アルバムのレヴュー書くのって半年ぶりくらいでしょうか・・・
彼については既に色々な方が文章になさっていますし、私の拙い感想など今更いるんだろうかとは思うのですが。
藤井 風
『HELP EVER HURT NEVER』
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2020/5/20リリース
ユニバーサル
UMCK-7064/5
岡山県出身、若干23歳。端正なルックス、年齢不相応な色気、漂う大物オーラ・・・どう見てもブレイクしない方がおかしい素材。しかしながら、お茶の間への浸透具合が思っていたほどでもない感もあったり。
その辺りはやはりコロナ禍という時期の悪さもあるのかとも思うけど、個人的には優れすぎているんじゃないかという思いもあったりする。大衆受けするのにダサさとマイルドヤンキー臭は必要不可欠だと思っているんだけど、彼にはそんな要素が薄いんだよね。田舎育ちなのに(笑)
彼の音楽には圧倒的なインプットの量がある。カヴァー動画のラインナップを見ても、古今東西を問わずあらゆるジャンルの音楽を自分の意匠を乗せて歌っている。実にいい環境で育ってきたんだろうなと思わされる。
メロディの組み立て、コードのチョイス、のせる言葉のインパクト、個性の塊のような歌声、全てが見事なバランスで成り立っている。
ただ、個人的にはもっともっと高みに登れるポテンシャルがあると感じる。アルバム1枚を全くダレることなく聴き切れたかというと、そこは若干の疑問符がつく。もう少しハネるグルーヴチューンが欲しかった。これから先が楽しみ、という意味ではファースト・アルバムとして正解なのかもしれないけど(笑)
好きな曲としてはやはり、ファーストインパクトの強烈な「何なんw」が素晴らしい。どっしりしたリズム隊と軽やかなギター、キャッチーなフック満載のサビ、岡山弁の歌詞の強さ、非の打ち所がないグルーヴチューンです。
サビにダリル・ホールの香り漂うソフトソウル「ももええわ」も秀逸。
そして、アルバムのラストを飾る壮大な「帰ろう」は彼のスケールの大きさを感じられる。ダイナミックなストリングスとヴォーカルの絡みは心に確かな爪痕を残します。
Yaffleこと小島裕規氏のサウンドプロデュースも素晴らしかった。アルバムがアルバムとして意味を持っていると感じられる作品になっていたと思います。
最後に、限定盤についていたDisc2について。藤井くんの歌とピアノで洋楽の名曲カヴァーをやっているんですが、彼のセンスの良さはこっちの方が伝わるかもしれません。私は、原曲より好きな曲けっこうありました(笑)
マイケルの「ビート・イット」とかピアノのグルーヴが素晴らしくて。オージェイズの「裏切り者のテーマ」とか一人でカヴァーしてるのに全く遜色ない。ぜひ、このカヴァー集も聴いて藤井くんの声の魅力を堪能して欲しいと思います。