日向ぼっこ
1 孫の小石
ちいさな黒い石を
孫がくれた
ちいさな手で
ひろって
言葉がまだ出ない口で
ウーウーといいながら
わたしの掌(て)のうえで光る
孫の石
黒いちっちゃな石が
うれしさをぎゅっとちぢめて
黑い瞳(め)といっしょに
光る
2 連呼
売り場以外で連呼する店員が
いるかしら?
選挙以外で連呼する政治家が
いるかしら?
まごころで
親しげに
─コンニチハ!
コンニチハ!
コンニチハ!
通りすがりのぼくに
満面の笑みで連呼してくれた
あの
見知らぬ男の子
3 お天気のあいさつ
夏になると
─きょうも暑いですねえ
―ほんと、暑いですねえ
冬になると
─きょうも寒いですねえ
―ほんと、寒いですねえ
何でもないことば
路地裏のことば
けれど 汗にひかる太陽が
とがった北風が
産地直送のように
じかに届く
そんなお天気のあいさつが
大好きです
4 笑顔
電車が発車すると
ちいさな手が振られた
おかあさんの手も振られた
顔だけ女の子に向けて
電車のなかのひとは
だれの手が振られたのかしらない
ちいさな踏切のわき
ふたつのはじける笑顔
●ご訪問ありがとうございます。
紫陽花を見ながら、七色の虹を思いました。また、孫たちのそれぞれの笑顔を思い浮かべました。日々の暮らしのなかに、ほんのちょっとのよろこびを見つけられたら、それだけで感謝のいち日になるでしょうか。