企画編に引き続き、ミニアルバムのピックアップです。
対象は収録曲が８曲以下で２５００円以下のアルバム。
楽曲の密度が濃いだけに、毎年激戦のゾーン(笑)
今年のミニアルバム、筆頭に挙げられるべきは、２年連続で実にハイクオリティな作品をリリースしてくれた南波志帆の『君に届くかな、私。』
去年は、フルアルバム部門でのエントリーでしたが、今回は諸事情によりミニアルバムの方へ。条件変更してまでピックアップしたかった(笑)のは、偏にこのアルバムの完成度の高さに尽きます。
プロデューサーやコンポーザー陣は、前作とほぼ同じですが、志帆ちゃんのヴォーカルの存在感や曲の出来が格段に上がっている気がします。
プロデューサー、矢野博康の審美眼の確かさが表れていて、全体に漂う凛とした空気感が心地いい。
堀込高樹や宮川弾、西寺郷太、コトリンゴといったポップ職人の作るメロディラインと、志帆ちゃんの何ともいえない柔らかさと芯の強さを併せ持ったヴォーカルの相性がバッチリなんです。
アルバムに収められた８曲に一切のムダが無い。
無限の可能性を秘めた、ハイポテンシャルな１６歳の将来が楽しみで仕方ないですよ。
２つ目は、FREENOTEの『チョコレートボックスオーケストラ』
今回も、非常に質の高いポップスを送り出してくれたと思います。
メンバーが２人になっても、基本ラインは変わるコトなく、無駄な虚飾を削ぎ落としたポップミュージックのコアを抽出した様な楽曲が並んでいる。
華やかなヒットチャートの世界とは無縁かもしれませんが、この作品の質は決してそんな派手な存在にも負けていないと思うのです。
音楽の良し悪しは、結局のところ“キャッチーなメロディ”と“センスのいいアレンジ”、そして“ココロを鷲掴みにするパフォーマンス”なんだなって確信させてくれる作品でした。
真に、ガールズポップとは斯くあるべし、というべき一枚。
３枚目はMissing Linkの『Dream Catcher』
前々から注目していたガールズポップユニットが、ついに満足のいくアルバムを仕上げてきました。
ダンスもラップもヴォーカルも器用にこなす彼女たちですが、作品に関しては少々ムラがありました。
しかし、今回は楽曲が粒ぞろい。
事務所やレーベルも契約を切って、全てを自分たちでやる様になったコトで、気合が入ったかな？(笑)
ポップなコーラス＆ラップが気持ちいいタイトルチューン、イントロのカッティングからグルーヴを振りまく「Don't stop da MUSIC」、妙に懐かしいメロディラインが印象に残る「百万年の恋」という冒頭の３曲で、このアルバムの評価は決まった様なもんでした。
カッコよさとベタな感じのバランスがイイんですよね。
コレはサウンドメイクのYANAGIMANが、ケツメイシなどで培ったノウハウを惜しみなく注いだ結果なんじゃないでしょうか。
４人のキャラクターやヴォーカルのバランスの良さも、実にイイ具合にブレンドされていると思うのです。
４枚目、ミズノマリ『Mariage』
大好きな、スタイリッシュポップユニットであるParis matchのヴォーカル、ミズノマリさんが満を持してリリースしたソロアルバム。
パリスマ本体とは少し趣の違う楽曲群を、彼女は実に心地良い声で表現する。
今年リリースされた音源の中でも、トップクラスの気持ち良さを誇る歌を聴くことができます。
堀込高樹、筒美京平、西寺郷太、小西康陽といった作曲家の作品は、全体に柔らかさと暖かさを兼ね備えていて、マリさんの声にマッチしているんだね。
もっと色んなクリエイターとのお仕事、期待しています。
最後は、KAKOiMIKU(カコイミク)の『DIGIDIGI LALA』
大橋トリオ(大橋好規)プロデュースによる、オーガニックな手触りを持ったポップアルバム。
彼女のヴォーカルの本質であるＲ＆Ｂテイストを抑え、柔らかい味わいを持った雰囲気を纏わせたのは流石です。
如何にも大橋トリオらしいシゴトだなぁと感心させられました。
ウッドベースやフルート、ハモンドオルガンといった楽器の、細かなフレーズが実に良く練られていて、そんなディテールの拘りが仕上がりのクオリティを格段に上げているんだなぁ・・・・・
タイトルチューンは、本当に聴いててワクワクするミドルグルーヴ。クールだけど暖かくてスタイリッシュという、三拍子も四拍子も揃った名曲だと思います。
今年もまた、女性ヴォーカルものだけという偏った結果になりました。
ガールズポップが好きだから仕方ない、と開き直っておきましょう(笑)
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