こういう辛辣な手紙を書くことで、マーク・トウェインは、気が軽くなった。

　　　　　マーク・トウェインは、時に腹を立てて、激越な手紙を書くことがあった。

たとえば、こんな手紙がある。

「君には、死亡証明書が、ぜひとも必要だ。

それをとるお手伝いなら、いつでも喜んで引き受けましょう」


また、ある時は、出版社の編集長に、次のような手紙を書き送った。

「私の原稿に手を入れて、綴りや句読点を変えるなど、

大それた真似をする校正係に伝えていただきたいーーーー 以後、

原稿どおり忠実に校正し、自分の考えは、自分の腐った脳みそに、

しっかり練り込んで、悪臭がもれないように封をしておけと」


こういう辛辣(しんらつ) な手紙を書くことで、マーク・トウェインは、気が軽くなった。

おかげで、怒りも収まり、しかも、手紙からは、何の実害も生じなかった。


ーーーー 奥さんが、こっそりと その手紙を抜き取って、発送しなかったからである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｄ・カーネギー　人を動かす　　　山口 博 訳より