プレオープンのパーティがあったのは、いつだったでしょう、その時初めてお会いした『おかあさん』は、オッピドムマスターが大学時代、下宿でお世話になった方だと伺いました。その時は、簡単にご挨拶しただけだったと思います。その後、エリアが近いこともありオープン当初は今よりずっと頻繁にお店に通う日々が続き、『おかあさん』とも親しくお話する機会が多くなりました。マスターの学生時代をよくご存知なだけあって、色んな音楽を聴いてこられており、耳が肥えてはるな、という印象でした。けっこう辛口の感想なども聞きました。デイジーヒルが何度かライブをするうち、お気に入りの曲の時にはカウンターまで出て来て耳を傾けてくださったり、時には「ようこさん、あの曲良かったわ。また聞きたいわ。」なんて言ってくださることもありました。
お店に飾っているキルトは、機会を見つけて時々は入れ替えたりしてるのですが（しばらく放置してます、すみません！）新しいのを持っていくたびに、「綺麗やねえ。」「細かいピースで目が痛くなれへん？」「これは色が好きやわ。」と嬉しくなるような声をかけていただきました。ビーズやリボンで作ったアクセサリーや、コットンの手作りっぽい衣装を着てると「それも作ったん？」っていつもいつも聞いてくださいました。（アクセサリーはたいがい自作でしたが、洋服は半分位既製品）多分、私にだけじゃないと思うのです。お店に来るひとそれぞれに、心がけて言葉かけをされてたんでしょうね。そんな思い出があるひと、たくさんいらっしゃるに違いないです。
1月18日、日曜日の昼間に、オープン当初、よく通っていた横丁ライブというイベントで知り合った、フォークデュオのTake Offのライブがありました。メンバーのやんちゃんから直メールをもらって、このデュオがしばらく活動休止する、と知って、ふいに行ってみようと思いました。昼間のライブでなかったら、めんどくさがって行かなかったかも。活動休止と久々の直メールがなかったら、やっぱり行かなかったかも。
当日のライブは、私の大好きな70年代日本のフォークソングを歌うデュオなのですが、（ほぼ全曲歌えました。もちろん心の中で。）、途中にTake Offのお二人から、マスターと『おかあさん』にサプライズであったかそうなマフラーのプレゼントがありました。さらに、『おかあさん』の好きな曲、『案山子』（さだまさし）をかぶりつきで聴いてもらう、というオマケつきでした。いつだったかのライブの時も、彼らがこの曲を歌い始めると、厨房から出てきた『おかあさん』、うるうるしながら聴いてはったのを目撃したことがありました。
ああ・・・ええライブやったなあ。『おかあさん』嬉しそうやったな、ってほっこりした気分になりました。
オッピドムへは昨年11月の『いい夫婦の日ライブ』の後、出かけていなかったので（オートハープの田頭くんと最後に会ったのもこの日のイベントでした。）『おかあさん』とも「すいません、ご無沙汰してます。」とご挨拶して、ライブの後はいつものようにちょっと世間話。
「ようこさん、ちょっと痩せた？それくらいがちょうどいいね。私もね、何十キロのダイエットして、その後はリバウンドせんように気をつけてるんやけど、ようこさんも心がけてね。」とか最近体調はどうですか？という私の問いかけに「年末から背中が痛いのよ。でも家でじっとしててもねえ、ちょっと身体を動かしたほうがいいかと思って。」とおっしゃっていて、私も「そらそうですよ、その方が気が紛れてええんちゃいますか？」などと言ってたんです。2月のイベントには私たちも出ることに（急遽）なったので、またすぐお会いできるから、と何気ない気持ちでご挨拶をして店をでました。それが本当のお別れとなってしまいました。
前の日まで、元気に普通にお仕事をされて、突然いなくなってしまわれた『おかあさん』。未だに信じられない気持ちです。でも、一番最後にお会いできて良かった。もしかしたら、あのライブに行ったのは偶然じゃなくて、『おかあさん』が呼んでくれはったのかもしれない、なんて思ったりするのです。
『おかあさん』今度はKOKO PLAZAで、大好き、って言うてはったあの曲歌いますからね。絶対聴きにきてくださいね。
