Entrance for Studies in Finance

欧米の日本化か 日本のギリシャ化か

欧米の日本化か 日本のギリシャ化か
Hiroshi Fukumitsu

 日本化については、政治的側面と経済的側面とで、異なる議論がある。政治的には意思決定力の弱さが指摘される。
他方、経済的には低い金利に象徴される、低成長あるいはデフレ現象に陥ることを意味するようだ。この議論では
低金利は、低成長あるいはデフレの裏返しで、バランスシート調整が長引いていることが背景にあるとする。
 なお、最近は日本のギリシャ化、イタリア化が議論されている。こちらの議論では低金利は、経常収支の黒字に
より支えられてきたが、その黒字の継続が疑わしくなっていると議論される。
 なお日本化の意味はあくまで、アベノミクス以前のデフレ下の日本がモデル。

かつての日本のように金融緩和をしても通貨高が続くユーロ
欧州では2013年11月に主要政策金利を0.5%から0.25%に引き下げ(2014年5月8日ECB理事会は0.25%据え置き決定), さらに2014年6月5日には政策金利を過去最低の年o.15%に引き下げた。またこの6月の理事会では民間銀行が中央銀行に預け入れる際に手数料の支払いを求めるマイナス金利の導入も決めた(マイナス0.1%)。これでユーロ安になるはずだがそうなるかどうか。消費者物価上昇率が下がり続けている(物価上昇率の最近のピークは2011年後半で2%台後半。2013年10月以降4月までで7ケ月連続で1%下回る。2014年3月0.5% 4月0.7%)。これはユーロ高に歯止めをかけると、ドイツの輸出競争力が強まりドイツの経常黒字が強まりユーロ高への圧力が強まる矛盾があるとされる(5月上旬ニ1ユーロ1.4㌦目前まで上昇 2年半ぶりのユーロ高は輸入物価を通じて物価押し下げ圧力)。
 マイナス金利政策は主要国地域で初めての反面、米国や日本で行われた大規模な量的緩和策は見送られた。そのユーロが恐れているのは、安倍政権前の民主党政権下の日本のようにデフレに陥ることだとされる。

日本のように政治的決定ができない国になる
 英エコノミスト 2011年7月30日
 turning Japanese
 日本の政治がこのようになった原因として、小選挙区制(議員定数1の選挙区)の導入(1994年)により、民意と議員数とがかい離しやすくなったことを指摘されている。小選挙区制の問題は、少数意見、つまり民意のかなりの部分を切り捨てた議会が組織されること(プラス面は大政党制になりやすく政策による政権交代となりやすいこととされていた。米国の2大政党制を理想視する考えがベースにある)。大政党の中では、候補者に選ばれることが重要になり、多様な意見や個人の見識が通りにくくなる欠陥がある。自民党がこの小選挙区制を導入して、自民党政権の延命を図り(1994年に導入 1996年の選挙より実施)、結果として2009年に少数政党に転落。民主党に一時政権を渡したのは歴史の皮肉といえる。民主主義といいながら、多くの民意が切り捨てられる小選挙区制のもとでは、相対多数の支持者を得た候補者が当選して、投票の多くが死票(意思を反映できない投票)となる。そもそも選挙の争点や有権者の関心も分散しているのに投票権は一つという矛盾もある。こうした分散した争点や関心を集約した数値といえる投票結果を、小選挙区制という制度でさらに切り捨てるのは、いかがなものだろうか。
 なおこうした選挙が民意を正しくあらわさないという問題は、おそらく日本に限った問題ではなく、現代社会の一つのパズル(解かれるべき難問)といえる。

年月 自民-民主-自民民主以外-総数(%)
2004-07参-115(47)-82(34)-45(19)-242
2005-09衆-296(62)-113(23)-71(15)-480 第二次小泉内閣 郵政選挙(177→113の大敗を受け民主党岡田克也代表辞任)
2007-07参-83(34)-109(45)-50(21)-242 第一次安倍内閣(2006/09就任)退陣 福田康夫内閣(衆2007-09 福田康夫338 小沢一郎117)
2009-08衆-119(25)-308(64)-53(11)-480 麻生内閣退陣 鳩山由紀夫内閣(衆2009-09 鳩山由紀夫327 若林正俊119)
2010-07参-84(35)-106(44)-52(21)-242 選挙直前に管直人内閣2010-06。民主党は議席数大幅減(116→106)で辛勝。
2012-12衆-294(61)-57(12)-129(27)-480 野田佳彦内閣(2011/08就任)退陣 第二次安倍内閣(2012/12)
2013-07参-115(48)-59(24)-68(28)-242

日本のように国債の利回りが2%を下回った国になる
 日本の低金利は、デフレあるいは潜在的成長率の低下によるとされるから、日本化はデフレあるいは潜在的成長率の低下の
別表現かもしれない。日本化の影 Wall Street Journal 日本語版 2011年8月14日
 なお日本のデフレ現象については 日本銀行の政策責任を問題にする議論がある。
 経済の低成長が長期間続く。
 米独の国債利回りが2%前後にまで下がったこと。
   ⇒ 日本のデフレをどう考えるか(米欧はデフレとはいえない 米欧ではデフレ懸念遠のく 資源素材高 中国製品値上がり)
   2011年4月ー6月 生鮮食料品除く消費者物価指数 プラスに浮上(2年4ケ月ぶり 資源高の影響) 基準改定で値下がり目立つ情報家電の比重があがり
   7月から再びマイナスに転落(予想)。 
   2011年6月 前年同月比0.4%プラス 食料とエネルギー除いたコアCPIは0.1%上昇
   2011年7月 前年同月比0.1%上昇(プラスは2年7ケ月ぶり) 食料とエネルギーを除いたコアCPIは0.5%下落
   食用品 日用品 店頭価格下落 4月価格と9月価格 7割が下落 デジタル家電
   2011年9月 前年同月比0.2%上昇 コアCPIは0.4%下落
   2011年度予想 ゼロ近辺(予想)
   2012年度予想 ゼロ台前半
   2013年度予想 0.5%
日銀にはデフレ脱却にむけて金融緩和を求める声多い
デフレのわなにはまること
 人々は消費を抑制 企業は投資を抑制 社会はデフレに陥る ニューヨークタイムズ2010年10月17日

 以下は、単純に物価・賃金が下がり、デフレ化することを日本化と置き換えている。
 榊茂樹「欧米経済の’日本化’と量的緩和」『投資環境レポート』(野村AM)2010年10月号, pp.1-5. 
 これと対比するに、QE2という金融緩和措置を実行したことで、アメリカはデフレ回避に成功。という評価がある。QE2は、名目金利の引き下げではなく、インフレ率の引き上げによって、実質金利の低下をもたらしつつある。野口旭「デフレ回避に成功した米の量的緩和」『エコノミスト0』2011年12月20日号, pp.56-57.</v>

このデフレの背後にあるバランスシート調整が問題だという指摘もある
 バランスシート調整(問題)が解決しない間は
 不動産の担保価値が下がっている(物価の下落一般ではなく資産価格の下落が問題)。
 資産価格の下落が止まらず新規の不良債権が生れる間は 金融機関の経営不振は続く
 家計や企業のバランスシート調整 消費や投資の抑制が続く
 経済が過剰債務に足を取られ政策余力がとぼしい。

 「信用拡張後のバランシシート調整を特徴として手持ちつつ、長期化する経済の低迷。バブルとその反動。古今東西よくみられる現象。日本に固有の現象ではない。今回は。同時性、プロシクリカリティなどから、調整自体が長期化している。
 高田創「欧米の「日本化現象」全治何年」『リサーチTODAY』(みずほ総研)2011年11月1日, pp.1-5. 

 国債の金利が財政破綻リスクを織り込まず国債利回りが適正値を大きく下回っている。低成長経済が長期化して、政府の負債が膨張を続ければ財政破たんの可能性が高まっている。それにもかかわらず低金利状態が継続する。景気低迷下での政府負債膨張と低金利の共存こそが国債バブルである。「信用バブル崩壊に伴い、投資収縮が発生する一方、民間部門では期待成長率が低下し、貯蓄性向が上昇することから、いわゆる貯蓄・投資バランスが貯蓄超過方向に変化し、カネ余りの拡大によって金利水準が低下すること」要するに日本化とは「投資不足による景気低迷である」。「投資低迷、長期金利低下と国債バブル拡大の3点セットと指摘できる。」
 白川浩道「低金利の裏で不気味に膨らむ日米独の国債バブル」『エコノミスト』2011年11月29日号, pp.29-31, esp.p.30.

 バランスシート不況 資産価値が大幅に減価した半面、負債だけが残ることで投資や消費の意欲が低下すること
 日本 バランスシート調整と円高が重なった 輸入物価の下落 国内の賃金の引き下げ デフレの進行 少子高齢化の中で悲観の蔓延

 欧州 政府の緊縮財政 内需に引き下げ 経常収支の黒字化 バランシスート調整の残存+ユーロ高による物価低迷
 ユーロ圏2013年0.4%のマイナス成長 ウクライナ危機 ロシア経済の悪化 ドイツ経済に影響
  ウクライナ問題でユーロは一転 ユーロ安の面も(2014年4月頃より ウクライナ情勢+欧州経済先行き 特に対ドル ドルは米国の量的緩和縮小を反映 7月17日マレ^シア航空機がガウクライナ上空で撃墜)
 12年後半から欧州に戻っていた資金に変化 キャリートレードの面もある
 長期金利は2013年末2014年8月末まで一貫して低下(欧州経済の先行きへの懸念 デフレ懸念 8月28日ドイつ長期金利 過去最低の0.8%台) 
 ユーロ圏 2014年1-3月 4-6月は0.0%増 あわせてドイツで長期金利の1%割れ
 東欧(非ユーロ圏)にデフレ懸念波及 ユーロ圏からの輸入物価が低迷 物価の低迷目立つ

米欧に対しては一層の金融緩和(米国についてインフレ目標を設けるなど)
欧州については欧州安定金融基金 思い切った与信枠拡大必要 

デフレギャップ
 デフレギャップの大きな国になる。供給に対して需要が不足して、不稼働状態の企業の不良資産がある。不良債権処理の必要性がある。しかし不良債権処理を加速させると、雇用減少や賃下げでデフレ圧力を加速させる。デイスインフレ(物価上昇率の鈍化)
 中国経済の減速 商品価格の低迷
 量的緩和の縮小 米国債の大量の売り 利回りの急上昇 米国住宅市場冷え込み
                           新興国の通貨安(インフレ 金融引き締め) 
自然利子率
 貯蓄と投資を均衡させ 完全雇用を達成する利子率のこと これがかなりのマイナス・・・実質利子率は米国の場合 自然利子率まで低下
していないので、民間投資意欲もわかず 米国経済は長期停滞に陥っている。
 日本経済については マイナス利子化しているとの指摘がある。
 2013年4月 日本銀行 量的質的緩和打ち出す 月間で7-8兆の国債を市場で購入
 金利の上昇圧力 日銀の買い入れ政策が吸収 当局のコミットメント(約束)
   2008年 日銀が2008年以来 当座預金に付利0.1% 短期資金市場で借り入れて当座に回すと利ざや確保できる
   生損保・投信など 短期金融市場(コール レポ 円投 CP 短国など) → 銀行 → 日本銀行
   (不利ゼロのため短期市場が枯渇した経験にかんがみ不利を決断)
 2013年11月6日 長期金利の一段の低下見込む声多数 日銀の買い入れの結果 市場は価格発見機能失っている
 2013年11月7日 長期金利0.590% 前日比0.015%低下 幅広い年限で低下 0.590%は11月1日以来(9月から11月の上旬にかけて低下
そこから反転)
 2013年11月14日 超長期債30年もの1.635% 前日比0.010%高 3日連続 超長期債では売り目立つ 
 2013年11月16日 0.630% 前日比0.025%高 10月17日以来の高水準 11月半ばから年末にかけて上昇
   大手銀行は国債売り続ける(2013年4月から11月 大手売り 地銀 信託は買い 大手行は売却益確保して海外向け融資 外債購入へ)
   債券価格高止まり 残高増やしにくい それを日銀が仕入れる構図
 2013年11月21日 10月下期に入ったところで大手行は売り越した(金利の低下局面を利用 売買益確保)
 2013年12月3日 超長期債30年もの1.670%(超長期債 利回り低いことから投資家が敬遠 結果として利回りは上昇傾向)
 2913年12月5日 欧州中銀 追加利下げ示唆せず
 2013年12月6日 一時0.680% 前日比.035%高 上昇圧力
 2013年12月18日 米FRB FOMC 量的緩和縮小を決定
 2013年12月19日‐20日 日銀 金融政策決定会合 大規模緩和 来年も継続 消費者物価指数年内に1%いない
 2013年12月25日 0.695 前日比0.015%高 米長期金利は3%に接近
 2013年12月30日 0.740% 3ケ月ぶりの高水準(米金利は2014年1月2日に一時3.04% 2011年7月以来の高水準)
   日米金利差縮小 
 2014年1月6日  0.725% 追加緩和期待と金利上昇予測
 追加緩和 → 株あるいは商品 → 債券利回り上昇
    追加緩和 → 内外金利差拡大 → 債券利回り上昇           

もうひとつの日本化
 日本では配当利回りより国債利回りより下回っている。かつて企業の成長が大きかった1960年前後には、配当利回りが長期金利を下回ることが話題になった。株価の成長、利益の成長が見込めるという話だった。そのため、配当利回りは長期金利を下回った。
 しかしこの株価の成長神話の終わりがどうも日本に限定されないのではともされる。先進国のPERがいずれも10倍前後に分布している(2011年9月時点)。かつては15-20倍が適正とされたお話がどうも通用しない。株価の成長期待の委縮、国債への投資資金の集中は、どうも先進国に共通している(新興国でさえ同様とも)。

日本のギリシャ化
 他方で日本はギリシャのようになる という言い方もある。
 つまりギリシャのように国債の金利が高騰してしまうと。 
 ギリシャの借金GDP比率147%
 イタリアは127%
 日本は194%で両国より悪い
 別のデータでは日本は220%(2010 IMF)
ギリシャは142%(2010 EU)
 さらに別の資料では(2011 IMFの公債残高比率)
    日本233% ギリシャ152% イタリア121% アイルランド114% 米国98%
 財政赤字の水準も日本は高い 2010年度 対GDP比率% 
    イギリス-9.9% アメリカ-8.9% フランス-7.7% 日本-6.4% ドイツ-4.5% 
 2011年度予測
    日本-10.5% 米国-9.9% イタリア-4.1% 
 90兆円の予算で税収は40兆円あまり 国の借金は1000兆円 財政状況は欧州より深刻

 問題が表面化しないのは93%(95%とも)を国内投資家が買っているから
 もう一つの理由は低金利で国債の利払い費が低いからだとよく指摘される。こちらの議論では日本の長期金利が低いことはいい状態の裏返しである。
 経常収支は黒字。家計と企業の貯蓄のおかげで国債の95%が国内消化。資金需要が低いこと(企業と家計が貯蓄超過であること)が幸いしている。しかし資金需要が回復したらどうなるか。
経常収支は貿易収支 サービス収支 所得収支 経常移転収支の合計
 貿易収支は東日本大震災の影響(輸出が減少 液化天然ガス、原油などの輸入額が増加)もあり2011に赤字になった(貿易収支通関ベース赤字は31年ぶり 2011年8月からはユーロ危機で世界貿易縮小 貿易収支の赤字は2012年夏に向けて縮小か)。これまでは日本の輸出競争力を反映して1980年代後半から10兆円前後の黒字であった(2010年で7.97兆円)。所得収支は日本が保有する海外の資産資産からの受取り超過を反映して黒字超過となっている(2010年で11.69兆円)。なお、輸送収支、旅行収支を含むサービス収支は1.41兆円の赤字(2010年)。無償国際援助などを反映する経常移転収支は1.09兆円の赤字であった(2010年)。
 2011年の貿易統計で1980年以来31年ぶり貿易赤字(輸入額に保険料・運賃含む)。2兆4927億円。
 輸出が65兆5547億円 2.7%減少
 輸入が68兆474億円 12.0%増 液化天然ガス4割伸びる 原油輸入額2割(量は3%減) 

 国際収支ベース(保険料・運賃控除後)では1963年以来48年ぶりの赤字になった
 輸出が62兆7234億円 1.9%減少 自動車 デジタル家電など世界的需要減 家電は2010年には流入超
 輸入が64兆3323億円 15.0%増 貿易収支1兆6089億円の赤字
 サービス収支 1兆6407億円の赤字 ← 外国人訪日客減少
 貿易サービス収支3兆2496億円の赤字
 所得収支 14兆926億円の黒字 19.9%増 証券投資によるものが中心(債券など利子収入5割) 配当金等直接投資によるものがさらに欲しい 海外直接投資残高GDP比で英米に見劣り 英国75% 米国31% 日本は15%
 経常移転収支 1兆1511億円の赤字 途上国への経済援助反映
 経常収支 9兆6289億円の黒字

 資本収支 5兆9975億円の黒字
 外貨準備増減 13兆7897億円の赤字
 誤差脱漏 1兆8366億円の赤字
 
 しかし輸出の減少が震災による一時的なものだけでなく、企業の海外移転(円高 高齢化・人口減少など国内のビジネス機会の減少 国内投資は抑制)、産業の空洞化による構造的なものだとの指摘もある。つまり貿易赤字の定着を懸念する声がある。工場の海外移転が進めば日本の輸出余力は縮小する。また世界的低金利の影響で所得収支の黒字が頭打ちになるとの指摘もある。

 しかし高齢化による貯蓄の取り崩しで10年もすれば政府債務残高が個人金融資産を上回るとも(現在は家計は将来不安から貯蓄率を高めている)。また企業の海外投資の拡大がこの安定を崩すとの指摘も少なくない(現在は企業は国内投資を抑制している)。
 海外への生産シフトで輸出はやがて減少。
 財政赤字を海外投資家に依存する事態を見越して、投資家の信認対策(具体的には消費税の引き上げと歳出削減)必要との意見もある。海外からの資本流入に依存した経済は、資本の動きに左右される不安定な側面をもつ。アメリカでそれが可能なのは、ドルが基軸通貨だったからこそ。基軸通貨国でない日本には、海外資金を安定して集め続けられる保証がない。

 日本政府はこれに対して歳出を押し上げているのは社会保障費だとして社会保障のための安定財源を確保するとして2010年代半ばまでに消費税率を10%まで引き上げるとしている(2011年11月4日 カンヌサミットでの国際公約)。税収の低迷のために歳出のおよそ半分は国債に頼る状態。
 そもそも賦課方式の年金方式が働く人の減少により維持できないとの指摘もある。

法人税率
 他方、復興財源では、まず復興債を2011年度に発行。続けて
 法人税については2012年4月からの法人実効税率5%引き下げ予定を3年間先送り2.4%の復興特別
 法人税と課税ベース見直しで3年間はほぼ税収中立。その後は減税を実施するとしている。
 ただこれは税収中立だから実際の財源は個人からとるもの。 
 所得税について2013年1月から25年間復興特別所得税2.5%を上乗せ。
 個人住民税は2014年6月から10年間増税。つまり個人向けの増税は時差をつけてじわじわ増えるかたち。
 この増税に加えて消費税があがれば、国民の不満はかなり強まることが予想される。
 (以上は2012年11月10日の3党合意による)
 課題の法人税減税については国の税収の2割を占める法人税の減税はにわかに決められない。
 税率を下げることでかえって税収が増える(企業の国内回帰 外国企業の誘致)という議論はあるが。
 1%引き下げで4000億円の減収とされる(14年度予算では4700億円 10%下げれば約5兆円減収)。
 その財源として考えられているのが租税特別措置の廃止(2011年度で9000億円 
 対象が製造業に偏るなど問題視されている これを全廃すれば2.5%引き下げられる)
 国家戦略特区に関連する法律が2013年12月成立したが、この特区に限って法人税率を引き下げる措置については
 特区の詳細が決まっていないこと、引き下げのの効果が不透明であること、などから2015年度以降に先送り
 された(2013年12月上旬政府決定)。
 安倍政権では2014年度から
 復興特別法人税の前倒し廃止、設備投資促進減税、大企業交際費5割まで非課税を決めたが
 おおもとの法人税率引き下げには踏み込んでいない。工場の設備などにかかる固定資産税の減免は実現せず。
 他方、家計に対しては消費税率の引上げ(2014年4月から5%から8%へ。2015年10月には10%への引き上げが見込まれる)
 給与所得控除の縮小(年収1200万超の会社員から2016年から年収1000万超で2017年から段階的に縮小)
 所得税相続税の最高税率引き上げなどが上げられている。
 復興特別法人税の廃止で法人実効税率は38.01%(13年度)から35.64%(14年度)に下がる。
約40%のアメリカより低いが 韓国(24.2%)中国(25%)とも差がある。

 日本国債 S&P ダブルAマイナス 上から4番目
      ム-デイズ Aa3(ダブルAマイナスに相当) 上から4番目 2011年8月に
      R&I 最上位のAAAからAa3に2011年8月に1段階下げる
 東日本復興事業による国債増発
 税と社会保障の一体改革の動きのにぶさ
 国内金融機関 3月末に向けて国債残高積み上げ
 生命保険会社 年金基金 欧米債券への投資は避けて国債投資へ(欧州は債務危機で値下がりリスク 米国は国債金利が低下2%前後)
 短期国債(国庫短期証券)には海外資金が流入

2011年10月27日 EU首脳会議 orderly defaultで合意
2011年12月9日 EU首脳会議 財政規律強化の新条約づくりで合意

 日本のギリシャ化を回避するために何をするべきか。NHK どう乗り越えるユーロ危機 2011年10月22日放送より
 イタリア化する日本 Newsweek日本版2011年6月22日 イタリアと日本を対比して経済成長率の低さ 政府債務の大きさ 政権の短命さを類似点として挙げている。
 日本のイタリア化(池田信夫) 2011年6月17日 このとき池田さんは、イタリアは貧しいけれど国民は幸せな国として描き、日本はそのイタリアに近くなっているとしている。イタリアの国債利回りが危機的水準とされる7%台に突入するのは2011年11月に入ってから。

姉妹ブログ(researchmap) 欧米の日本化あるいは日本のギリシャ化
original in Dec.21, 2011
repoted in Jan.7, 2014 and June 13, 2014
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