馬屋記ーヤギとクリの詩育日誌

青いイルカの夢(46)心音、ぷかぷか。

あまりに
侘しげな彩度をおびている
音がある
カキツバタを映す
水面には金魚が
口語を、ふかふか。
記憶ズレする
その瞬間の形象とは
だれにとっても
音声化されえないまま
午後のジャスミン茶を飲んでいる
漢詩にほかならない
あるいはその形式には
木漏れ日の水盤を置いて
手をよく、
洗ってくださいな。
絶句にて
はっきりさせるべきはふかふかがぷかぷか化した
旅の雨だ
聲変わり前の高音でひびく
また旅に、
出るのですか?
それが、どうした。
あまりにも
とげとげしく叱りつけるこちらの聲には
色がある
愁いのぶんだけ
大人びたその聲で
追懐が
心音を、ぷかぷか。


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