「片想い」 東野圭吾

随分と古い本を久しぶりに手にした。
2001年3月初版の東野氏のヒット作の「片想い」だ。秘密、白夜行などヒット作を連発して頃の、個人的には東野氏が１番充実していた頃の作品と言える。東野氏が「性同一性障害者」という当時社会的にも話題となっていた難しいテームに挑む。なるほど読ませる。というよりホント考えさせられる。今となっては、性同一性障害者は認知されてきた。だから自分も入り口くらいの情報は知っている。しかし、当時はあまりにも衝撃的でこれらの知識はまだ途上であり、だからこそ話題性もあったのだろうが、いやぁ～すごく完成された秀作で驚かされる。
性同一性障害、友情、アメフト、恋愛・・・等々テーマがしっかりしているので難しいテーマのなのに読み易い。これらのことが「片想い」という淡いというか？懐かしいひとことに集約されている。何かいろいろなことを考えさせられる。
それにしても、この頃の東野作品は個人的にホント好きだ。素晴らしい完成度と言える。本書はじめ直木賞候補作まではいくのだが、不思議ととれない？確かに後に悲願を達成する容疑者Xの献身も素晴らしいとは思うが、この当時の作品どれがゲットしても誰も文句がないという程であったと思う。東野作品はこの頃、秘密やトキオくらいから始めてもらえば満足してもらえると思う。久しぶりに当時の作品を読み返したが、なるほど良い作品だ。改めて感心しました。