三年前の東日本大震災の時
津波に遭って被災したピアノ。
べーゼンドルファーというメーカーの一番小さなピアノ。
生まれたのは戦前、約100年くらい前のことだとか。
幾度かの戦争をかいくぐり
縁あって日本へ渡り
今回の地震で被災したが、群馬のピアノメーカーによって
修復作業の結果、見事に息を吹き返したピアノ。
被災後、こちらで修復作業したのち、故郷へもどったけれど
やはり海の波の塩害が出てきてしまって
ふたたび工房へ。
もういちど修復作業して、美しい音を取り戻したピアノの
お披露目の演奏会が市内のホテルのロビーコンサートとして開催されました。
知り合いのジャズピアニストKさんが演奏されるというので
聴きに伺いました。
修復作業をしたメーカーの方が事の詳細を説明。
その後いよいよ演奏が始まり。。。。
まず最初の曲からピアノが良く語りかけるなあ、という印象をうけました。
Kさんが演奏を始め、美しい音がホールの吹き抜けに舞い上がると
景色が見え始めます。
悲しい情景。被災地のがれきの山や、押し寄せる波
ピアノが、こうだったんだよ、ああだったんだよ、と
一生懸命伝えてきている様な気がして、涙がこぼれた。
2曲目はみんながよく知っている「夏の思い出」をジャズアレンジで。
この曲では、ピアノが弾き手のKさんとの演奏を楽しんでいるようで
ころころと可愛い小さな音の粒が
空間一杯に舞いあがっては、聴衆の上に優しくふりそそいだ。
最後の即興演奏はすごかった。
Kさんが鍵盤に指を乗せるとピアノの方も応えて
本当に奏者とピアノが語り合っているよう。
それは段々激しさを増し、小さなグランドピアノなのに
フルコンサートの大きなグランドピアノのような
迫力のサウンドを奏でていました。
すごい・・・・
それぞれ目を閉じて、音色を味わったり
身をのりだして聴いている人もいたり。
ロビーの吹き抜けの高い天井から
聴く人の身体にしみこんでくるような
とても心地よく、いつまでも聴いていたいような音楽。
久しぶりに素晴らしい演奏を目の当たりにして
ドキドキした。
素晴らしいピアノと、素晴らしい演奏家とのコラボレーション。
とても素敵でした。
演奏が終わってから、鍵盤をさわらせて頂きました。
軽くたたくと、ポーンと澄んだ音が心地よく響く。
何か弾いてもいいですよ、と係の方におっしゃっていただいたけれど
あの素晴らしい演奏の後ではね・・・・(^_^;)
奇跡のピアノの音。聴けて良かった。