馬屋記ーヤギとクリの詩育日誌

つらなりのほつれ fray of sequence(24)受難を、バラ巻く。

バラの精油をもってきた、
調香師の頭に
受難がひかえめに実をつけて。

ハーブ園を迂回して、うれしい知らせが繁茂している。鬼ごっこが好きなそのオス山羊は、死海文書の後書きで戦ってきたところだ。大勝利、お疲れさま。挨拶といっしょに草叢に隠れていた銃口から発せられた予言―乙女から男の子が生まれる―には、養父の耐えがたい生き方が硝煙のように匂っている。その向こうの生垣でバラが咲いていたはずなのに今はアブラゼミの受難がとてもひかえめに実をつけている。調香師の古い友人がバラの精油をもってきた。豚の脂といっしょに花びらを加熱して酒精 CH3CH2-OH で抽出した。奇跡のしずく、うれしい。イバラは裏の納屋、たいせつに保管している。いつか頭に、巻いてやるために。


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