美と知

 美術・教育・成長するということを考える
( by HIGASHIURA Tetsuya )

スケッチのすすめ6 太い芯の鉛筆で

2006年09月07日 | スケッチのすすめ
「太い芯の鉛筆で描きましょう。」

今の子どもは鉛筆ではなくシャープペンシルを良く使います。
ノートをとるのには一定の細い線が安定して書けるということが非常に便利な筆記具ですが、絵を描く場合、その線の細さがネックになります。

線が細いと、小さな形のくるい、少しの線のくるいが気になります。
紙に対しても筆圧がかかってしまい、紙にキズがついてしまいます。

3B~8Bなど、芯が太くてやわらかいと、太い線がそのまま大まかな形の捉え方となり、小さなの形のくるいは気にならなくなります。
柔らかい芯でやさしく形を探していきましょう。

対象の大きな構造をつかむには、太い芯の鉛筆がいいのです。

戻る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スケッチのすすめ5 片目をつぶって見る

2006年09月06日 | スケッチのすすめ
「片目をつぶって見ましょう。」とよく言われます。

普段私たちは両目をしっかりと開けて対象を見ていますが、両目で見ることで正しい空間認識、奥行き感を持つことが出来ます。

しかし、絵を描こうというとき、この3次元の空間が2次元の絵画にどうしてもうまく収まらず苦労することとなります。
片目をつぶることで空間感が薄れ、立体的であった形が平面的な形として見えてくるという効果があります。

例えば写真やポスターなどの2次元のものを2次元の絵にか描き移すというのはそんなに難しいことではないのです。豊かに感じる立体感や空間感、奥行き感をあいまいにして、線の方向や形の大小という関係でものが見えれば、正しい形がみつかります。

右目で見る形と、左目で見る形と、静物画などを描いているときは対象の見え方(位置感)がずいぶんとずれてしまいます。必ず見る目を右目か左目か決めて、仕事を進めましょう。

戻る
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スケッチのすすめ4 形をとる技術

2006年09月05日 | スケッチのすすめ
具体的に、スケッチを指導アドバイスするときのいくつかのポイント、特に形をとるポイントを紹介いたします。

1、片目で見る
2、太い芯の鉛筆で描く
3、目を徐々に細めてみる
4-1、直線で捉える
4-2、三角形で捉える
4-3、集合体・固まりで捉える
4-4、直角三角形の30度、45度、60度、90度
5、中心を見つける
6、手前にあるものを早めに描く
7、人物を描く時は頭身を測る

それぞれがどういう意味を持っているのかについて、この後考えていきましょう。
(続く・・・)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スケッチのすすめ 3

2006年09月02日 | スケッチのすすめ


スケッチはデッサンとは違うと以前書きました(スケッチのすすめ)が、この本の題名はは『デッサン入門』・・・
スケッチ? デッサン?・・・言葉の使い分けに戸惑われる方もいらっしゃるかも知れませんね。

普段、便宜上デッサンとかスケッチとか使い分けますが、あまりそんなことを気にせずに「絵を描く」ということを、その心、精神から考えてみましょう。

この本で使われている「デッサン」という言葉は、「画家の眼」という意味にとらえるといいかと思います。

「表現する作家の真摯な態度、深い洞察・・・」
「一本の線に霊気みたいなものさえ感じる・・・」

奥深い真理をみつめる、人間の深い精神活動としての表現ということを考えて見ましょう。
絵はテクニックではなく、心だということをあらためて考えさせられる本です。

この本の著者である前田常作先生は、大学時代、大学院時代の恩師です。前田常作先生は、一般には曼荼羅絵画ということで宗教色の強い印象がありますが、純粋に造形という点で非常に厳しく、また、表現者としての姿勢を身をもって私たちに伝えてくださいました。
ピュアな精神性を学ぶことが出来る本です。


『デッサン入門』平山郁夫・前田常作 共著、1985年、新潮社

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スケッチのすすめ 2

2006年09月02日 | スケッチのすすめ
スケッチをしようというとき、一番多くの人がつまづいているのが、ものの捉え方、形のとり方ではないでしょうか。
しかし、形を捉える力というのはきちんとしたトレーニングで確実に身につく力です。才能とかではなく努力で獲得できる力なのです。

初期の段階で、形への意識をしっかりと持ってスケッチを重ねてください。そして、「何か上手くいかないな~・・・形がくるっている・・・」と自分尾作品から感じとれる人は必ず上達します! もちろんそこで、何がおかしいのか・・・どうすればもっと的確に形をとらえられるのか・・・という的確なアドバイスがあれば早く上達するのです。



ものの状態が捉えられない、形が上手く取れない、ものの感じが出ない・・・

これらすべての一番の原因は、ものをよく観れていないからです。
普段の生活でわれわれはものを見ているのではなく、ものを眺めているだけなのです。
いざそれを絵に描こうとすると、それがどんな有り様だったか何にも思い出せないのです。そして、観るということがどんなことかが実感できないのです。

観る、イコール、考えることです。

「それまでの持てる知識と技術を総動員し、その対象物をどう理解するか、を問われている。」(平山郁夫)とありましたが、まさにその通りなのです。
ものを観ることを鍛えることは、人間を深く鍛えることなのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする