年末年始に見たドキュメンタリーのなかでNスペ“世界を巻き込む砂の争奪戦”は衝撃だった。
コンクリート、水道水、半導体などに天然資源の砂が欠かせず、世界各国は砂のある川や海の底を競うように掘っている。
その結果何が起こるか。例えば河川砂の過剰採掘は流域の人々が暮らせないほどに地形を変形させ、海砂の採掘は地下水位を下げ飲料水の抽出を困難にする。
経済発展に伴う爆発的な需要は世界各国の砂争奪戦を激化させ、すでに枯渇が懸念される事態になっているという。
見ながらに思ったことは80億人に達した世界人口はもはや持続可能なサイズではないのだろう。この砂に限らず水、食糧、さまざまな資源がこの先ますます不足し、それゆえ争奪しあい、やがて枯渇していくのではないか。
番組の後半は中国による傍若無人な活動をレポートしていた。
2022年台湾・馬祖列島に中国の海砂採取・運搬船の大船団が出現し海底の砂をポンプで吸い上げ島の砂浜は消失。中国福建省の空港建設に使った。
そしてあの南沙諸島海域における人工島も彼らの強力な浚渫船(しゅんせつせん)により海底砂を採取して建設されたのだ。
このような砂をめぐる国際紛争、環境破壊というか地球の破壊についてのレポートを見てしまえば、この先の時代にぼくらを待っているのが平和や安全や繁栄と楽観することは難しい。
国家は、政治はどうあるべきか。何をなすべきか。政治家や官僚はもとよりぼくら自身がもっと考えなければ明るい未来はない。