カナディアン号は、いわゆる寝台特急ではない。
最近注目を集めている、某JRの ななつ星とか、四季島とか、瑞風とか、あんなのを想像してはいけない。
高耐摩耗耐内部疲労損傷性レール(変なところに詳しいワタクシ)の上を、車輪の軋む音を轟かせながら荒々しく駆けていくカナディアン号の居室は、常にノイズと振動にさらされ、安らぎの場所とは程遠い。
幾度となくすれ違う貨物列車に象徴されるように、これはカナダの物流、産業を発展させるために造られたもの。
大陸横断鉄道 なのだ。
移動には何日もかかるので、旅客のために居室が設けられ、それだけじゃアレなので、せめてメシだけでも美味いものを、ということで食事だけが豪奢なのであろう。
車窓に目をやろう。
何度も何度も、要塞かと見まごうような岩の塊を見た。
湖や池や川が無数にある未開の大地で、
先人たちは岩を砕き、山を拓き、
この線路を敷いたのだろう。
それはどんなにか困難なことだったか。
Great achievement だ。
その線路を、乗客のための静寂なんかお構いなしにひた走るカナディアン号は、もしかしたら繊細な人には不向きかも知れない。
だけど、人生のうちでもあまり経験しないであろう景色に出会い、日常にはない特別な時間を過ごせるという意味では、一度くらいは乗車してみても良いのではないだろうか?
かなりな道中、携帯電話のキャリアも見つからないぐらい、ネットからも隔離されてしまうが、時間の流れも合わせて感じることのできる、貴重な経験ができたのではないかと思う。
以上、ワタシのリコメンドでした。
(つづく。次回いよいよ下車か?!)