長く生きてきたひと
長く生きてきたひと
―頼るのは自分のあし
―信じるのは自分の耳と目
そうつぶやいた
長く生きてきたひと
舌は苦い物をたくさんなめた
指は冷たくなった体にたくさん触れた
運命は頼るこころを棄てさせた
長く生きてきたひと
きっぱりとした言葉をもち
背筋をのばして歩いた
自分の罪に悔いはなかった
●ご訪問ありがとうございます。
ある人が古希(こき)をこえて表現した詩に、何ものにもよりすがらないというような言葉を書いていました。死を見つめながら自分の一生をふり返り、何も悔いることがない、苦しみながらも独りでまっすぐに生きてきた、という誇りのような言葉に受け取れました。
わたしは蔓(つる)のように神によりすがらないでは生きていけない弱い者です。悪やら罪やらを押し入れにため込んで生きてきたような者です。異なった道を歩んだひとがいたのだなあと思いました。