Entrance for Studies in Finance

危機対応策出そろうが、ユーロ問題の出口見えず(2012年6月)

2012年3月 ギリシャ(2009年10月 財政統計不正発覚)は実質的にデフォルト 対民間債務の約75%を切り捨て(秩序あるデフォルト 民間債権者の自発的参加でCDS発動回避という枠組みだった 結局 同意しない債権者には集団行動条項が適用 その部分ではCDSが発動されたとされている)
2012年3月 英国、チェコを除くEU加盟25ケ国が構造的な財政赤字を名目GDP比0.5%以下に収める財政条約に調印(2013年1月発効予定)
3月30日 ユーロ圏(域内3億人 ユーロが安定しない背景には財政が統一されずユーロ圏17ケ国バラバラに国債を発行 単一の大きな短期国債市場が存在しないことが原因 共同債の発行が必要とかねて指摘されている 2011年11月に債務償還基金構想がドイツでだされる)財務相会合 金融安全網を8000億ユーロに拡大する合意(EFSFとEMS合わせて融資上限現在5000億ユーロを3000億ユーロ拡大 当初は1兆ユーロを目指していたが規模縮小で合意⇒安全網(時間稼ぎ)不十分⇒危機連鎖)
EFSM 2013年までの時限措置資金枠4400億ユーロ そのうち2000億ユーロはギリシャ、アイルランド、ポルトガルで決定済み。2400億ユーロしか新規融資の余裕がない。今回の決定で実際に新規合意は2000億とされるが、もとの合意との違いはかなり分かりにくい。

今度はスペインに注目集まる
4月3日 スペイン政府 2012年末の債務残高GDP79.8%の見通し発表(2011年末の68.5%から上昇)
4月4日 ECB 政策期に年1.0%に据え置き 追加金融緩和見送る 南欧の国債購入もいったん休止の模様。
    スペイン国債利回りが一時5.7%台 3ケ月ぶりの高い水準 
4月13日 イタリア各地で労働法改正・年金改悪に反対するスト始まる
4月16日 世界銀行総裁に韓国系米国籍のジム・ヨム・キム氏任命される
4月20日 G20財務相中央銀行総裁会議(ワシントン) IMFの資金基盤の4300億ドル超増強(当初5000億ドル規模目指していたがこちらも規模縮小で合意⇒安全網(時間稼ぎ)不十分⇒危機連鎖 現在の融資財源は4000億ドル弱 米国は負担増に慎重で拠出に応ぜず 欧州各国で2600億ドル 日本はいち早く600億ドルを17日表明 日中で1000億ドル超)で合意(日本はリーマン後の資金増強に1000億ドル拠出に応じる 今回IMFが欧州支援にどこまで応じるか慎重論もあるなか積極姿勢⇔中国の積極姿勢を封じる戦略? なぜ財政赤字国の日本が巨額拠出に応じるのか国民への説明は全くなされていない この拠出は外貨準備を振り向けるので新たな財源負担は生じないとのこと 資金拠出はIMFが資金を必要とするときにIMFに融資する形をとる)
ギリシャは5月に総選挙(4月10日解散 5月6日投票 7日に大勢判明) 同国の財政改革が後退するリスクあり 再び予断を許さない展開も
フランスでは4月22日第1回投票 5月6日大統領選挙決選投票
4月20日 スペインのラホイ政権 公的医療及び教育分野での支出削減策を閣議決定
4月23日 欧州連合統計局 加盟27ケ国の2011年中の財政状況を発表
4月26日 S&P スペインの長期債格付けをシングルAからトリプルBプラスへ2段階引き下げ
     景気低迷の深刻化を受けGDP比の政府債務増加リスク高まる

5月2日 EU統計局によれば3月のユーロ圏失業率は10.9%(1999年のユーロ導入以来最悪の更新続く ユーロの破たんは明らか 最悪はスペインの24.1% 1月のギリシャの失業率は21.7%(2月は21.7% 15-24歳では54% ) 北部欧州は4-5%の失業率で南欧の痛みを無視して強硬に緊縮策を主張、ヨーロッパ内の溝は拡大。南欧諸国がマイナス成長の中、ドイツ、フランスはプラス成長を維持している)。前月比0.1ポイント悪化。
5月3日 ECB 政策金利の据え置き決める(過去最低の年1%維持) 4月の物価上昇率前年同月比2.6%(目標は2%未満)でインフレ懸念の指摘も(タカ派のドイツ連銀は金融引き締めを繰り返し提案)。
5月6日 フランス大統領選挙 オランド氏(緩やかな赤字削減 財政規律条約の見直し エネルギー価格の凍結 教育等で雇用 所得階層間で所得再配分など)勝利。緊縮財政策への国民の反発は鮮明。51.67%対48.33%。17年ぶりの左派政権誕生。
    同日 ギリシャ総選挙 景気悪化を招いた緊縮推進派が2政党で149。反緊縮派は5政党で合わせて151。組閣は困難に。有権者の7割は反緊縮派に投票。緊縮派は国民の支持失う(2大政党得票率は前回75-80%から32%程度に低下)。『無秩序』なデフォルト可能性高まる。
他方で世論調査では8割近くがユーロ残留望む。10年物国債の利回りは23%を超えた。財政引き締め政策放棄ならEUおよびIMFの資金援助停止 そしてデフォルト宣言へ。
12年の成長率ハマイナス7%の仕組み
デフォルト宣言で予想される事態
○ギリシャの国債を抱える金融機関 とくに欧州の銀行保険会社に巨額の損失 南欧中心に金融システムは混乱に陥る可能性高い
○ギリシャ向け融資の焦げ付きが欧州各国の負担になる
○ユーロ圏の中央銀行の資産内容も悪化する 資金供給力低下する
5月7日 連立工作失敗。
ドイツでは5月13日に重要な州議会選挙
5月9日 EFSF ギリシャに対して10日付けで42億ユーロ融資実行(6月末までにすでに10億ユーロ。総額52億ユーロ5400億円)
5月11日 ギリシャ 銀行の預金残高の急減・手元流動性の低下(早めにユーロを確保する 激しいインフレが予想される 富裕層はスイスなど国外に資産を移動 ギリシャに対する投資の手控えなど) 欧州中央銀行への依存進む また欧州金融安定基金EFSFの融資保留で6月中旬から政府の資金繰りは悪化 6月20日には10億ユーロ不足 政府財政はIMFとEFSFに依存状態へ 
5月14日 ユーロ大幅安(市場はギリシャのユーロ離脱織り込む)。ギリシャでは大統領が実務者内閣案提示。ユーロ圏財政相会議は再びギリシャに財政再建策実行を求める。
5月15日 ギリシャでは実務者内閣の発足の調停失敗。再選挙へ。フランスではオランド氏が大統領に就任。オランド大統領はドイツのメルケル首相と会談。ギリシャに緊縮策遂行を求めてメルケルと歩調を合わせた。(両者の間では成長戦略の食い違いがあるとされる。オランド氏は財政出動色のつよい政策も掲げるのにメルケルは構造改革や規制緩和重視。同様にドイツはECBの金融政策で、構造改革を通じた経済成長を主張している。他方、ECBによる南欧国債の買い入れの再開(3月中旬停止)拡大に抵抗している。)
5月16日 パプリアス大統領 6月17日の再選挙決める
5月18日 ギリシャ 金融5社格下げ ギリシャの10年物国債利回りは30%近くまで高騰(5月6日頃までは20%前後)
33億ユーロの国債償還 欧州諸国設立のEFSFからの42億ユーロ野金融支援でのりきる(当初予定は52億ユーロ 残りの10億は6月末支払い予定2留保)
5月18日 スペインの中央銀行が民間銀行の融資に占める不良債権の比率を3月時点で8.37%とする(2008年までは1%前後だった)。スペイン大手銀行の株価が4月以降大幅に下落。預金流出も生じている。
5月20日 イタリア北部で地震M6.0 死者7人
5月24日 ユーロ首脳会議 共同債に議論はしたものの財政規律の足並みの乱れから金利上昇を懸念するドイツが反対(基軸通貨の条件 実際に決済機能で大きな役割を果たしている 準備通貨としての使用比率 中央銀行の外貨準備1999年の18%から2011年の25%に上昇 ドルの62%と差 単一で規模が大きい短期国債市場も不可欠)。結論は出ず。
5月29日 イタリア北部で再度地震 M5.8 死者17人
5月30日 イタリアの国債入札 10年物が1月以来の高水準の6%に上昇(イタリアは緊縮策のなか復興支援のための増税を翌31日に打ち出す)。5年債で5.7%(2011年12月以来)。スペインの10年債利回りは一時6.6%強。 
5月31日 安全とされる国債に資金集まる。米10年国債利回りは1.5%台(最低記録を更新)。ドイツ10年国債利回りは一時1.2%を下回る(ユーロ建て運用が必要な資金がなだれこんでいる)。他方、スペインの10年国債利回りは6.5%強。米為替市場でユーロの対円相場は一時97円割り込む(2000年12月以来11年半ぶり円高ユーロ安水準 対ドルは一時1.2337ドル。1年11ケ月ぶりの安値水準。)。

アイルランド国民投票で新財政協定可決(5月31日)
5月31日 アイルランドでEUの新財政協定(単年度の財政赤字をGDP比0.5%以内とすること 憲法などに財政均衡の規定を盛り込むこと 違反には制裁措置 17ケ国のうち12ケ国批准で発効 2013年からの発効目指している)についての国民投票実施 (翌6月1日の開票によれば賛成が6割超える)2008年のEU基本条約の批准を国民投票で否決した過去の経験あり(翌年の再投票で可決)
6月1日発表 ユーロ圏失業率11.0%(1995年1月以来最悪 ユーロ圏の現在の経済政策の誤りは明らか) 3月分を10.9%から11.0%に改定 スペインの失業率が24.3%で最悪(3月比で0.2ポイント悪化) ギリシャは21.7%(同0.4ポイント悪化)
6月5日 スペイン 10年国債利回り6.5%前後で推移
6月6日 欧州中央銀行理事会 (2011年12月以来の)政策金利を年1%で据え置きの継続と、金融機関向け資金供給量(3ケ月物資金供給)上限撤廃措置の2013年1月までの6ケ月延長などを決める。(2010年5月から断続的に実施している)南欧債の買い取り停止措置は継続。5月の域内消費者物価上昇率は前年同月比2.2%(政策目標の2%未満を超えている).(政策金利引き下げ 南欧国債買い入れ再開 銀行への長期資金供給再開 銀行への直接資本供給などの 切り札温存)
6月7日 フィッチが最大でGDPの9%に当たる1000億ユーロが必要と公表(スペインの銀行支援)
6月8日 IMFはスペインの金融機関が最低400億ユーロの資本増強が必要になるとの報告書公表。
6月9日 EU財務相会議 スペインへの支援決める 最大1000億ユーロ(10兆円) 銀行部門に限定 スペイン政府に対しEUの資金を使って銀行の資本増強に努めることを求める(EUからの借り入れを政府は優先返済 そのため国債は劣後債に転落する また欧州中央銀行が購入対象とできなるなるとも ⇒ スペイン政府財政悪化懸念をかえって高める ⇒ その後12日にIMFのラガルド専務理事はスペイン政府を経由せず直接、銀行を支援することを求めた)支援の仕組みが不透明であること(投資家期待したESMからスペインの銀行に直接資本を入れる方法でなかった。スペイン政府に返済責任。スペイン政府はESMへの返済を優先することになる)が不安と失望につながる
6月10日 フランスで国民議会(下院)選挙第1回投票
6月11日 オーストラリアの財務相がイタリア支援の必要性に言及
6月13日 ガイトナー米財務長官 記者会見で欧州銀行同盟の早期実現求める
6月12日 スペインの10年債利回り一時6.8%超える(7%越えると危険水域) イタリア国債10年物利回り6.3%前後まで上昇
6月13日 ムーデイズ スペイン国債の格付けを3段階引き下げ
6月14日 スペインの国債が7%(中長期で財政運営が厳しくなる危険水域)に上昇 イタリア国債利回りは6.3%
6月16日 ムーデイズ スペインの金融16社の長期債務格付けを引き下げ

ギリシャ再選挙(6月17日)で緊縮策進めた新民主主義党(ND サマラス党首)が第一党に
6月17日 定数300のうちNDが129(得票率29.7%)。ユーロ離脱のよる経済混乱を恐れた層がNDに投票。緊縮財政に反対する急進左派連合は71(26.9%)。失業者や若者は急進左派を支持。ユーロ離脱は当面回避。しかし国民の不満は残る結果に。(無秩序なデフォルトの前例 2001年12月のアルゼンチン)

フランス国民議会(下院)選挙(6月17日)では社会党が過半数確保
過半数289に対し314を確保。旧与党の国民運動連合は304から194に激減。オランドはすでにアフガニスタンの駐留仏軍の2012年中の撤退(計画より1年早い)を明言。サルコジによって62歳に引き上げられた年金支給年齢を一部60歳に戻す等の措置を決定。成長戦略へのかじ取りで国民の期待を集めている。ユーロ共同債 域内のインフラ整備にEUが保証をつけるプロジェクト債 域内銀行監督の欧州中央銀行への一元化等を唱える

危機対応策 出そろう IMF増資 銀行監督一元化 銀行への直接融資 成長雇用協定の採択(6月下旬)
6月18日 IMF 主要国による資金基盤増強額合計が4560億ドルに上ったと発表 日本が4月に600億ドル 18日からのG20をひかえて中国が430億ドル拠出を表明(ロシア ブラジル インドが各100億ドルなど)協力国は計37け国
6月18日 スペイン(財政赤字GDP比率4%程度 米国の10%、英国の9%)国債10年物の利回りが危険水域とされる7%台(7.3%)に上昇。18日に国内銀行の4月の不良債権比率8.7%に高まったことがきっかけ。イタリアの国債は6.2%
6月18日 G20首脳会議(メキシコのロスカボス)(欧州安定基金などが困難に陥っている国の国債を買う提案も出された)
6月19日 首脳宣言を採択して閉幕 ユーロ圏における銀行監督一元化(銀行同盟 主要金融機関について共通の監督機能 預金保険機 銀行救済基金創設 など 今後具体像詰める)などあらゆる措置をとる。(銀行同盟に向けた行程表の検討が議論された模様) 銀行監督を欧州中央銀行等にに移すことでは合意。IMFの利用可能資金を増加させることで合意。18日ー19日 スペインの国債利回り危機覧異ラインとされる7%上回る。
6月19日から20日 米FOMC 償還までの期限が長い米国債の保有比率を高めるツイストオペの延長(6月30日に期限迎える)が有力視されている
6月20日 ギリシャで3党連立政権樹立で合意。
6月21日 ユーロ圏17ケ国財務相会議(22日あるいは25日までにスペイン政府が銀行支援を正式申請)5月に42億ユーロ資金供給したとき留保した10億ユーロヲ6月末までに供給する決定。 スペイン政府銀行部門の資本不足を最大で620億ユーロ(6兆2000億円)と発表。
6月22日 欧州連合財務相理事会 独仏伊スペイン4ケ国首脳会合
    欧州の成長戦略に1200億-1300億ユーロ充てる方針で合意 共同債では合意できず
    欧州中央銀行 域内の銀行への資金供給の条件緩和を発表(格付けに低下したもののを担保に認めるなど) 
6月23日 ギリシャのサマラス政権 緊縮政策の修正案まとめる(歳出削減の2年先延ばしなど) このほか公務員削減の凍結などを検討。
6月25日 ムーデイズ スペインの金融機関28社の長期債格付けなどを1-4段階引き下げ
6月25日 IMF ECBの財政調査団がギリシャを訪問
    スペイン政府 ユーロ圏諸国に銀行支援を書簡で要請
    ユーロ圏財務相会議 キプロスの金融支援要請受理を発表
6月26日 ドイツのメルケル首相 ユーロ共同債に改めて反対を表明
6月28日 スペインの国債利回りが再び一時7%上回る(ドイツの慎重姿勢が問題を大きくした) スペインの銀行危機 銀行の不良債権2000億ユーロ近い(残高6500億の住宅ローンのうち25%1600億ユーロ このほかのものを合わせて2000億ユーロ超える不良債権) 預金の流出(この1年で1000億ユーロ超える) 資本不足600億ユーロ スペイン政府はGDP比で9%近い赤字
6月28日から29日 欧州連合首脳会議 ユーロ圏の共同債発行など財政統合に向けて踏み込めるか(ドイツが反対)。銀行同盟構想が出されるがドイツが反対(銀行監督だけでなく預金保険・銀行破綻処理基金含むもの 課題 対象銀行ユーロ圏とするか欧州連合全域とするか=イギリリスは全域には反対か。監督の対象はどこまでか。重要な金融機関に限定するか域内の全銀行か。銀行の状況に差があるなかで預金保険制度は統一できるか。)。スペインの銀行への直接注入(ドイツが難色⇒ドイツの原理主義が原因)。域内へのインフラ投資1000億ユーロ超(ドイツが合意するのはこれだけ?)。ドイツのメルケルは自国利益を図り譲歩しない構え。こうしてドイツの一人勝ち(3年連続3%台の経済成長 失業率はドイツ統一以来最低水準)に世界全体が苦しむ異常な事態になっている。ドイツ国内にもドイツの国際的孤立を憂慮する声はある。
 財政規律の緩みを警戒するドイツには北部欧州諸国が同調。オランドフランス大統領らの共同債案に反対。
6月29日 首脳会議 欧州危機対策で合意 危機のスペイン、イタリアへの波及を控えて当面の妥協
 ドイツによる反対を押さえる
 単一の金融監督メカニズムの新設(実質的な意味は銀行監督をECBに一元化すること 2011年1月 欧州銀行監督機構EBA発足)
 メカニズム設置後、ESM(2012夏発足予定)による金融機関への直接資本注入を可能にする(直接資本注入で合意 負の連鎖加速を懸念 当初はスペイン政府系の銀行再編基金に資金を融資する想定だった ドイツが説得された形 銀行免許を含むか不透明 ESMと欧州中央銀行都の関係 欧州中銀が資金供給するか不透明) 
 合意の前提として域内銀行監督の一元化
 FFSFとESMの活用(金融安全網による国債の購入など)
 スペインへのEFSFとESMによる支援融資には民間債権者より上位になる優先弁済権をつけない
 経済成長や雇用促進にむけて1200億ユーロ規模の資金を確保すること(成長雇用協定の採択 欧州投資銀行による600億ユーロの資金支援 欧州委員会が事業保証するインフラ事業債=プロジェクト債50億ユーロ EUの基金550億ユーロを活用した中小企業支援や若年層就業対策 計1200億ユーロを投入 埋蔵金=構造基金や政策機関の調達融資機能の利用が中心)
 EIBの増資を財源にした融資
 EUの低所得者地域向け融資である構造基金の活用
1200億ユーロ規模の成長戦略 成長・雇用協定 合意(28日夜)
 南欧支援の見返りに強力な銀行監督体制の構築(ドイツの要求) 
 財政統合に向けた行程表つくる(財政赤字や債務上限についての合意が必要 経済政策の協調統一 財政経済統合にむけた明確な法的仕組み必要 欧州共同債を中期的に検討など

 ユーロ共同債の議論は先送り
 ギリシャへの金融支援条件としての緊縮財政策・構造改革の達成期限の緩和(GDP比3%を2014年から2年延長)が必要(経済の悪化でギリシャ経済は破綻が進行 緩和しなければギリシャは離脱へ ユーロ内強硬派が反対 条件付きで緩和が妥協線か)

6月末 EUとIMFの分割融資予定日(ギリシャ政府が2013-14年の116億ユーロの緊縮策まとめねばキャンセル)
7月欧州安定メカニズムESM設立予定(常設機関 資本金800億ユーロ 最終的には2014年で資金枠5000億ユーロ 2012-14年にかけ段階的に資本増強)

欧州経済の悪化進むなかロンドンオリンピック開催へ
 欧州は経済破綻からの出口見えず 導入(1999)から13年、統合維持に向けた妥協が成立しなければユーロは破綻 分裂へ
7月2日 EU統計局 5月のユーロ圏失業率11.1%(前月比0.1ポイント悪化) 最悪を更新 25歳以下の失業率は52.1% スペインでは24.6%(o.3point悪化) ギリシアは3月で21.9%(その後数値は公表されず)
7月5日 ECB 利下げ決定 史上最低の0.75%に。預金ファシリテイー金利は0%。⇒ ECBから資金流出へ(当座預金に流出とも) ユーロキャリー取引増加へ(オーストラリア野政策金利は3.5% トルコは5.75%など キャリー取引 リーマンを境に円からドルへ 欧州景気悪化後はユーロが主役に)
 7月6日  イタリアのモンティ政権 歳出削減を閣議決定(消費税引き上げは12年10月から13年7月に先送り)
 7月9日 スペインの国債が一時7.1%超える(再び7%超える) イタリアの国債は6.1%台 ドイツ2年債は一時マイナス金利
 7月10日 ユーロ財務相会議 スペインの財政赤字削減目標の1年先延ばしで合意 資本注入の具体策は議論持ち越しへ
 7月10日未明 同上 スペインに対し7月末までに300億ユーロ支援する方針まとめる 融資期間最大15年 銀行部門の資本不足は最大で620億ユーロ
 7月11日 スペイン
 7月13日 ムーデイズ イタリアの長期債務格付けをA3からBaa2に2段階引き下げ
 7月19日 スペイン 10年物国債が再び7%台に 中長期債の入札が低調
 7月20日 ユーロ圏諸国 スペインの銀行支援を正式に決定 スペイン政府が責任をもつ 救済基金を政府が借りる方式(銀行をEUが直接救済する方式から逆転)最大で1000億ユーロ支援
 市場では銀行が発行した劣後債の価格低下顕著 個人が購入している 
      東部ノバレンシア州が中央政府に支援要請
      NYで一時95円35銭 11年8ケ月ぶりの円高・ユーロ安
      ロンドンで一時7.3%強 95年39銭 11年8ケ月ぶり 
7月23日 欧州市場でスペイン国債 7.6%弱 ユーロ 一時94円台前半
 7月24日 欧州市場でスペイン国債売られる 7.6%強

 7月26日 ドラギ総裁 あらゆる措置をとる ⇒ 具体策に欠ける
 7月27日  独仏首脳が電話協議 27日共同声明
 7月28日 独伊首脳が電話協議(29日 共同声明)

 7月30日 ギリシャ連立3党 追加緊縮 合意できず
 7月31日 EU統計局 6月のユーロ圏失業率11.2% スペインは24.8% 7月の消費者物価は前年同月比2.4%上昇

 8月2日 ドラギECB総裁は南欧諸国国債購入再開方針=新証券市場プログラム示すが 時期 規模示さず  ユーロ圏が安定基金による国債基金買入を先行させることを条件 時期や規模は示されず、市場を失望させる(バイトマン ドイツ連銀総裁が反対 フィンランドやオランダの中央銀行が中央銀行の独立性の観点から反対 北部欧州の不満)政策金利年0.75%据え置き
 8月3日 スペイン政府 (1000億ユーロに加えて)追加支援要請か
 追加緩和編期待っからスペイン国債ンp金利ガ下がる(7月下旬から8月上旬7%越える)。8月24日 3.7%強

今後
 ESMへの銀行免許付与に踏み込めるか ユーロ共同債の創設に踏み込めるか
 9月 欧州安定メカニズム稼働?
 10月 IMF世銀年次総会(東京)

ギリシャについての今後の破綻シナリオ
 ギリシャがユーロ離脱した場合:通貨の信認確保できず(破局的インフレ ギリシャ経済の最終的な崩壊へ) 過剰債務と低競争力のほかの国も離脱そしてユーロは崩壊へ。ギリシャ政府は緊縮財政の緩和(達成期限の延長など 景気後退の悪循環)求めるがドイツなどが拒否か。9月初めEU/IMF/ECBなどトロイカによる共同査察団査察で歳出削減が進んでいないと判断が出るのでは。出ればEUの支援停止。ギリシャは離脱へ。
 離脱を想定して銀行から預金の引き出しが続く(新しい通貨はユーロに対して大幅な減価が予想されている 国内物価の急騰 輸出が回復としても貧困化進む)。
 あるいは9月6日 欧州中央銀行理事会。何か対策を出せるか。
 9月12日 ドイツの憲法裁判所が欧州救済基金が合憲かで出す判断。
 9月12日 オランダ下院選挙 投開票(反緊縮の野党、社会党が支持を広げる可能性)
 波乱要因が続き、ギリシャだけでないスペインに飛び火する可能性。

ユーロ混乱が収まらない原因:ドイツなどの財政規律主義
 ユーロ導入の背景 1985年の市場統合合意 1990年10月東西ドイツ統一 1993市場統合開始(マーストリヒト条約発効) 
 1999 現金伴わない取引でユーロ導入(基準は政府債務の対GDP比60%以下 財政赤字は3%以下 など 60%基準満たせない国も解釈で通す 第一陣11ケ国 ギリシャ不合格) 2000 ギリシャ再審査通る 2002 ユーロの現金流通導入
 ギリシャ、スペイン、アイルランド、ポルトガルの共通点(ユーロ導入後 資金調達環境好転の反面 経常収支の赤字 対外債務がともに拡大 競争力は低下)
 ユーロ危機拡大の一因はとくにドイツにある。ドイツは経済果実=ユーロの配当の独占 市場拡大効果を獲得 対外純資産拡大 ユーロ内不均衡を拡大 さらにユーロ安により ドイツの国際競争力も高めている。このように果実を独占しながら負担を拒否している。共同負担=ドイツの金利があがる共同債も拒否している。
 確かにドイツは何もしていないわけではない。中央銀行システムを通じて、ドイツ連銀の貸出債権を膨張させている。これが南欧中銀の資金をささえ、南欧の衝撃クッションになっている。これはただちにドイツ連銀の損失を意味しないが、貸し倒れリスクを負わされている不満がドイツにはたかまっているようだ。 
 こうしたなか、ドイツは債務国に緊縮策を強要 他方で欧州中央銀行による国債購入策も否定(ECBによる国債購入政策の否定 2010年5月ECBは証券市場プログラム開始したが2011年前半は休止 2011年8月再開したものの2012年3月中旬負再び新規国債購入停止されている 2011年12月 2012年3月 貸付機関3年の資金を約1兆ユーロ供給)、共同債構想にも反対。こうした状況のため、対策を動かすことができない。
 このようにドイツが振る舞うのは、経済果実を独占している自覚がないからだと思える。過度な財政規律主義が、不況を深めることで、経済破綻を広げヨーロッパの不安定、しいてはドイツの不安定にもつながることをドイツに説得する必要がある。同じことがドイツ同様の主張を唱える財政規律強硬派の国々についてもいえる。  

originally appeared in May 3, 2012
corrected and reposted in Aug.25, 2012
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Economics」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事