my life still goes on 2024

コツコツと60代を突き進んでおります

読書…と言うかコミックス「ザ・ファブル」/南勝久

2024-11-08 22:26:32 | 読書もしてマス

ガラケー(ガラホってヤツ?)からスマホに移行して3年。
いろいろとケータイサイトをいじっていると広告がポップアップされます。
その中で表示されるコミックサイトの広告。
コミック誌で掲載されたマンガをスマホで見れますよー、ってヤツですな。

広告はランダムな作品がさらにサンプルとして数ページ分表示されて、
「面白そうだったらインストールを」てなわけですが、
ワタシはどうもスマホでコミック見たりするのは苦手で…ってか嫌いでして(^_^;)
ただ、そのサンプルページを見て、どうにも気になるコミックがありまして。

このコミック「ザ・ファブル」もそのひとつです。
ご存知の方は「何を今さら」でしょうけど、
あえて検索してみて、かつ某レンタルショップでも実際に探してみると
ありました、ありました(^^)v

結構前のコミックでしたが第一期が22巻!そして二期が9巻。
いやあ、3週間ほどで全部借りて一気読みしてしまいました。
面白かった~(^^)v

細かい内容を言うつもりはないですが、
簡単に内容をお伝えすると
いわゆる凄腕の(ハンパじゃない)“殺し屋”のお話です。
ところが組織の命令で一年間普通の一般人としての生活をしろと。
もちろん普通に暮らせるはずもなく、ヤクザの抗争にからんだり、
いろいろと巻き込まれていくわけで、
人が刺されたり撃たれたりの殺されるシーンがあるものの、

ゆるゆるの笑いもあったりと、このギャップがまた絶妙でした。

いちおう現在のところ完結しているので、一気読みできましたが、
これが連載中だとモヤモヤしちゃうんですよね~。
でも、ひさびさに引き込まれたコミックでした。

実はほかにもスマホのコミックサイト広告で気になったものもあるのですが、
エッチ系なので(^_^;)、ブログには書かないでおきますー。
もちろんそれも読んだのですが。ハハハ。

 


君に光射す / 小野寺史宜

2024-01-28 10:35:20 | 読書もしてマス

いつも書いていますが、小野寺史宜作品。
安定しています。そしてワタシの“好きだな”も安定しています。
裏切られたことがない。

でも、いつも書いていますが、ものすごい事件があるわけではない。
殺人があるわけではない。ミステリーでもない。
動物も出てこない。自動車や鉄道も出てこない。

それでも、いやそこが大好きです。

言ってみれば、
どこの街にもありそうな光景。
どこの街にもいそうな人々。
誰にでも起こりそうな生活の中の出来事。
そして、
誰にでもありそうな心の中の気持ちの変化。

繰り返しますが、ものすごい事件があるわけではない。
毎日普通に生きている人間が
毎日普通に感じていること。

読む人によっては物足りないかもしれませんが、
それは日々の心の機微が描かれていることで補われているような、
いつも上手く言い表せないのですけどね。

 


はるか、ブレーメン / 重松清

2023-10-18 23:59:59 | 読書もしてマス

このカテに書くのは少しひさしぶりになってしまいました。
図書館で借りて、そこそこ読書はしているのですが、
最近は通勤電車での読書が捗らないことに加え、
感想を書くほどの本に出会っていないことも一因です。


あらすじなんてのはネタバレになるし、
どこかヨソの書評などに載っていると思いますので
そんなのはいつもどおり割愛です。


で、簡単に言うと、
人が人生の終わりを迎える際の記憶(思い出)をたどる、
というお話です。

重松さんの作品は、人の死にかかわるものが多いのですが、
「死」そのものというよりは、人間に最後は必ず訪れる死に対しての
家族や、周囲の人も含め、その向き合い方について考えさせられる物語。

このお話は、多少ファンタジーというか超常現象のような要素もありますが、
読み進めるとどんどん次を読みたくなる本でした。

なんだかひさしぶりの重松作品読了でしたね。

かれこれ重松作品と出会って20年近くです。
やっぱり、読んでしまう作家です。

 


「雨滴は続く」西村賢太

2022-12-07 22:35:51 | 読書もしてマス

本文だけで480ページのなかなか読みでのある本でした。
2月に亡くなられた西村賢太さんの未完の遺作です。
連載ものだったようで、最終回の執筆中だったかで急逝されて
未完という状態で出版されたものです。

実はこの作のほかにも連載中だったものがあるようですが、
それは今後徐々に陽の目をみるのかもしれません。

さて、西村賢太さんの本については、
なかなか感想が書きにくく、
それは今年の2月に西村賢太さんが亡くなられたときに
ブログに書いていますので、よろしければそちらをお読みいただくとして。
 →西村賢太さん亡くなる

この本では、同人誌などでしか書いていなかった西村さんが
商業作家となっていく、その過程が綴られています。

私小説ですので、あくまで北町貫多(西村賢太をモジった)という
主人公がいてのフィクションふうにはなっていますが、
出版社名や文芸雑誌名もほぼ丸わかりの名称ですし、
もちろんいくつかの脚色もありながらの、
“商業作家になりつつある時代”の西村さんの生活が垣間見えます。

まあ、例によって知人への直接的な暴言や
女性への片思い(岡惚れと表現)と
その女性らに対する妄想での言葉の暴力(^_^;)
もう、ホントにワタシも時にイヤな気持ちになるほどの他者への口撃。
まったくもって女性にはお薦めできない内容です。

これをエンタメとはとても言えないし、
ご本人もそんなことは望まないでしょう。

ただ、ひとつのジャンルとしてはアリだと思いますし、
今後、こういった作風の作家の新作が読めないことは残念です。

グダグダと自分の気持ちを語り、
キレてはほんのちょっとだけ後悔、
少しだけ反省してはまた怒ってキレる、そんな繰り返し。


実際この本の中でも、
「この女性はどうなるんだろ」とハラハラさせられたり、
世話になっている知人が怒るほどの悪態をついた顛末だったり、
面白いは面白いンですけどね。

遺作という名目の出版はまだありそうですが、
もう新作は読めないんだなあ。

 


電車内読書

2022-08-16 19:16:18 | 読書もしてマス
日曜の観戦前に借りた本。小野寺史宜さんの二冊。予約していたものがいっぺんに借りられました。昨日から読み始めてます。小野寺さんの新刊、楽しみにしてるんです。なら買えよとも思うけど、なるべくモノを増やさないお年頃なのでスミマセン。って、小野寺文章みたいな文になってたな(^_^;) ともあれ、優しい文章が好きです。




「ニワトリと卵と、息子の思春期」繁延あづさ

2022-04-27 22:35:37 | 読書もしてマス

いやあ、面白かったです。

ある意味では、母親の子育て奮戦記。
ある意味では、息子の自立の記録。
ある意味では、ニワトリ飼育日記。

ワタシはネタばれになる、あらすじなどは書かない主義ですが、
家庭内での出来事をまとめた、こういう本を見るたびに
やっぱり、それぞれの家庭ではそれぞれの「家庭の文化」があると、
ホントに痛感します。

もちろん、最初からそれがあるわけではなく、
夫婦それぞれが育ってきた環境、いわゆる家庭と家族。
で、重要なのがそれぞれの両親の性格。
それを夫婦それぞれが子供の頃に、どう受け止めて
何を自分のものにして、何を避けてきたか。

そして他人である二人が結婚して、
お互いの何に共感して、何を共有できるか、
お互いの中になかった要素をどう消化するか。
つまり、受け入れるのか、断固拒否するのか。

だいたいこんなところで、家庭の文化ができつつあり、
そして子供が誕生してから、子供への接し方で完成していきます。

なんだか、まどろっこしい話になりましたが、
このご家庭にとっては、ものすごいことなのかどうなのか、
そしてどんな事情があったのかも細かいことは不明ですが
東京から縁のない長崎に引っ越されました。
ね?この時点で、そういうことをする、できるご夫婦。

ま、そういうバックボーンがある前提で、
小学校6年生の息子が、
ある日突然、
「ゲームはいいから、ニワトリ飼いたい」
となって、
息子さんの行動力もありますが、結局飼い始めるわけですよ。

ウチなら飼う、ウチなら飼わない、という話ではないので
紆余曲折や周囲の協力もあってのことですが、
飼い始める家族、特に息子さんと著者である母親の話。
母親目線であるのは、致し方のないことですが。

いやあ、面白かったです。

 

 


心が温かくなるお話 とにもかくにもごはん/小野寺史宜

2022-01-18 23:13:49 | 読書もしてマス

どうしてこんなに優しく温かいんだろう。

こう言ったらいけないかもしれませんが、
特別な感動があるわけではないのです。

街の人々のそれぞれの生活と思い。

人間って、生きていく中で
実はいろいろ考えているじゃないですか。

例えば、ほんの些細な例えですが、
どんなに仲のいい間柄でも
え?ちょっとそれはイヤだな、と
心の中で一瞬思ったりすることがあったり、
(それは関係性には何も影響のないところで)
逆にまったく知らない人でも、
あ、あんな行動や言葉、いいな、と思ったり。
(それも自分の人生にはほとんど影響のないところで)

その心の機微みたいなものが
それこそ物語には影響のない部分でも
きちんと描かれることがある。
そんな小野寺史宜さんの書く物語、大好きです。

このお話に出てくるのは、
ある子ども食堂に関わる人たち。
言ってみれば、ある日の子ども食堂のお話。

もちろん、そこであったことだけでなく、
登場人物ひとりひとりと子ども食堂との関係性が、
細かく書かれているわけです。


なんて言うかなあ。
変な例えですが…
新聞などで事件や事故があって、
遺族などに取材をされた記者のレポート?
甲子園で優勝した投手などが、
家族に支えられて頑張ったというエピソード?

いやいや、これも上手く例えられませんが、
いわゆるバックボーンが丁寧に書かれているのですね。

ともかく、やさしいお話。
悪者は出てこないし、心が温かくなります。
良い本に出会えると幸せになります。

目次はこんな感じです(*^-^*)
そっか、この普遍な挨拶の言葉もやさしく感じたのかな。


 


ひさびさに読書で泣いたな 「めだか、太平洋を往け」重松清

2021-10-15 21:52:11 | 読書もしてマス

ある小学校教師が、定年を機に
送り出してきた卒業生の消息を
知ろうとするところがはじまりです。

タイトルは、その先生が6年生の担任だったときに
卒業生に贈る言葉として、
めだかでも広い海を泳げ、という意味で伝えたもの。
ま、これはお話の中で深いところまで話が出てきますが。


以前に書いたかもしれませんが、
重松清さんの本を読むようになって、
もう16、7年になるでしょうか。

家族。
これが重松清小説の大きなテーマであることは、
読んだことのある方は解ると思います。

そして、意外に多いのが、死。
家族には年老いた親もいる、
そこには死があることも避けられない。
もちろん夫や妻の死も。

家族のつながりの幸せ、
そして別れである死。

涙を誘う、というとズルい感じもしちゃいますが、
幸せと悲しみは表裏一体であって、
人間の人生にはかならずついてまわるものです。

紡がれる物語に引き込まれ、
同年代の重松清ファンとしては、
この歳だからこそわかる、人生の悲哀に涙するのです。


あー、ひさびさに電車の中での読書で泣いたな。
今はコロナ禍でマスクをしているので、
涙が流れてもマスクを押さえて拭いちゃいますけどね。

 


やっぱり青春の物語は好きだな 「あと少し、もう少し」瀬尾まいこ

2021-10-14 22:19:30 | 読書もしてマス

結構前からワタシのブログ、
ワンパターンになってきていますよね。
サッカー練習、ガンバ大阪の試合観戦、
出勤前のつぶやき(^^;) これの繰り返しばかりですが、
ホントはねえ、いろいろと書きたいこともあるのです。

ってことで、読書カテにひさびさに投稿です。
実はブログに書かなくてもかなり読書はしているのです。
毎週のように図書館に行っていますし。

ただ「読書してるぜブログ」じゃないですし、
ブログにするほど読後感があるものも少ない。
まあ、小説であったり、ノンフィクションであったり、
エッセイだったりして、多岐に亘るので
サラっと読んだものも多いのですけど。

さて、自分が「いいな」と思う傾向として、
中高生の登場する、いわゆる青春ものです。
とすると、どうしてもスポーツがらみ。

自分の中高生時分にはスポーツに打ち込むことはなく、
高校生時代は音楽をやっていたのでカテゴリーとしては文科系です。
それはともかく、たぶんそんなことから、
仲間と汗を流す、ということに憧れるのでしょうね。

前置きが長くなりましたが、
この「あと少し、もう少し」も運動ものです。
中学3年生の駅伝。
陸上のことを知らない新米顧問、
そして駅伝の6区間を走るそれぞれの男の子たち。
その6区間を章立てに分けて、
それぞれの少年の物語がそれぞれの一人称で進みます。

もちろん小説であるので、
少年たちそれぞれに物語があるのですが、
でも、練習の時や競技会の時に見えるチーム感。

そう、個人個人の事情もあるし、
走っている時は一人だけど、
やっぱりチームであるということ。
それがとても感じられる、さわやかなお話でした。

読書をしていて、素敵な本に出会うと
本当にうれしくなります。


そして、併せてもう一冊。
実はまったく内容を知らずに、
同じ作者、瀬尾まいこさんの本を借りようと思って、
ホントに偶然、続けて読んだ本。
実は「あと少し、もう少し」の
スピンオフといえるお話でした。

ネタばらしになるので、深くは書きませんが、
駅伝を走った少年の一人が約一か月、
小さな女の子の子守りのアルバイトをするお話でした。

読み始めはわからなかったのですが、
「え?これ、アレに出てきたアイツじゃん」
と、一冊前に読んだ本の登場人物が出てきて、
何だか知り合いの子に再会したみたいな気がしちゃいました。

こちらは、子守りのお話がメインなので、
特に駅伝やら運動やらということではありません。
これはこれで、ワタシも自分の子が小さかった頃を思い出して
懐かしさに浸っていました。

これまた、
とってもやさしい気持ちになれる素敵な本でした。

 


短歌って比喩なのかと、あらためて思う 「未来のサイズ」俵万智 

2020-11-18 23:20:54 | 読書もしてマス

最近ようやく“ワタシなりに”理解しました。
あくまで“ワタシなりに”ですけど、
巧みな比喩が「いい歌」なのかも、と。

もう何年もトライしなくなった短歌。
日々の暮らしの中で心に感じたこと、響いたことを
さらっと流さずに、いま一度深く味わい、想い、
それを31文字という中で歌にすること。


中一の時に北山修さんの詩に影響されて
歌謡曲のような作詞の真似事を始め、
ギターを弾くようになってからは
オリジナルなどという拙い作詞作曲も行い(^^;)、
何百と詞も書いてもきたのです。
ただ、それは曲に乗せるための「詞」でした。
もちろん、ほんの数曲については
友達に「いい曲だね、いい歌詞だね」などと
言ってもらったりもして(^_^)v

でも、若い頃の詞はとても言葉の選択が下手で
今振り返ると恥ずかしいようなものばかりです。
語彙も少なく当然と言えば当然です。
でも、それらは若いからこそ書けたものでもあり、
今さら添削をしようとも思わないのですが、
じゃあ、今何か詞を書こうと思っても、
絶対に、ベースは中高生時代なんですよね。
もちろんボキャブラリも増えて、
言い回しなども覚えたとは思いますが。

ただ、表現する感性のようなものが
詩人や歌人とは違うようです。


俵万智さんに親しみをおぼえたのは、
以前にも書いたようにお子さんとの日々を書いた歌。
ああ、子どもとの日々をこんなに簡潔に書けるのか、と
びっくりして、挑戦してみたものですが(^^;)

例えば、ワタシだって、
このブログにもちょこちょこと気になったことや
いいな、と思ったことも書いていますが、
いかんせん文章にしかできない。
31文字にするなんて到底無理なようです。
自虐でもなく短歌に対してはきっとセンスがない。

もちろん、プロである歌人の作ったものにも
すべて共感できるとも思いませんし、
やっぱり歌にしても俳句にしても短歌にしても
感じるものは人それぞれでしょう。

と話がそれましたが、31文字の中で
何かを何かに例えること、いわゆる比喩が素敵だと
それだけで心に響くというか、
風景が浮かぶというか、沁みてくる何かがあるようです。

「◯◯は ◇◇のようで △△がどうしたこうした」
というように書いてみる。

でも、例えば
「空の雲は象のように見えるから…云々」
ということではなく、
「空の雲の動きが象が水を飲むように動いて…云々」
というようなことです。(下手な講釈でスミマセン)

つまり創作的な技術ではなく、
想像力豊かな人、そして何かを多角的に見ることができる人。
…が、上手いこと31文字に当てはめられたら、
絶対に良い歌になるような気がします。

ま、これからもブログでは
拙い文章を書いていきますが、
短歌カテに投稿は多分ない…と思いマス(^^;)


あれ?本のことに全然触れてないなあ。

歌集のタイトル「未来のサイズ」も
入学する子供らの制服が大きめであることから
「未来のサイズ」と歌ったものです。

俵万智さん、
切ない恋をしている時期の歌も
「女」を感じさせて好きなのですが、
やっぱり、
子育てを歌った歌に共感してしまいます。

 


10年前の予言? 「首都感染/高嶋哲夫」

2020-07-10 23:06:33 | 読書もしてマス

驚くべきことは10年前に上梓された書籍だということ。
メディアでも取り上げられていて、
ワタシもそこで興味を持ったのですが、まずはあらすじを。


 中国で致死率60%の強毒性新型インフルエンザが出現。
 恐怖のウイルスが世界に、そして日本へと向かった。
 パンデミック阻止のため、空港での検疫が徹底されたが、
 ついに都内にも患者が発生。総理は東京封鎖作戦を決断する。

そうです。
昨年末から瞬く間に世界中に広がったCOVID-19、
新型コロナウイルスの出現を示唆するような物語なのです。

しかも広まったのはこれも中国から(^^;)
中国で開催されたワールドカップ、
そのサポーターの帰国によって全世界へ、という
いかにもありそうなお話。
ま、これはSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行をモチーフに
日本にまで大きな影響があった場合、という
フィクションではあるのですが、
はからずも今回の新型コロナウイルス、
まるでこの物語と同じような道を辿りました。

首相が首都東京を封鎖する決断、
というのはあらすじにありますが、
それが大いに功を奏すものの
封鎖内地域とその周辺の地域で
当然、思惑も異なったりしますので
そんな騒動も含めて描かれています。

物語は、医療従事者と政府首脳を中心に進みます。
主人公の人間関係やら、過去やら、
そして今愛する人やら、が巧みに絡んできます。
もちろん、本来であれば大勢の閣僚やらも
侃々諤々と関係するとは思いますが、
最低限の登場人物で冗長的な部分も少ない。

2月末頃からの実際の世界のようで、
少々重く感じる部分もありましたが、
そこはフィクションです、
何がどうなっていくのか、
なかなか面白く読ませていただきました。

 


否定しないから好きだな 「ひきこもらない/Pha」

2020-06-09 19:34:32 | 読書もしてマス

この本を知ったのは朝日新聞の天声人語でした。

文庫版の「どこでもいいからどこかへ行きたい」の
高速バスや鈍行列車を使って日常から距離を置くだけ、
というような旅行?をしている著者の行動を
旅行(移動すること)も自由にできない今となっては
贅沢に思える、というようなコラムでした。
(スミマセン、要約するのが難しいですわ)

で、“移動読書”をしているワタシも
当然のように共感を覚えたので
もちろん読みたくなってしまったわけですな。
文庫版も図書館の蔵書にあったのですがあいにく貸出中。
で、ネットで調べたら、
文庫版のもとになった単行本がありました。
それが「ひきこもらない」です。
早速予約して借りたわけです。

「ひきこもらない」などというタイトルだと、
どうもネガティブなイメージに捉えちゃいますが、
いやいや、自分の価値観を大切にしている、
それらの行動が素敵に思えました。

作者のPha(ファ)さんは、普通に会社勤めをしたものの
どうも毎日同じ時間に電車に乗って通勤するのができなくて、
自由に生きることに決めたようです。

例えば、コンビニで何かものを買うにしても
なるべく店員さんと会話したくない。
天声人語で紹介されていたように、
高速バスや青春18きっぷでどこかへ行くにしても
行った先でいつもどおりの暮らし、
牛丼を食べたり、漫画喫茶に入ったり、
泊まるにしてもビジネスホテルかカプセルホテル。

何だかその価値観がうらやましくなりました。
人間って人と人のしがらみで生きています。
もちろん、その煩わしさも人間であるがゆえなのですが、
いわゆる家にひきこもるのと違い、
その人間と人間の関係をちゃんと理解したうえで、
できないわけじゃないけど自分は苦手だから、
自分からなるべくそういう状況を作らない。
ある意味、とっても正しい生き方に思えました。

そして、Phaさんの考え方でウレシかったのが、
自分はそうであるけども、他人を批判、否定していない。
「自分は」ほかの人と同じように毎朝通勤するのが苦痛だ、
他の人がどうして出来るのかわからない、
そんな生活が出来る人が不思議だ、とは言っても
そんな生活が出来るヤツはおかしい、とは決して言わない。
そこがとっても心地よかったのです。

例えば、人間ってつい、
「アイツらみたいなのはおかしい」と批判をすることで
自己のアイデンティティを組み立てたりしがちです。
でも、そうじゃない。
自分はこうしたい、という行動をするために
他人とは関わらないようにする、という
まったくもって賢明な考え方です。
もちろん、普通に社会生活をされていますしね。

もうね、憧れちゃいますよね。
そして、だいたいの文章が、
「自分はこれさえあればそれでいい」
というのがよくわかる。

高速バスで3時間とか6時間移動して、
移動先(旅先とは言わない)で、
普段の暮らしと同じことをする。
そう、日常からの距離が大切だということ。
ワタシも似たようなところがあるので、
「あるある」状態で何だか微笑んじゃいました(*^_^*)

もちろん、人間関係があることでの
喜びや楽しみなども大切なことですけども。
ま、だからこそ"お一人さま"に憧れることもあるのかなあ。

自由と引き換えに得るもの、
不自由と引き換えに得るもの、
そんな人生哲学のようなことも
ふと思ってしまいました。


ごめんなさい、知らなかった… 「アリガト謝謝/木下諄一」

2020-05-18 20:43:04 | 読書もしてマス

今日の本は、実は1年ほど前に読んだ本です。
ブログも下書き途中だったものを完成させました。

まずは最初に…


この感謝広告をご存知でしたか?
ご存知の方にとっては“何を今さら”と思いますが、
2011年、東日本大震災の約二か月後、
日本人の有志が台湾の新聞に掲載したものだそうです。
ワタシは知らなかった…(T_T)
いろいろとニュースなどにもアンテナを張っているつもりの
いい歳をしたオッサンが、まったく知らなかった。


簡単に言えば、
台湾からの義捐金が他のどの国よりも多かったこと。
そして日本政府から各国の新聞紙上に
支援への感謝広告が出された際に
台湾が含まれていなかったこと。

そういったことに疑問(というか違和感)を持たれた
ある方の提案によって、
有志が“謝意広告のために”募金をして
あくまでも国対国というスタンスではなしに
現地の新聞に掲載したのだそうです。

義捐金などに対する感謝を、
もちろんその多寡で比べるなんてことは
あってはならないことですし、
そもそも中国へ気を遣ってのことなのかもしれませんが、
最大の支援国に感謝広告を出していない。

ここではその是非は論じませんが、
とにかく有志で台湾の新聞に広告を出そうとして、
実現してしまった、そこがすごいです。


この「アリガト謝謝」は、
その事実に基づいてフィクションふうにしたお話です。
とはいえ、読書後WEBサイトでいろいろ検索したら、
少なくとも感謝広告のプロジェクトの話が載っており、
フィクションとはいえ、ほぼ事実そのまま。

日清戦争後、日本が統治していた台湾ですが
台湾の方々はそんな日本に感謝の念を持っていて
それが脈々と受け継がれている。

中国(中華人民共和国)と台湾(中華民国)の
複雑な軋轢と関係についてもあえて書きませんが、
日本政府も中国に気を遣って
対応には苦慮しているようです。
それでも、台湾の人々は日本へ悪い感情はなく
“日本のために”がごく普通に湧き出てきたのでしょう。
ワタシも台湾に対してすごく親しみを覚えました。

実は、この本のことを知ったのは
ワタシの好きなWEBコミック「夜廻り猫」だったのです。
(→夜廻り猫 2019/2/22 第四九五話:謝謝台湾 3
いつも、やさしいお話を書いて下さる深谷かほるさん。
ホントにいつもいつも、
ヒトのやさしさに気づかせてくれます。

アリガト謝謝
木下 諄一
講談社


この本を読み終わったあと、たわごとではあるけど…
台湾に行ってみたくなっちゃったんだなあ(*^-^*)


一人サッカーの源かな 「スパイクを買いに/はらだみずき」

2020-05-16 22:49:19 | 読書もしてマス

このブログ、自分の日記がわりとしていますので、
やっぱり読書記録もちゃんと残さなきゃ、と
少々読書カテの記事を続けます。

今日もサッカー関連、いえいえ“はらだみずき”さんの本。
前回書いた「ここからはじまる」も親子を描いていましたが
この「スパイクを買いに」も父親と息子。
この本では、サッカー未経験の父親と
部活のサッカーをやめた中学生の息子。
メインは父親が始めたサッカーの物語です。

父親は町のサッカークラブに入り、
何を選んでいいのかわからないまま
「スパイクを買いに」出かけ、
息が上がりながらも試合に出る、
簡単に言えばそんな物語で、
父親自身の仕事のことやら
チームのメンバーの事情やらが絡んできます。

この本も一度図書館で借りたあとに
文庫版を購入したものでしたが、
どうも買って手元に来ちゃうと“積んどく”クセが(^^;)

40代でサッカー未経験の男性が
町のチームとはいえ、試合に出たりするなんて、と
少々違和感もあったのですけど、
趣味で集まったオッサンたちなら
交代で出場したりしないとキツいもんな、と
50代から息子とサッカーを始めたワタシも
少しだけ自分に置き換えてみたりしたものです。

で、影響されやすいワタシですから(^^;)
一時どこかのシニアチームに入ろうかな、
などと考えた時期もありました。
それは、目の病気もあって、眼鏡もあって、
結局実現しなかったのですが。
ホントはやりたかったんですけどねえ。悔しいなあ。

そんなふうに、
オッサンにも「サッカー始められるかも」と
思わされた一冊なのでした。

ということで、
息子とサッカーしなくなっても、
一人でサッカー練習を続けようと
考え始めたのかもしれません。
いや、きっとそうだろうな(^_-)-☆

家族があって、仕事があって、
もうオッサンになるとそれくらいしか世界がないのに
新たに別な仲間を作っていくという、
そういった意味でも刺激を受けた、いい本でした。

 


親の想い、子の気持ち 「ここからはじまる/はらだみずき」

2020-05-15 19:59:05 | 読書もしてマス

この本を最初に読んだのは、
もう6年近く前のことだったと思います。
ウチは息子が4年生の夏休み前頃。

3年生の冬前に、
妻にサッカー教室をやめさせられてorz、
息子が運動を何もやっていなかった頃に読んだ本です。
もちろん、休日の“公園サッカー”には行っていたし、
ガンバの試合観戦にも二人で出かけていました。
そんな私たちとは少々境遇が異なりますが、
サッカーをやっている息子と
それを見守る部活サッカー経験者の父親の物語です。

当時は子供のサッカーのために
厳しくもいろいろと考えてやって、
子どもの成長を見守る、という点では
共感するところも多くあったので、
好きな本ではあったのです。

…が、
今回、これも“積んどいた”本として
文庫版を読み直したときに、
「えらくキツい父親だな」と
思ってしまったのでした。
当時はそこまで思わなかったのになあ。

例えば「遊びたい」と言う息子に
「練習する気がないならやめちまえ」的な、
そう、子供に対する暴言のような表現もあって
もちろん物語の中で父親も後悔はするのですけど
ずいぶんとキツかったんだと印象が変わりました。

それでも救いなのは、
サッカーが上手な子に後れをとったり
下手な子同士で仲良くしたり、
「リフティング多くできるようになった」と
嘘をついてみたり、
でも、「頑張らなきゃ」と
健気に一生懸命に練習に向かうようになる息子。

当時、
「サッカー上手くなろうぜ」と
一緒に練習していた息子と重ね合わせて、
本の中の子供自身の上達がもどかしくもあり、
見守ってあげたいという想いもあり、と
タイトルの「ここからはじまる」に
胸打たれた感じがするのです。

上手くいかなくても、今日が最悪でも
もう一度"ここから"頑張ればいいじゃないか。
そんな気持ちにさせられるのです。

父親のキツい言葉に
子供がかわいそうに思えるほどでしたが、
子供は強い。
ちゃんと成長するもんだな、と
これもまた息子と重ね合わせたものでした。

今回読み直したのは文庫版でしたが、
6年前に読んでいたのは単行本。
このオレンジの表紙の印象が強いので
自分が最初に読んだものの想い出として
リンクはこちらも貼らせていただきます。

そういえば、何度か図書館で同じ本を借りたので
「お父さん、この本好きやなあ」と
当時息子が言ってた記憶があります。

ここからはじまる
はらだ みずき
新潮社