未完成の塔と呼ばれる完成された塔がある。
その昔世界で二番目に偉大と呼ばれた建築家の建てた塔だ。
世界で一番になれなかった男は世界に対してこう言った。
私が頂点たりえぬのはこの塔が完成していないからだ。
この塔が完成しさえすれば私が世界一の建築家だ。
誇って笑ってそう言った。
そこで世界で三番目に無礼な皮肉屋がこう言った。
いいえこの塔は立派に完成しています。
ちゃんと「未完成でなければならない」点において完成しています。
完成だろうが未完成だろうが所詮あなたは二番目止まりなんですよお父さん。
建築家は絶望し世界で二番目のまま死んだ。
葬儀の日。
世界で三番目に無礼な皮肉屋は塔に唯一欠けていた看板を取り付けた。
大勢の人達の前でこう呟いて。
あの人も本当は完成したかったんですよ
看板にはこう記されていた。
「世界で二番目の男が作った世界で一番すごい塔」