京都府高等学校演劇連盟

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創作脚本紹介⑬「中断線路。」(『創作脚本集第2号』所収)

2009年11月10日 | 創作脚本
2006年度、第17回創作脚本コンクールで、創作脚本賞を受賞した作品です。

また、第19回京都府高等学校演劇大会(於:京都芸術劇場春秋座、2006.11.12)において、京都府立西宇治高等学校演劇部(南部支部代表)によって上演されました。

そして、この「中断線路。」は、「2006年度近畿高等学校演劇協議会劇作連絡会 優秀創作脚本選考会」へ、京都府として推薦し、選考の結果、「優秀創作脚本」と表彰されています!



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「中断線路。」 生徒創作〔京都府立西宇治高等学校〕


《登場人物》  女1人 / どちらでも可4人 
                   
駅長    …路州の駅の駅長さん
出戻    …路州の町に帰ってきた女
若者    …線路に飛び込む若者
ホームレス …駅のホームに住んで3週間
終末    …教授


《物語》

「あー、マイテス、マイテス。本日は晴天なり。街民のみなさま、こんばんは。本日は8月7日、待ちに待った七夕祭りの日であります。願いを託した短冊はもう駅前の短冊ボックスに入れられたでしょうか」

駅長さんの声がにぎやかに響く、路州の駅のホーム。
今日は、七夕祭りの夜。

夜空に打ちあげられる、華やかな花火。

でも、街の人口はたった5人だけ。
そして、そこに集まってきた、飛び込み自殺をしそこねた若者、15年ぶりに故郷にまい戻ってきた女、縛られるもののない自由な旅人のホームレス。

駅長 「役になんかたたないけどぉ、こういうのは割合が大切なの。もっとも不味い組み合わせはコーラ7対コーヒー3の組み合わせ。ま、役になんかたたないけどね」
若者 「…さっきからうるさいんだよ」
駅長 「は?聞こえませんけど」
若者 「さっきから、役にたたない役にたたないってうるさいんだよー!」
駅長 「やだな~、あなたのことじゃありませんって…」

若者 「俺はなんだってできるんだ。俺がその気になれば、こんな街なんかぶっ壊せるんだー!」

駅長 「はいはい、ご冗談はさておき…」

冗談ではないのです。
この街は、消される街、だっていうんですから…。

20年前の瓜電臨界事故。
放射能を浴びたかもしれない、住人たち。
帰ってきた女が、ひとり。

短冊に書かれる願い事。
どんな願い事をしましょうか。ゲーム形式で考えてみましょうか。

駅長 「もし、あなたがアライグマだったら…」
ホームレス 「…えっと、おいしいご飯にありつけますように」

駅長 「もし、あなたが飛び込み自殺を考えている人間だったら」
ホームレス 「誰か、気づいてくれますように」

そして、

駅長 「もし、あなたが、20年前の自分だったら…」



夏の空に、最後の花火が打ちあがる。


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『創作脚本集第2号』(2008年5月刊行)は、京都府高等学校演劇連盟が行っている「創作脚本コンクール」において、1998年度~2007年度に、創作脚本賞を受賞した14作品をおさめたものです。

この脚本集を読んでみたいとお考えの方には、実費(1000円+送料)にてお分けすることが可能です。

京都府高等学校演劇連盟事務局(久御山高校〈TEL 0774-43-9611〉演劇部顧問)
もしくは
京都府立東宇治高校〈TEL 0774-32-6390〉演劇部顧問

までご連絡ください。

また近畿大会(2009年11月21~23日)でも、呉竹文化センターのロビーに置いております。
ご希望の方は、受付等のスタッフにお声かけくださいませ。


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