法を行った成人患者。データ分析は、2022年12月24日~2023年9月26日に実施した。主要アウトカムは、単剤療法の失敗とし、ガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法を開始してから6ヵ月以内に睡眠薬の変更または追加を行った場合と定義した。副次的アウトカムは、単剤療法の中止とし、単剤療法が失敗しなかった後、6ヵ月以内に2ヵ月連続で睡眠薬を処方しなかった場合と定義した。・・・

 主な結果は以下のとおり。

・不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法を行なった患者23万9,568例(年齢中央値:45歳、四分位範囲:34~55歳、女性の割合:50.2%)が本研究に含まれた。
6ヵ月間のフォローアップ期間中に単剤療法を失敗した患者は、2万4,778例(10.3%)であった。
エスゾピクロンと比較し、ラメルテオン(調整ハザード比[aHR ]:1.23、95%信頼区間[CI]:1.17~1.30、p<0.001)は単剤療法の失敗例が多く、ゾルピデム(aHR:0.84、95%CI:0.81~0.87、p<0.001)、トリアゾラム(aHR:0.82、95%CI:0.78~0.87、p<0.001)は失敗例が少なかった。スボレキサントとエスゾピクロンでは、有意な差が認められなかった
単剤療法が失敗しなかった後、睡眠薬を中止した患者の割合は、84.6%であった。
エスゾピクロンと比較し、ラメルテオン(調整オッズ比[aOR ]:1.31、95%CI:1.24~1.40、p<0.001)、スボレキサント(aOR:1.20、95%CI:1.15~1.26、p<0.001)は中止例が多かった。ゾルピデムまたはトリアゾラムとエスゾピクロンでは、有意な差が認められなかった

 著者らは、「本コホート研究では、制御されていない交絡因子があるため、これらの結果に基づきガイドライン推奨の睡眠薬の薬理学的特性に関する結論を導き出すことはできない」とし、「慢性不眠症と急性不眠症の診断、不眠症および精神症状の重症度、睡眠薬処方に対する医師の態度など、交絡因子を検討したさらなる研究が求められる」としている。



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