砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

♯119 猫の神話

2006年06月15日 | ログ

三匹の猫がいた。

彼らは互いが嫌いだった。

だからただの一度も話すことなく。

そうして時間は過ぎていった。

万物は流転する。

時間と猫も例外ではなく。

やがて一匹の猫が死んだ。

三匹の猫は二匹になった。

一匹は月に吼え。

一匹は屍を花で埋めた。

彼らは互いを嫌いあっていたが。

それでも彼らは猫だったのだ。

そうして時間は三月と流れ

残った2匹はつがいとなって

やがて子猫を生み育てた。

二匹は未だに互いが嫌いで。

それでも二匹は求めたのだ。

月に吼え、花を捧げる存在を。