原 民喜「永遠のみどり」に導かれて
ヒロシマをうたい続けた詩人・原民喜の「永遠のみどり」に導かれた。
灰色の街・緑の街
灰色の雲
灰色の街
黒い雨 黒い滴(しずく) 黒い屍(しかばね)
潰れた電車
潰れた馬
焼けただれた瓶(びん) 焼けただれた瓦 ひとが溶けた石段
緑という色がきのうまであった街
そのことに
だれか気づいた?
何も無い というものが在る
家もビルも学校も病院も豚小屋も
ぜんぶ焼けて「広場」となった街
五十年は樹を見ることはない
だから緑色は要らない絵の具だ
そう言われた街
少年たちが制服に袖を通す まっさおな制服
少年たちが制服に袖を通す まっさおな制服
少女たちが弁当をひろげる まっしろな米がつまった弁当
サダコ*のきんいろの鶴も天から還ってくる
―ここはいま 緑の街
*サダコ…佐々木禎子。広島の平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデル。12歳で原爆症のため亡くなった。亡くなるまで、生きる望みをかけて鶴を折り続けたという。
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原民喜「永遠のみどり」
ヒロシマのデルタに
若葉うづまけ
死と焔の記憶に
よき祈よ こもれ
とはのみどりを
とはのみどりを
ヒロシマのデルタに
青葉したたれ
昨日2023年1月24日、ロシアがウクライナ侵略を始めて11カ月も経ってしまいました。ウクライナに再び緑が戻るまでに、いったいどれほどの時間が必要になるでしょうか。