5月のトランジションうつくしま合宿に来てくれたノリさんから、
福島の現状を見て、対話の場を設けませんかという申し出があり、
急遽、開催が決まったこの合宿。
6月のトランジションうつくしま合宿の報告にも書いたように、
今、なんか話しをすることをみんな求めているし、そういう場、必要!
どんな感じになるのだろうと思いつつ、当日を迎えました。
この対話は、プロセスワーク、というものがベースにあるので、
もう既に、「福島でやりませんか?」っていう話が出てきたところから、
そのプロセスははじまっていると考えるんだよね。
詳しくは書ききれないので、そこは省くけれど、
当日は、想定外の良い天気。
まずは、ランチ&自己紹介から始まりました。
【1日目】
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スタートは、裏磐梯フォレストスプリングスのレストランから。
鯉沼と奥にある山が美しい場所なので、お気に入りの場所です。
天気がいいので釣り客も多く、沼の上でプカプカ、カヌーに乗ってつりをする人の姿も。
参加者が1人遅れてくるとのことで、2名+私達2名+ノリさんの5名でスタート。
初めて会う人もいないので、自己紹介は後からにして、
いろいろ雑談しながら食事。
あまりの天気のよさに、プカプカしたいなぁという声も。
でも、時間のことや遅れてくる人のことを考えてやめることに。
●自己紹介とトピックだし
食事の後は会場に戻って、自己紹介とチェックイン。
チェックインとは、今ここにいる自分の感じなどを皆に話すこと。
どんな気分とか、何で来たかとか、何を言ってもいいのです。
そしてまずは、この二日間で話したいトピック出しをしました。
遅れてくる人待ちということで、ちょっと休憩しながら、ウクレレ弾いたり、まったりな時間がしばらく続くき、
全員がそろったのが16時30分ぐらいだったかな。
また、自己紹介とかをやって、残り時間は外の自然の中に出て、
自分が気に入った場所や風景、植物など何でもいいので、それを味わう時間を持った。
そこまでやって、お風呂と夕食タイム。
香の湯という温泉に行き、宿泊場所にご飯のために移動。
フランス料理フルコースを食べながら、みんなでいろんな話しをする。
その隣では、家族連れやおじ様たちの集団がリゾートな感じで楽しそうに食事をしています。
●夜のセッション ロールプレイ
食事が終わると、夜のセッション。
お部屋をひとつお借りして、そこではじまりました。
「なんか、原発とか放射能の話しと、この場所の感じってミスマッチだね」
なんていうところから話がスタート。
裏磐梯はリゾート地なので、気持ちよい場所がいっぱいあるので、
みんながリラックスしたり、ゆるんでいる姿は普段なら、とても嬉しいことなのですが、
対話合宿なのに、自分が話したいことがなかなか進まない苛立ち、
そして、この場所は私にとっては日常の場所だから、
自分は、この場所で、原発のことも放射能のことも世の中のこともいつも考えている。
だから、そのひと言にカチンと来たわけです。
で、そこで思ったことを言いました。
「私にとっては、ここが日常だし、ここでいつもそういうこと考えてるんですけどっ!」って。
ここで、普通に人が集まってる場だったら、し~ん、とするか、
みんな、どうして良いか戸惑うという反応をするところですが、
いやいや、これはプロセスワークのグループプロセス合宿です。
「あ、それそれ」
「なんか、来たね~!」
って、感情が出てくるのは、おいしいところなんです。
「その苛立ちって何なのだろう…」
ってところから、みんなの話が展開していく。
部屋の中に、「放射能の危険性を訴える人たち」と「何神経質になってんの?」という人たちの対立構造が現れる。
その間にある苛立ち、子供たちを守るため、もしくは原発事故の終息作業が何も進まない苛立ち、
夕食の時にガラスの向こう側の人たちがリゾート気分で話しているのに対して、
原発や放射能のことを話している私達のコントラスト。
それが、私が感じた苛立ちにも繋がっているのかなということも見えてきた。
放射能の危険性を訴える有識者、それにすがる一般市民、何もしない国や県、
日常に戻りたい人たち、様々な役割が立ち現れてくる。
そして、ロールプレイングのような流れになって行った。
自分達は、いろんな立場の場所に移動したり、
このあたりに、もうひとつ別な役割(ロール)があるのでは?
というのを探してみたり。
不思議なことに、自分がいやすい部屋の位置とか、
共感できるロールやどうしても共感できないロールがあったりする。
それを1時間半ぐらい皆でやって、夜も更けてきたので解散にした。
なかなか、進まないと考えていた1日目が、一気に進んだ。
【2日目】
●大地のエッセンス
午前中は、またチェックインをして、今日はどこからやりたいかを話した。
「昨日外に出てやった大地のエッセンスを感じるワークのシェアリングしたい」という声があり、
それをすることに。
自分で感じたことを、言葉で説明してもいいし、身体の動きや音など、
自分が表現しやすいもので皆に伝える。
ちょっと、みんなの話のメモ。感覚的なので言葉でなかなか伝わらないですが。
・近くの沼にいってみた。ぶっとい竜神様みたいな存在を感じた。
わらっていて、穏やかで楽しそうな感じ。
世界は何の問題もないと言ってる。
・沼と山のあるところ。沼に移る鏡写しの山。
現実と現実じゃない世界。それが連動していて、それを司っている力。
(腕をくるっと回して、その感じを表現してくれたけれど、私にはそれが陰陽、大極図に見えた。
みんな、同じようなものをイメージした)
・イネ科の植物に虫たちがいる様。植物が揺れている姿を見て、
何かを受け入れている感じ。自分も揺れてみて、そういう感じを味わう。
・磐梯山と山頂にかかる雲が気になった。
動けない山。自分に霧がかかったり、自分の上で植物や動物が生きている様子。
マグマは怒り?
自分が磐梯山になってみたら、そこに怒りは感じなかった。
人間に対しては「循環の中で生きていきなさい」
・アリの集団、羽の振動。雪で押された木が立ち上がるエネルギー。
ぶ~んという振動を感じる。宇宙を貫く振動。
(その振動に自分がなってみるということをその場でやった。)
・岩が気になり、その上に寝てみた。暖かかった。
磐梯山の一部だったのだろうということや、長くここにいる岩のことを思った。
そんな岩から自分を見ると、アリンコのように小さいと思った。
そのままでいい。
そういう、みんなの話を聞きながら、私はノートに絵を書いていた。
何か、それぞれが音を奏でていて、みんなで一緒になったらひとつの音楽が出来るのではと思った。
そして、それをやってみることになった。
それぞれが、好きな楽器を持ったり持たなかったり。
私は磐梯山だったから、ジャンベを持ってきて大きな音を出した。
みんなも思い思いの動きをしたり、音を出したり声を出したり。
なんか、ひとつのワールドが出来ていく。
ずっとジャンベを叩きながら、春夏秋冬で音を変えてみようと思った。
そして冬が来たら、そろそろ終わろうかな…と思ったときに、
また春が来るので終わらないことに気づいた。
自然の営みは終わらない、人間には終わりがある。
やってみて感じるいろんなことがあった。
●ロールプレイ
そして、お昼をはさんで、今度はまた、人間界のロープレ。
今度は国家権力がど~んと現れた。
世の中良くしようと思って政治家になった若者、
そして旧態然とした体制に取り込まれていく感じ、都合の悪いことは民衆に伝えず、
国民は国に従え! こんなにあなた達のために一生懸命やってるのに何が文句がある!という国。
えらそうな国家権力に、何でそんなにえらそうなのかと思った。
ちょうど、数日後、松本復興大臣の上から目線発言があり、彼は辞任に追い込まれたが、
その時のワークとシンクロした。
権力や権威、それにすがろうとする人々、自分達の力で自分達の暮らしを作ろうとする人々、
こども達を守ろうとがんばる人々などのロールが出てきた。
地域を良くしよう、子供たちを守ろう、
そういう中にも、「自分達の力で市民が力を合わせてやっていこうよ」という自立的なスタンスから、
「政治家や有識やの力に任せよう」という依存的なスタンスまで、
グラデーションがそこには横たわっているというのが見えてきた。
権力と無力化された人々。
私自身は、権力依存の種に凄く反応するんだということがなんとなく分かった。
依存的な人を見るとムカつくのであった。
ちょっと休憩を挟んで、自分が得た「大地のエッセンス」から、
今の自分を見たら、どう感じるかをやってみようということに。
しかし、やり始めたら、1人だとやりにくいから、皆で動くのをもう一度やりたいという声が上がった。
そこで、ランチ前に、みんなで自由に踊って音を出したワークを再度行った。
そこから人間を眺めたり、自分が人間になって輪の中に入ったり。
思い思いのことをやってみた。
私はなかなか人間になれなくて、ずっと磐梯山でいたけれど、
途中から国家権力のロールになったノリさんが、
その輪に入ろうと思っても入れず、ぶち壊そうとしても出来なくて、
無力化していった、という感想がとても印象的だった。
人間界のロールプレイの時には、国家権力をどうやったらぶっ潰せるのかと思って、
私は国家権力ロールの正面に立ったのだけれど、どうにもこうにもならなかったので、
ウクレレでも弾いてやろうかと思ったぐらいだったので、なるほどと思った。
***
今回は、福島で起きていることのあぶり出し、そして対話の器作りが目的だった。
何でも話せ、聞きあう場をつくるには、それを受け止める器が必要。
今回は大地のエッセンスを感じるワークで人間目線から離れた物事を見るという場をつくることが出来た。
私達がこの合宿の呼びかけ文を考える時の話題に「村上春樹のカタルーニャスピーチ」があがっていたことを思い出し、
大地のエッセンスで皆で奏でた音や動きから、「ダンス・ダンス・ダンス」が頭に浮かんだ。
それから、私の個人的なプロセスなんだけれど、最近、音楽や音というものが
この場に必要だというのをしばしば感じることが出てきた。
そういうことが渦巻きながらの第1回目の対話合宿は、この先どこに流れていくのかも、
また、想像できないけれど、場づくりとしてはなるようになったのだという気がしている。
そこに「本当は」何が起きているのかを感じとる事、そして何が起きようとしているのかについていく事、
これを、また重ねてやり続けることが、ウソの世界から抜け出す方法なのだろうと思っている。
今起きている事に蓋をしてがんばるだけでは、またウソの世界に埋没するだけだ。
いつも、ワークショップや合宿に登場する、くるみちゃん。
今回は、及び出ないと思ったのか、
最後の最後だけあらわれて、参加者のお尻の上にのった。
●参加者の感想
参加者のたいちゃんの日記(mixiに飛びます)
権力の側の気持ち
●次回の「フクシマ対話合宿」は9月24日~25日に開催予定です。
近々案内をアップします。
メールなどでお知らせを希望する方は、
anju.earthspiralあっとまーくgmail.comまでご連絡ください。