Entrance for Studies in Finance

日産、クライスラーの相互OEMが解消(09年8月26日)

クライスラーの経営再建問題
 クライスラー(07年8月サーベラスキャピタルマネジメントがダイムラークライスラーから買収・非公開化:19.9%の出資残る 98年からのダイムラーとの合併は失敗 経営トップCEOに元GEのホームデポ前CEOのロバート・ナルデリ 販売に北米トヨタトップだったジム・プレス 生産に前任CEOのトム・ラソーダ)は、主力のピックアップトラックや大型多目的スポーツ車が不振(ビッグスリーの中で大型車依存度高くシェアも低い)に陥った。
 プラットホーム(車台)共通化などコスト削減策も手つかず。混流生産の比率も日本メーカーが8-9割に対し北米メーカーはフォードクライスラーは2-3割。GMでも5割弱。など生産性改善の努力は遅れが目立つなど、社内の努力も不足とされる。環境技術の開発も遅れている。
 ダイムラーとの合併の失敗については、ダイムラー側にも一体運営で効率化を目指す意識が希薄だったとされる。ダイムラー=クライスラーは、三菱自動車、現代自動車との資本提携にも失敗した。
 2006年決算で北米クライスラーが赤字陥ったことがダイムラーに売却を決断させた。クライスラーの買い手候補には、ブラックストーングループ、カーク・カーコリアン氏、さらにGMのほかカナダの自動車部品大手マグナ・インターナショナルの名前もあった。
 問題の大型車の製造工場は減産・閉鎖の方向にある。低燃費の新車の開発に経営資源を集中するという。

関心をもたれる買収ファンドによる事業会社経営
 クライスラーを買収したのは買収ファンドのサーベラス。合意は07年5月 55億ユーロ=9000億円 うち37憶ユーロをクライスラーの事業に投資 ほかに12億ユーロを超えるリストラ費用持ち出しでダイムラーは持ち出しとされる クライスラーには約180億ユーロとされる年金医療債務がある 売却完了は07年8月 サブプライム問題が表面化する中なんとか実現した。
 買収ファンドがメーカー経営をうまくできるか関心を持たれている。
 その間、中国の寄端汽車(安徽省)と2007年7月に提携。寄端の小型車を自社ブランドで欧米で販売するほか新型車を共同開発するとした。
その後2008年9月24日ダイムラーはなお保有するクライスラーの株全株(19.9%)売却でサーベラスと交渉中であるとした。サーベラスとしても今後のクライスラー株処分についてフリーハンドが得られるメリットは大きいとされる。

日産と相互OEMで合意
 日産ともまず日産のティーダ(米国名ヴァーサ)の供給で合意(2008年1月)。さらに2008年4月に結んだ契約では2010年に低燃費小型車を日本から供給。日産は2011年からピックアップトラックの供給を受け自社生産は撤退する方針。背景にはクライスラーが相互供給にこだわったが、日産側が売れない大型車供給は不要という問題があった。なお一般的には相互OEMは車種・生産量を増やすには効果的とされる。
その後 2008年秋の金融危機で販売不振深刻化。

連邦破産法11条適用申請(2009年4月)

連邦破産法11条手続き完了(2009年6月)
 フィアットが20%出資。フィアットから小型車供給へ。
 米国自動車市場回復基調にあって販売不振続く(09年10月前年比3割減)。労働組合UAWが55%。政府と債権者が残りを取得。

日産クライスラー提携解消(2009年8月26日)
互いにメリットが消失したことが背景。
 クライスラーは、フィアットから小型車供給受ける。またフィアットの技術を活用して小型車事業を強化へ。2014年までに米政府からの救済資金完済する。

自動車の将来 タタ自動車の低価格自動車戦略と農民の反乱 ミニノートの低価格化 Segway PTとTelsa Roadstar クライスラーの経営再建 クライスラーとGMの合併協議 東芝とマツダ

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