馬屋記ーヤギとクリの詩育日誌

南フランス田舎紀行(21)ミディ運河の港町、カステルノーダリ

カステルノーダリ Castelnaudary は、ミディ運河の美しい港があることで有名である。

トゥールーズとカルカソンヌのちょうど中間に位置している。この辺りはかつてローラゲ地方と呼ばれていた。

街の中心部にはローラゲ博物館 Musée du Lauragais もある。

オクシタニー地域圏、オード県にある人口1万人弱の町である。

この町の名は、1103年頃ここに、Castellum Novum Arri(仏=château neuf d’Arius;「アリウスの新しい城」)があったことから来ている。

その城は13世紀初頭、カタリ派の牙城となった。『アルビジョワ十字軍の歌』では、1211年に激しい戦いがあったと歌われている。トゥールーズ伯とフォワ伯の連合軍は十字軍の総指揮官シモン・ド・モンフォールに包囲され大敗する。

街のうえから運河が見える。街は少し小高い丘のうえに築かれている。

こういう坂が激戦地となった。

旧市街は路地が入り組んでいて中世の面影をのこしている。

ミディ運河 Canal du Midi は、17世紀後半に土木工事された、地中海のセットから大西洋岸のボルドーに至る大運河のうち、Midi(南フランス)の部分のことである。

ボルドーのワインを地中海に運ぶための大動脈だった。

水門で水の高さを調整して船は高低差を移動しなければならない。

カステルノーダリは、その運河を行き来する船の停泊港として栄えた港町である。

水門を長い時間かけて一艘のボートが通過するころには、待つ船の行列ができている。

さて、カステルノーダリの有名な食べ物はカスレである。カスレは、豚肉ソーセージや鴨肉などの肉類と、インゲンマメなどの野菜をカソールという陶器の鍋で煮込んだ郷土料理である。
以前、カルカソンヌの観光地でカスレを食べたときはあまり美味しいと思わなかった。そのことをトゥールーズの友人に話したら、ぜひカステルノーダリで食べてみろと評判の店を教えてくれた。

その名も「カスレの家 」Maison du Cassoulet という名のカスレ専門店。たしかにぜんぜん違っていた。岡山の老舗ラーメン店「小紫」の熊本風豚骨スープを思い出した。コクがあるのにあっさりした味で、赤ワインによく合った。2階は車で来た客がワインを飲んでも泊まれるようにホテルになっている。

ワインはちょと奮発してメドックのクリュ・ブルジョワ2014 を選んだ。


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