gooブログはじめました!ホームページ「16葉のクローバ」の番外編です。

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ルノアールの「麦束を持つ少女」

2014-05-01 08:15:00 | のりひと詩集


「ルノアールの麦束を持つ少女」

この明るさは どこから来るのだろう
愛らしい微笑み
赤いリボンで飾った金色の髪
見る人を ぴたっと見据えている
つぶらな瞳

絵の背景には 麦の茂りが色ずき
大人たちの労働を真似ながら
父親を手伝う姿が 画面に溶け込んでいる

印象派の中で
ルノアールほど子供の愛らしい
美しさを描いた画家が
居なかったのがよくわかる

彼は旅先の田園で少女に出会って
汚れを知らない 野の天使を見たのだ

河豚

2014-04-11 10:27:52 | のりひと詩集


「河豚」

人は視神経の奥で
知らず
知らずに
汚れに反応するように

気に食わない人
好きな人
空気のように
無害な人に分けている



内臓を取って 資格のある
料理人の手で 丁寧に洗った
トラフグを食べても
本当は警戒している
自分を眠らせていない

レッテルを貼る
他人も
自分も
妥協する仕事の作業現場では
これ以上
好きな仲間はいないという
良い顔をしているのに

ネット心中

2014-03-17 09:51:41 | のりひと詩集


「ネット心中」

身も知らない同士が 勇気のなさ 心細さから
一緒に死んでくれませんかと
ネットの書き込みで誘い合う ネット心中

そんなに死にたければ 誰にも迷惑をかけず
自分だけで死ねばいいのにと思いませんか
それもできない意気地なし
覚悟が固まってもいない人の誘いに乗ったら
ふらふらと悪魔に魅せられたことになります

ほとんどの人は5%の楽しみのために
あとの95%を歯をくいしばり艱難辛苦の仕事をしているのに
若い身空で浮け身の情報ばかり取り込んで夢と現実のギャップに
ついていけ無かったのでしょうか
車の中で練炭を囲み車に目張りして
知らない同士が手を握り 一刻も辛いことから逃れたい
それが苛め、生活苦、病気、失職にしても
まるで自分の力量をとことん発揮もせず
人生の味も匂いも噛みしめることも
立ち食いそばを急いで 掻き込んだみたいに
死という行動に猪突に走る思慮のかけた若者

自分に与えられた時間を粗末にしていませんか?
誰もがどんなにあがいても喜怒哀楽を失うまで
100年の存在です

残す

2014-02-25 09:33:10 | のりひと詩集


「残す」

寒い季節
炬燵にもぐり込み
もの思いにふけると
残すものを考える

財産を残す
名声を残す
お金を残す
借金を残す
著作を残す

どれも残すほどのものはないが
最後まで
自分を忘れないで欲しいという
気持ちだけ
冥途まで引きずっているのは
人の最大の弱点かな

2014-01-07 09:29:52 | のりひと詩集


「顔」

顔にはいくつもの不思議がある
ひたっと空気を鎮める瞳は
遠近に揺れ

何を吸い込んでいる
光っている瞳の無限の広がりは
どこを向いている

たとえば 微笑みを浮かべる
頬の色彩はふんわりと空気を分ける
花の輝きに似ている

一メートル隔ててみた相手の顔の構図は
巧妙に均衡を保ってゆるぎない

しっかり地に足をつけた口元は
今にも話し出しそうに浮き出ている

顔はその人を表していると同時に
人と人を繋いでいる
大切な信頼の橋

裸の心

2013-12-24 16:59:44 | のりひと詩集


「裸の心」

誰もが自分を出さずに
孤独を癒したいと思っている

でも他人の風評を集めて
どうして自分が癒されるだろう

まるで収穫したものを
労働をしないで消費する人達みたいに
共鳴を感じない収穫物から
理解しあえる天使が現れることはない

本当の理解は裸の心から生まれる
恥ずかしさでは裸になれない

他人に理解されるには
自分がまず理解される裸の心になるのが
孤独から解放される近道だ

秋の音色

2013-11-07 18:15:37 | のりひと詩集


「秋の音色」

夕方の散策路には
歌っている秋がある

街の中で
林の上で
草むらの下で

なんで秋になると
虫たちや鳥たち
人間たちは歌いたくなるのかな

秋の解きがたい歌の謎
僕も合唱では
はっきり発音しなさいと言われる

さびしい歌は
口ごもってしまうよな

悪党

2013-09-01 17:18:44 | のりひと詩集


「悪党」

悪党には 様々な人間がいる

コソ泥、詐欺、ストーカ、痴漢
強盗、暴力犯、放火魔
変態犯、殺人犯、横領犯
模倣犯、スリ、知能犯

みんあそれぞれ
それらしい罪を 顔に表している

誰でも陥る誘惑の境界が
二つの世界を分けている

でも、
悪党の中でも一番許せないのは
戦争をたくらむ 悪党どもだ

方向転換機

2013-08-05 09:04:08 | のりひと詩集


「方向転換機」

生き方を変える
機械があるという噂だよ
とても人気が高いんだって

長い人生を歩んで感じる
停滞感

自分に対する
不満、苛立ち

そんなものを解消してくれる
方向転換機って
便利だと思うけれど

ただし、
忍耐試験に通らなければ
使わせてくれないんだって

禁煙、禁酒、禁賭け事
人生の船底に沢山貝がへばりついたみたいに
容易に剥がれ落ちない問題ごと

方向転換機だって
簡単に楽に使えるなんて
世の中 そんなに甘くはない

圧力

2013-07-07 12:12:42 | のりひと詩集


「圧力」

ふたりは固く抱きあう

大きな風に飛ばされぬように
激しい雨にたたれないように
世の中から阻害されないように

しかし
二人がこんなにも
圧迫を受けていようとは
当人同士しかわからない

外圧を跳ね返して進む
二人の険しい人生

但し、内圧には
くれぐれもご用心