僕のもう一つの持病は、鬱病だ。
思い起こせば、かなり昔の、自分が少年だった時からの付き合いだと思う。
僕は、酷く情緒不安定な少年だった。
割と恵まれた家庭環境だったと思うけど、ある時ふと世界は自分を中心に回っているかのような気分になってみたり、突然些細なことで世界一の不幸を背負った少年になったりした。
中学校や高校の時から孤独を感じることがたびたびあり、大学生になり、一人暮らしを始めると、もっと深刻になった。
1人は辛かった。
僕は、大学一年生の頃に、当時1年前から付き合っていた彼女と別れた。
要はフラれたわけだが、自分が勝手に遠い大学を選び、年下だった彼女を地元に置いて出て行ってしまったのだから、しょうがない。
でも、僕はその子のことが本当に好きだった。
住みなれた街を出たのも、彼女を守る強い力を手に入れるためだった。
自分勝手な話。
僕はまた不安定になった。
秋口にひとりぼっちになったので、その冬は辛かった。
知らない夜の街を、1人歩いた。
知らない路地を行き来し、居酒屋から漏れる明るい笑い声を尻目に、僕はどうしてあの住みなれた街を捨てたのだろうかと考えた。
あの空気を捨てた。
当たり前の、少し煩わしいくらいに温かいあの空気を捨てて、どうしてこんな冷たい空気の街にやってきたのだろうか、と。
あの子の面影を、その遠く離れた街で探した。
後ろ姿がよく似た女の子を何度か見かけた。
彼女の代わりを必死に探していた。
でも、見つけることができなかった。
優しくしてくれた女性にも、僕は冷たかった。
そうじゃない、と思った。
そして、僕は1人だった。
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