劉慈欣(大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳),2023,超新星紀元,早川書房.(6.14.24)
劉慈欣、初の長編SF小説。
舞台は、超新星爆発による宇宙線が染色体を破壊したことで、染色体の自己修復能力をもたない大人たちがすべて死に絶えた世界だ。
読みどころは、子どもたちが、南極大陸を舞台に、凄惨な戦争ゲームを繰り広げ、米国と中国が隠し持っていた核兵器を使用するくだりだ。
最後、中国と米国の子どもたちが領土を交換し合う結末は、意味、意図がよくわからなかった。
時は現代。太陽系から8光年の距離にあるひとつの恒星―“死星”が超新星爆発を起こし、やがて地球に大量の放射線が降り注ぐ。その中に含まれていた未知の高エネルギー宇宙線には、人体細胞の染色体を破壊する致命的な効果があることが判明。生き延びられるのは、染色体に自己修復能力がある若い人類―その時点で12歳以下の子どもたち―だけ。いまから1年後、大人たちはすべて死に絶え、人類文明は14歳未満の子どもたちに託される。子どもしかいない“超新星紀元”の社会は、いったいどうなってしまうのか?大人たちは、残り少ない時間を使って、伝えられるかぎりのことを子どもたちに伝えようとするが…。