破綻した日本語表現がいくつかあったのを除けば、当事者のみならず関係者への取材を尽くし、よく書かれていると思う。
国を挙げて子どもをネグレクトしているくせに、二児を死なせた母親を、懲役30年の実刑判決が出たあとも叩き続ける連中はなにさまなのだろう。(「懲役30年」という判決も報復感情むき出しで愚かきわまりない。)
この母親が、不幸な生い立ちから、「解離」の経験を重ねていた蓋然性は、非常に高いと思う。
この母親より、子どもを育てるのが困難な親を、実質放置し、死なせた親と行政を叩くだけでよしとする国民の方がよっぽど怖い。
二〇一〇年夏、三歳の女児と一歳九カ月の男児の死体が、大阪市内のマンションで発見された。子どもたちは猛暑の中、服を脱ぎ、重なるようにして死んでいた。母親は、風俗店のマットヘルス嬢。子どもを放置して男と遊び回り、その様子をSNSで紹介していた…。なぜ幼い二人は命を落とさなければならなかったのか。それは母親一人の罪なのか。事件の経緯を追いかけ、母親の人生をたどることから、幼児虐待のメカニズムを分析する。現代の奈落に落ちた母子の悲劇をとおして、女性の貧困を問う渾身のルポルタージュ。
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