灰色人
1
善人のなかに善が住むのはあたりまえ
しかし じつは悪も忍び込んでいるのだ
私はオール善人などと思い上がるわけにはいかぬ
悪人のなかに悪が棲(す)むのは納得がいく
しかし 善だって住んでいるのかもしれない
子どもを愛するとか花好きとか聞いたことがある
善と悪 すっぱりと割り切れない我々
白と黒のどちらももった灰色人
なのかもしれない
ちょっと善が多ければ 善人といわれる
少し悪が多いと 悪人と呼ばれる
そんなところなんだろうか われらニンゲンは
2
善人の前へ出ると
ぼくだって善人になれるのだろうか
できたら善人になりたいと憧れる
意地悪な人の前では卑屈になってしまう
または虚勢を張って横柄な口をきいてしまう
器が小さい そう妻からわらわれてしまうぼくだが
ああ善きひとってほんとうにいるんだ この世に
灰色でなく真っ白の
いや真っ白なだけじゃない 透き通っているひと
塵芥(ちりあくた)を全部包んでこの汚れた地球へ舞い降りてくる雪のような
ひとの悪も罪も全部くるんで「大丈夫、白くなれるよ」と言って
手も心も優しくぬくめてくれる善きひとが
★たんぽぽの 何とかなるさ 飛んでれば ★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。
テレビに映る、罪を犯した人のことさらワルそうな顔。ああ「悪人」だと、己を度外視して断罪してしまうところがあります。その人たちは相応の刑罰を受けるのですが、われわれの「正義感」は、もっと罰のきつさを求めてしまうこともあります。
一方、国を操り、争いをしかけている「悪なる政治家」。にこやかに笑ったりする顔を見ると、憤りに加えて人間の哀しさも感じてしまうことがあります。わずかでも「善の心」が残っていはしまいかと、期待しつつ祈っているのです。