日本グルーヴチューン振興会

さとうもか『GLINTS』

久しぶりにレヴューを書いてみます。とは言っても単なる感想文ですが。



さとうもか
『GLINTS』


2020/8/5リリース
SOUND SKETCH
ANCP-006


岡山が誇るシンガーソングライター、さとうもか。彼女が1年5か月ぶりに放つ渾身の3rdフルアルバムです。
前作までに漂っていた若干の箱庭感が消え、めちゃくちゃ外に開いた印象があります。メジャー感といいますか。レーベルは地元・岡山のインディーにもかかわらず。これから、もっと多くのリスナーにリーチする作品だと思います。




1曲目のタイトルチューンから、さとうもか節が全開。最高のメロディーラインをTENDREのアレンジが更に高みに引き上げる。毎年、夏になると聴きたくなるだろう名曲。
2曲目の「オレンジ」は個人的にベストトラック。変幻自在でキャッチーなメロディーとアレンジ、演奏がガッチリ噛み合って最高です。シンセを担当するのは岡山が生んだ鬼才、盟友でもある“きゃのん”こと、かねこきわの。ドラム:かねもとまさや&ベース:中川翔太が生み出すナイスグルーヴも素晴らしいですが、何より小川佳那子さんの鍵盤が最高に気持ちいい。
3曲目は同じく岡山が生んだ俊英、SPENSRのアレンジによる「Poolside」。いかにもスペンサー印な佇まいが染みます。
4曲目は一番ライト層に届きそうなギターロック「愛ゆえに」。中川くんのギターがエモい。





5曲目はANATAKIKOUの松浦正樹がアレンジしたテクノポップ「パーマネント・マジック」。6曲目「Strawberry Milk Ships」は野球がテーマのミュージカルチックなナンバー。ちなみに私、この曲聴いてスペクトラムの『スペクトラム・ブラスバンド・クラブ』というアルバムを思い出しました。コンセプトとかテイストが近い感じがして。
鍵盤と歌でシンプルに聴かせる切ない「あぶく」から、新進気鋭のサウンドクリエイター:浦上想起アレンジによるトロピカルな「アイスのマンボ」への流れも秀逸。この曲のBメロからサビは神がかっていると思います。
9曲目「My friend」で楔のように刺さるガットギターとヴォーカルの浮遊感で夏の暑さをクールダウンして、エンディングの「ラムネにシガレット」に。このラストナンバーがまた実に良いのです。強烈に心を掻きむしる中川くんのギターと端正な小川さんの鍵盤の対比にやられます。最高にエモーショナルなサマーアンセム。

さとうもか、というSSWの抽斗の多さが十二分に感じられるバラエティー豊かな曲が揃っていますが、妙に統一感を感じます。ユーミンやaikoを引き合いに語られる彼女ですが、個人的には前にも書きましたが服部良一先生の様な小粋なポップネスが魅力。あと柔らかさと微妙なスモーキーさのバランスが絶妙な歌声も。

本当に素晴らしい逸材。もっともっと聴かれて欲しくてたまらない存在。

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