Mariah Careyのアルバムは、デビュー以来、すべてリリースされるとすぐに聴いてきた。そう熱烈なファンでもないんだが、何せ、ビートルズ、エルビス・プレスリーに次ぐ全米ナンバーワン・ヒットをたたき出してきたグレイトなお方なんである。わたしも、キャッチーな親しみやすいメロディ・ラインを奏でる「7オクターブの歌声」に萌え萌えになった一人だ。一昨年のマリンメッセ福岡でのコンサートにも行ってきた。でも、不思議と大ヒットした昔のアルバムを引っ張り出して聴いてみようとは思わない。所詮、お子様仕様のポップス、R&Bでしかないと言ってしまっては身もふたもないが、曲調が単純すぎて飽きられやすいのはたしかだろう。まあ、シンプルだから売れるんでもあろうけれども。
本作の売れ行きも好調だ。もう何ヶ月も全米ヒット・アルバム・チャートの上位に居座り続けている。ポップなR&Bとしてはとても完成度の高い、楽しめるアルバムだと思う。Destiny's Childの"Destiny Fulfilled"と曲調が似ている気もする。ジャケの写真も、BeyonceかYO!と思わせるイメージだ。
Mariah Careyの曲で、いちばんこころに響く曲といえば、なんといっても、Def Leppardのカバー、"Bringin' on the Heartbreak"("Charmbracelet"所収)だろう。絶妙な構成の原曲を、マラリア・キャリーは、ありったけの声量をふりしぼって見事に歌い上げた。やや興ざめだった2年前のコンサートでも、この曲にだけは心底しびれたものである。
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