前作、Hummin' to Myselfは、ジャズのスタンダード曲のカヴァー集。美しくかつ力強い歌声に心底しびれる。この手のカヴァー集は数知れすあれど、出色のでき。
80年代半ばにネルソン・リドル・オーケストラと組んだスタンダード3部作で新境地を開き、以降はポップ作品と平行してメキシカン・カンシオン集やララバイ集をリリースしてきたリンダ・ロンシュタット。ヴァーヴへの移籍第1作となる本作はコンボをバックに歌うジャズ・アルバムだ。アレンジとピアノのアラン・ブロードベントを中心に、クリスチャン・マクブライドやピーター・アースキンといった人気奏者が顔を揃える演奏はオーソドックス。しかし、だからこそロンシュタットのジャズ歌いとしての個性が際立つ。好例が(2)。ほぼ全編がシャウト一歩手前の張りのある歌唱であり、とくに終盤の突進力は圧倒的だ。ロックの質感をもった4ビートのジャズであり、文句なしに気持ちいい。バラードの(6)も声は陽光のように明るく、歌は力強いが、哀感もたっぷり。マジカルである。ヴィブラートをかける喉の微小な動きが目に浮かぶような、名エンジニア、ジョージ・マッセンバーグの録音も素晴らしい。 (浅羽晃,「CDジャーナル・レビュー」2004年12月号)
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