ひな菊の丘から

弾丸日帰り電車の旅

父の遺したもののひとつに、毎年いただけるJR西日本の半額切符がある。他の家族は使うことがないので、たいてい相方が故郷へ帰る時に使っているのだが、今年はコロナのせいで母に会うこともできないので、帰っていない。5月末で無効になってしまうことに気づいたのはつい先日で、色々悩んだ挙句、ひとりで乗り鉄することにした。

行先はだいたい前日までには決まっていたので、大阪駅のみどりの窓口で往復座席指定で切符を購入。きっちり半額かと思ってたけど、そうじゃないみたい。でもまあいいや、時間がたっぷりあったのでゆっくり朝ごはんを食べる。



この時既にワチャワチャ旅になるための伏線が貼られていたのだろう。なぜか、出発は9時台後半だと思い込んでいた私。40分台か50分台か、でも少し早めにホームに上がって、待っていればいいや、とトイレに行き念のために、と切符を確認すると、なんと!出発は9時25分だった。えっと今何分、22分?ええ~!!慌てて改札を通りホームへの階段を上がるも、途中で発車のブザーが鳴り、私の目の前で、乗るはずだったスーパーはくと3号は出て行ってしまったのだ。


気落ちするヒマも惜しんで改札口に戻り、立っていたお姉さん(職員さん)に、「今のはくとに乗り遅れたんですけど、一番早く鳥取に行くにはどないしたらいいですか?」と聞く。お姉さんはタブレットを操作しつつ、「そうですね、この後新快速に乗っていただき、姫路と相生とで乗り換えて、上郡まで行き、スーパーいなばという特急に乗ってください。乗車券は使えますが、特急券は別に購入いただきます。」と教えてくれた。特急券1000円ちょっと、惜しいが仕方ない。到着は1時間ほどずれるらしい。ええっと・・・つまり、現地で3時間弱あると思ったのが2時間弱になるわけか。観光できるかな、ご飯食べてたら間に合わんかな。

新快速で姫路まで、は何度か行ったことがあるし、車窓の景色も結構見慣れてる。最近、須磨あたりに良く行ってたしね。それと、新快速だと旅気分に全然ならないのよね、困ったことに。でもしかたない、強烈な自分の凡ミスのせいだもの。さあ、気落ちしてても仕方ない、出発だ。

新快速はお姉さんが教えてくれたののひとつ前に乗れた。車内ガラ空き。4人掛けにひとりで座って、姫路で乗り換え、と言われたけど、相生までこのまま乗って行けそうだったので、少し前の車両に姫路で移った。

これは播州赤穂行き。相生で降りて



同じホームで上郡行きに乗り換える。ここでもほとんど人は居ない。



新幹線の線路は上に、播州赤穂に向かう線路は左手に



上郡までは二駅、次はうね、という駅



終点の上郡では、来た電車は折り返し同じホームから逆向きに出発する。あんまりこんなの見たことがない。終点といっても線路はまだ先に続いている。そういえば、昔は東海道線の快速だか普通だかの終点が上郡だった。今は乗り換えないと辿り着かないらしい。



第三セクターの智頭急行は、ここの同じホームの端っこの方に普通電車が停まっていた。



帰りに知ることになるのだが、上郡から智頭の間は三セクとJRが同じ線路を使っているらしい。車掌さんもこの間、智頭急行の人が担当していた。



ここで待っていたら、やってきた特急いなばは2両編成だった。2両目が自由席とのことで、乗りこんだら、既に何人か乗っている人がいた。ここが始発だと勝手に思い込んでいたが、違うようだ。でも出発した列車は、座席の向きが逆のままだった。スイッチバックか?いや、そんなはずはない。アナウンスで、向きが逆になるので、自分でシートを回転させてください、と言っている。うーん、まだよくわからないけど、岡山方面から上郡に入ってきて、そこから逆向きになるように鳥取方面に向かうのでシートが後ろ向いてるのかな?地図見たら何となくわかった。



1枚だけ車窓からの風景



到着



歓迎された。



さて、この町で2時間弱。まず、ひとつだけ行ってみたいと思っていた場所があるのでそこへ向かおう。



歩いたら30分位かかるらしい、ちょうど駅前のバス停に目的地を通るコミュニティバスが停まっていたのでそれに乗り込む。地元の人と思しき高齢の男女で7割方座席は埋まっていた。皆どこへ行かはるんかな、と思いつつ私の降りるバス停に到着したら、これはこれは!たいへんたくさんの人が同じ場所で降りはった。地元の人じゃないの?観光?



これが久松山なのだね。



ここへも寄りたかったけど、時間切れで入れなかった県立博物館



目的地の仁風閣



右手には石造りの歩道があるが、私は砂利敷を正面から歩いた。



真下から見たらこんな感じ。



たくさん降りた年配者のうち何人かは、こちらでこの日行われるコンサートのお客さまだったようだ。鳥取島根からの方はこちら、それ以外はあちらで受け付け、と言われて窓口に向かった。土足厳禁なのでスリッパで移動。



趣のある階段を上ると



命名者、東郷平八郎が自筆した額



かなりの部屋を見て回ることができた。



トイレも



ここは寝室らしい。



御座所、とあった。



謁見所らしい。



建物の片側にベランダがあるのだが、ここを見た時、塩屋のグッゲンハイム邸を思い出した。



サッシの色が違うけど、雰囲気は同じだ。



二階から見た市街地の様子



庭園の様子



ベランダ側から撮ってみた。



食堂



他の部屋にもあった寝椅子、食べてすぐ寝たらウシになるよ。



ここは国の重要文化財に指定されているが、映画等のロケにもよく使われているようで、今話題の『るろうに剣心』ロケの様子が掲示されていた。



8/25と書いてあるけど、確か延びたんだよね。



二階から螺旋階段を撮った時は気づかなかったが、



この階段には支柱がないらしい。



なんと!ほんとだ。どうやって作ってあるのだろう?



仁風閣を後にして、鳥取城址の石垣を見ながら



ご飯を食べに行く。中は見られなかったけど、博物館の中のレストランで美味しいものを。



鰺フライ美味しかったのに、実は時間が気になって大慌てで食べた。ゆったり楽しみたかったなあ・・・。時間のかからないカレーにすればよかったかな。この後、バス停を探すより歩こう、と思ったのが良かったのか悪かったのか・・・。やはり30分はかかるようで、駅に着いた時にはほとんど時間に余裕はなく、お土産一つ買うこともできなかった。すなば珈琲買おうと思ってたのにな。

帰りはちゃんとスーパーはくとに乗れたので、いなばとの違いを確認しながらのんびり本を読んだり、景色を愛でたり。いなばは2両編成だったけど、はくとは5両付いてた。昔々、山陰線で田舎に帰っていた頃、『白兎』は急行だった覚えがある。我が家は『まつかぜ』に京都から乗った。亀岡から乗ったこともあったが、あれは夜行だったろうか。山陰線の旅はとても時間がかかった。今もそうなのかな。検索してもなかなか出てこない。

朝の大失態のおかげで、上郡までは旅気分でなくなっちゃったけど、その分新しい発見もあり楽しかった。安い切符じゃないと出かけられないけど、またふらりと出かけてみたいな、と思った一日だった。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「お出かけ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事