馬屋記ーヤギとクリの詩育日誌

南フランス田舎紀行(03)トゥールーズ散策、その1サン・セルナン大聖堂

石畳とブリック(赤茶けたレンガ)が美しいトゥールーズ旧市街を歩く。

自転車が多い。
石畳の振動に耐えられるような頑丈な自転車ばかり。
このおじさんが乗ってるのは市営のレンタル自転車。
いたるところで1€で借りられ、別のステーションで乗り捨てできる。
旧市街への車の乗り入れは基本的に制限されている。
今回出会ったカーボンのロードバイクは、郊外でのみ。
サイクルスーツで決め切った女の子がLOOK(フランスの自転車メーカー、TIMEもそうだが、なんでフランスらしい名前にしないんだろう)で疾走していた。

フィラチエ通り Rue des Filatiers 界隈も歩行者天国。
8月も終わりだというのに、日中は暑い。
歩いていると汗ばんでくる。
30°Cぐらいになる。
それでも日本よりはずっと涼しい。
空気が乾燥しているので過ごしやすい。
朝晩はちょっと寒いくらいだ。


サン・テチエンヌ大聖堂 Cathédrale Saint-Etienneで休憩。
大聖堂のわきには広場がある。
こういう何もない空間に、豊かさを感じる。
狭い路地からスーっと開けたところに出た瞬間に、風のようなものを感じるのだ。


このカテドラルは14・5世紀のゴチック様式。
10世紀頃のロマネスク様式をもとにして増築されている。
南フランスにはこういうのが多い。
ケルト/ローマ・バジリカ/ロマネスク/ゴチック/という各時代の様式が層になって積み重なっている。
天井を見るとわかる。
ヴォールトと呼ばれる柱骨が天井で交差している。
しかし北フランスのゴチック様式の大聖堂ほどあまり天高く聳えておらず、
どっしりとして、砦っぽい。
ステンドグラスもそれほど派手じゃない。


フランスで最大のロマネスク教会サン・セルナンバジリカ大聖堂 Basilique Saint-Sernin de Toulouse 前にも広場がある。
11世紀、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路だった。
土曜午前にはここで蚤の市が開かれる。


バジリカはローマ時代の建築様式。カテドラルは司教座(カテドラ)の置かれた教会。
どちらも大聖堂と訳されるが、当然バジリカのほうが古い。


このバジリカ教会の名前の由来となった聖セルナン、ほんとうは聖サテュルナン(ラテン語ではSaint Saturnin)。
この聖人の肖像画が教会の内部にあった。
ここには殉教の司教と記してある。教皇ファビアンが3世紀ごろケルト人征服のために送り込んだ。
当時は征服者と聖人(エバンゲリス=使徒)は紙一重だった。
フランス中で布教活動をしたあと(サン・サテュルナンという名前は町の名前にもなっている)トゥールーズで死刑になった。


牛にひかれて全身ばらばらに切り刻まれた、らしい。


サン・セルナンバジリカ大聖堂の天井は完全なロマネスク様式。かまぼこ状だ。


昼食は、ヴィクトル・ユゴー市場の2階にある鴨料理専門店で。
ランチタイムが終わる2時すれすれに入った。
ワインはフランス南西部の地酒、フロントン Fronton のシャトー・グランサック Château GRANSAC 2015。
マグレ・ド・カナール(マガモの胸肉料理)によく合う。

柑橘系のソースをかけたステーキが最も美味しい(この写真は2017年)のだが
時間が遅かったので売り切れ。しかたなくロースト肉を添えたサラダにした。
かなり濃厚なワイン(たぶんブドウはマルベック種)によく合った。
ナイフを持っていなかったので「これくれない?」というと
店のマダムはにっこり笑って、「サ・ヴァ、サ・ヴァ、アレ!ビヤン!!」


バンベール記念財団 Fondation Bemberg の入口にルーカス・クラナッハの旗があった。
この建物はこの地方一帯でとれたパステルで大もうけした豪商が建てたもので、展示してある収蔵作品もバンベールという商人が集めたらしい。
北方ルネサンス系が見られると期待して入った。

ルネサンス彫刻がたくさんあった。

ルネサンス絵画がたくさんあった。

クラナッハ、ブリューゲル、ヤン・ファン・エイクがところせましと並んでいる。
主人はフランドル派が好きだったのか、

北も南もあった。

バタイユじゃないけど、
クラナッハの描いた女性は痩せているのに豊満、
変なエロティシズムを漂わせていた。



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