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gooブログはじめました!ホームページ「16葉のクローバ」の番外編です。

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さがさないで

2014-05-01 09:10:04 | 今日子詩集


「さがさないで」

立春も近い 冬の日
刺すように冷たい風は 容赦がない
ほんの少しの陽だまりでは
何れ来る春の気配を したためている

温もりも 優しさをも拒否し続ける
あの 風を
追い駆けてゆきたい

日本を いや 世界を渡り抜けて
時間と季節と空間を
其々に 土足で踏込み
生物の情感などと言う
甘ったれた想像物を 破壊してしまう

それでも
そよ風ではなく・・・・
追い風ではなく・・・・
孤独と背中合わせの風を
追い駆けてゆきたい

瞬時に変化する私
初めから形態も居場所もない
留まることも 安定することもない
掌握することは不可能

だから
さがさないで欲しい
いつかまた 巡り会う時まで

自分自身を 見失っている私を


能面

2014-04-11 10:42:38 | 今日子詩集


「能面」

見渡す限り 雪一色の山村
田畑には 人も そして動物の足跡すら
何一つ 痕跡が無い

唯一 熱い息遣いを感じさせる
雪深く埋もれた
古い 古い神社・・・

極寒の如月の末
年に一度の「蝋燭能」

村の人々が
近県 いや全国から集う
老若男女たち

煤けた匂いと 微かなお香の香りが漂う
大小様々な蝋燭の灯りが
妖しく揺らめく・・・
笛と鼓と唄の流れに
小町が 童子が 鬼が其々に想いを重ねて
語り 唄い 踊る

人前では
その喜びはもちろんのこと
哀しみも 怒りも せつなさも全て
深く深く 見の内に沈める

いつしか 根雪のように固まり
人の言葉尻から 手の指先から
微かな湯気をあげて
雫となりて 滴り落ちる・・・
て)


春の雨

2014-03-17 10:23:16 | 今日子詩集


「春の雨」

霧雨が 白い雲のように漂う

縮んでいた 有機物たちが
目を覚まして
其々に 手足を伸ばそうとする

潤いを得た瞬間に
弾けるように 殻を破る

その力強さ・・・・しなやかさ
止めることは 誰にもできない

はっきりと聴こえて来る 息遣い
温度感も携えて
夜の闇を幾たびか超えて
エネルギーは 膨大に変化していく・・・

孤独・・・という殻を
今 脱ぎ捨てて
再生する 悦び

旅人

2014-02-25 09:59:09 | 今日子詩集


「旅人」

何処から来て 何処へ向かうの?
何時から「いつから」始まって
何時に終わるの?

幾度となく問われて来た
その度に 自問自答してみるのだが
明確な答えなど 何一つ引き出せなかった

多くの家族や仲間と共に歩いた時もあった
果てしなく続く霧の中を
かけがえのない人と 手を取り合って
迷走することもあった

安定を求めながらも
心の中では魂の変革を切望していた・・・・・

環境が 人々が 変わったのではない
自分自身が 現状を壊し続けていたのだ

何食わぬ顔をして・・・・・

後には 押しつぶされそうな孤独感と寂寥感を残して
それでも 旅立つ自分がいる

私と一緒に 旅にでませんか?
魂の帰る居場所を探しながら・・・・・

言の葉

2014-01-07 09:53:48 | 今日子詩集


「言の葉」

冷たい木枯らしに
一気に撒き散らされた
ひとつひとつの言葉

丁寧に 根気よく拾い上げて
そっと繋ぎ合せる

掌に取り上げると
微かな温もりが感じられる
耳を近づけると
言霊が囁く・・・・

本当の心の言葉を
聞き漏らしたくなくて
裏側に潜む情感を
確かに感じ取りたくて

私は いつしか深く深く
落ち葉が積み重なる社の奥へと
迷い込んでいく

無造作に そして反省もなく
あなたは投げ捨ててゆく
言の葉の暴力として・・・

プロセス

2013-12-24 17:20:03 | 今日子詩集


「プロセス」

冷たい北風が吹き抜ける
空は 青く張りつめていて
氷上を滑るように 雲は流れてゆく・・・

全ては 変化しながら そして留まることもなく
結果や確定など 一時の砂の器
ましてや 自分自身に掌握できる筈もなく

悩んで 傷ついて ぼろぼろになったこと
何もかにも失ったように思えた時
喜び 胸弾み
やっと 目標に到達したと信じた時

今思えば
最初から 到達し終えることなどありえず
ましてや 失うものも初めから持ち得てはいなかった

次へ進むための過程
魂の変革のための プロセス

何処へ辿り着くか分からない
この雲の流れのように・・・

柳絮(りゅうじよ)

2013-11-07 18:27:12 | 今日子詩集


「柳絮」

5月の短くて爽やかな晴れ間
気まぐれな風の流れに
身を任せるように漂う
柳の白い綿毛

昨日までは
その姿を潜めて 時を待っていた
いつか自由になれる夢を見続けながら

今 機は満ちて
弾けるように その想いを放出させて
空へ空へと高みに吹かれるもの
新緑の木々の間を絡みながらまとわりつくもの
静かな川面に 自ら沈んでいくもの・・・

この瞬間
この時間
二度と同じ時は刻まない
万物共通の定め・・・

自由と希望を引き換えに
失うものもある

けれど
白い薄絹の衣を 羽のような綿毛を
脱ぎ捨てる時が 何時か
誰にでもやってくるのだ

心の河

2013-09-01 17:35:46 | 今日子詩集


「心の河」

哀しみと孤独の風が吹き抜けるとき

目を閉じて
耳を澄ませてみよう
微かに・・・けれども 懐かしい
水の流れる音が聞こえる

それは ある種の振動を呼び起こさせる
せつないような
風の匂いも連れて・・・

ある時は 春の小川のせせらぎ
ある時は 豪雨の後の濁流の黒い河

いつしか 其々の奥深い河は
おおいなる海へと 流れ行き着くのだろう

魂の故郷へと・・・・

みる

2013-08-05 09:16:52 | 今日子詩集


「みる」

街を歩き 車を走らせ
視界に飛び込んでくるものは
私の網膜というスクリーンに映し出される

見たくても 見たくなくても 

風が吹き 草や雨の匂いが
胸の奥にしまい忘れていた
幾つかの箱の蓋を開ける

心のキャンパスには
自由な想いが
時間と場所の制限を超えて
いつ果てるともなく 描かれてゆく

現実に見ているものは
ほんの一瞬の幻影

私にだけみえるもの
私にだけ感じるもの
大切に抱きとめながらエーテル状の想念は奥深く
ただ いあざなわれるがままに
踏み込んでいく・・・

2013-07-07 11:57:37 | 今日子詩集


「嘘」

子供が嘘をつく
自分の世界の始まり
親は知っていながら
子供の成長と苦笑い

男と女が嘘をつく
お互いの背中を見つめつつ
これが「優しさの代償」と
諦め顔

母が嘘をつく
家族と牙城を守るため
強くて 哀しい嘘・・・
永遠の秘密として

あなたが偽りの言葉を並べるので
私は防御の壁をめぐらす
嘘で固めた感情は
昇華することも否定されて
水銀のように重く澱んで
ひたすら
体の中を 循環し続ける

真実を見失う・・・という
動脈硬化を伴って

イビサ

2013-06-05 08:36:55 | 今日子詩集


「イビサ」

自分が何者で
自分が何を求めているのか・・・
そう自らに問う者は多い
まともな感覚だろう

イビサはスペインの小さな島
それがどんな島で
どんな意味があるのかは 人其々に違う

いいや それは何のイメージも持たない
貼りついた写真に過ぎないかもしれない・・

自分と向きあうために
只それだけに 存在する蜃気楼
そしtプロセスの一つなのだ

自分を知ることは 大変危険な行為
あらゆるものが
知識 環境 常識 宗教 愛 家族 友人・・・
そんなものがまとわりついて 逃げ道を誘う

結局 死ぬまで 本当の自分に辿り着けなくて
肉体を脱ぎ捨て去る時
無意味なものに翻弄されていたことに気付き
自分の魂の叫びを断末魔に聞くことになるのだ

(注 イビサ 村上龍の小説より)