砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

♯92 貧乏刑事

2006年04月16日 | ログ

警部「大変だぁ?」

刑事「何で疑問系なんですか警部」

警部「最初の掴みだ。掴みはオッケーだ」

刑事「意味わかめです」

警部「そんな事より・・・・今火達磨銀行から通報があった」

刑事「なっ・・・強盗事件ですか!?」

警部「あぁ・・・・犯人は銀行に来ていたお婆さんから15円を奪い逃走」

刑事「え・・・・」

警部「至急県内全域に検問要請を出せ」

刑事「いやその・・・・」

警部「馬鹿野郎!!今この瞬間も犯人は15円を手に海外へ高飛びを狙ってるかもしれんのだぞ!!」

刑事「えぇと・・・・」

警部「一刻の猶予もない。場合によっては犯人の射殺も止む無しだ」

刑事「・・・・」

警部「分かったなら早く動け!!我々警察を甘く見た犯人に地獄を・・・・」

刑事「警部。一つだけ質問をしたいんですが」

警部「何だ」

刑事「マジで15円なんですか?」

警部「あぁ。しかし油断は出来ない。共犯がいた場合両替をしてバラバラに輸送するかもしれん」

刑事「輸送て」

警部「その場合、最悪15枚の1円玉が市場に出回ることになる」

刑事「どうでもいいくらい市場で出回ってますよ」

警部「馬鹿野郎!!」

刑事「何でこめかみを抉るようなジャブで殴るんすか!!」

警部「確かに15円玉はお前らのようなセレブにははした金かもしれん」

刑事「いや俺はバリバリのヒラですけど」

警部「だがな・・・月給52銭の俺にはかけがえのない大金なんだ!!」

刑事「いや落ち着け。何だそのオーバー労働基準法は」

警部「県警では公務員の給料削減を求める声から上に行くほど給与が減るんだ」

刑事「今明かさないで下さいよその驚愕の真実」

警部「懐かしいぜ・・・俺がお前くらいの歳ではマクドナルドに入れたことが・・・」

刑事「警視総監は餓死してそうですね」

警部「だから・・・俺達は追わなければならない!!」

刑事「いや転職しましょうよ」

警部「警部って肩書き・・・・カッコいいだろ?」

刑事「その為か。その為に月給52銭か」

警部「それに金額に関わらず犯罪は犯罪だ。罪は正されなければならない」

刑事「警部・・・・」

警部「俺は犯罪者と年収10万以上の市民を許さない!!」

刑事「日本全国に宣戦布告かよ」

警部「行くぞ新人!!お前がいないとバス代が払えない!!」

刑事「パトカーは!?」

警部「ガソリン代が払えない!!」

刑事「いや経費で落しましょうよ」

警部「その発想は無かった」

刑事「えー」

警部「そうと分かればパトカーに乗れ。犯人を追跡するのだ」

刑事「無駄だと思いますよ」

警部「何でだよ」

刑事「だって・・・円がないでしょ」


(暗転)