祈りを、うたにこめて

祈りうた(信仰くねくね  「聖書を読もうかな」という時1)

〈信仰くねくね〉「聖書を読もうかな」という時1


 
 初めて買った聖書、それは、高校への通学路にある古本屋の棚にあった。その後、聖書には多くの日本語訳があることを知ったが、当時のわたしには、口語訳のそれが唯一の聖書だった。
 それは小型で厚かった。紙が薄いので重たくはなかったが、手にズシリと響いたような気がする。霊的な重みを感じたのかもしれない。
  わたしは、それを何かしらの「決意」で買った。いつものような文庫本を買う気持ちでなく、もう少し改まった、いわば正座をするような気持ちで買ったのだと思う。


  初めての聖書

本好きの高校生が 
ある日聖書を買った

黒い表紙のその聖書はまぶしかった
こころの秘密を探るものなのか 
未知の世界への案内書なのか
かばんへしまったとき なんだかドキドキした

裏表紙をめくって
―十七才
そう書いた 名前を書いたその上に

それからたびたび聖書を買った
 日本語訳は何種類もある
新旧全部そろった聖書だけでない
旧約聖書だけのもの
新約聖書だけのもの
気取って   英語と対訳になったものも
駅前で配られていたものもある

けれど最初に買った聖書
それはいまも特別のものに思える


 しかし、その聖書を熱心に読んだかというと、そうではなかった。聖書には創世記や詩篇などの「旧約聖書」というかたまりと、マタイの福音書や黙示録などの「新約聖書」というかたまりとがあるのだなと、そのくらいの知識を得た程度だった。「約」は「契約」の意味で、神の古い契約(イエス・キリストをこの世に送ってくださるという契約)と、神の新しい契約(イエス・キリストがこの世を救ってくださるという契約)があることを知ったのは、もっと後になる。





★わが影を 肩車して 青き踏む 
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。

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