――2022年9月9日の満月。22時30分頃、雲からやっと顔を出した。三脚がなかった。マニュアル撮影にして、シャッタースピードを落とす。手持ちではこれが限界。三脚を探しにいってる間に、月は雲に隠れた。
月を愛でるための
筋力が、たりない。
じめっ、と濡れた記述体でもいいから
さあ出かけるぞ、自分さがしの圏外へ。
成れるものなら、
なんにでも成る。
雲のあいまいをぬって
自転車で走るピエロが
満月、したら?!
を、欲望に押しあげて
よいところだけ伸ばしてみる
つたない生成論にうんざりの
バケツにはった水の面で
月が傘をためらっている
落とすものは、
涙しかないのに。