Entrance for Studies in Finance

regulation of commodity futures

 商品先物市場の乱高下が一向に収まらない(原油の場合 2008年7月11日に147.32ドルの過去最高値 急落 半年後の12月19日には32.40ドルの安値 2009年に入ると半年で6割上昇)。
 2009年に入ると商品市況は値上がりするものと値下がりするものに二極化した。値上がりしたものは原油・金など。これに対して産業素材である鉄、とくに建設用鋼材・セメントは大きく下げた。やはり内需に左右される紙も軟調だった。しかし原油高もあり(2009年原油の上昇が続いたが、景気悪化で需要は低迷している。今後景気が回復するという見方がある反面、積みあがる在庫が資金の流出につながるという声もある)、輸出比率の高い石油化学製品、ナフサや樹脂は堅調、電子部品(半導体メモリー、液晶パネルなど)は上昇基調をたどった。
 投資マネーの規制は、本来望ましいことであり、この動きに賛成したい。すでに相場が極端に振れた場合 取引所に証拠金引き上げ命令を出すなどは可能。
 現在検討されている新たな規制は、年金基金、上場投信などの持ち高を政府が把握。投資可能な上限に抵触していないかを監視。需要家とそれ以外を峻別、需要家と取引のある金融機関を需要家以外に分類して持ち高規制の対象にする。ヘッジファンドの投資残高も毎週公表するなど。 
 2009年8月19日に米商品先物取引委員会CFTCは、DBコモデティーサービス(ドイツ銀行系)とグレシャムインベンストメントマネジメントの2社に対して、農産物先物の投資残高を一定限度内に収める事を命じた。
 また2009年8月20日に米CFTCと英金融サービス機構FSAは、原油先物市場の監視強化で合意した。すでに2006年に両者は原油市場の監督に必要な情報の交換で合意しているが、今回の2009年の合意により互いに、取引所から独自に事情聴取できるようになった。
 原油・穀物は投資規制の議論の台頭もあり軟調になった(ココア、コーヒー、砂糖などソフトコモデティーは市場が小さいので乱高下しやすい特性があるが、リーマンショックのあと投機マネーが入り2009年末にかけて高騰した)。これに対して金は規制対象外とみなされ、投資資金を引き寄せた。規制対象とされたものの相場が軟化する一方、規制対象外とみなされたものに資金が集中して高騰する。これは投機的マネーに市場が振り回されていることをよく示している。

 Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
 Originally appeared in Aug.27, 2009.

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