年内に縮小緩和を始め 14年半ばに証券の新規購入を停止する 2013年6月のバーナンキ発言
米国の2013年前半の実質成長率は1.4%
米国の量的緩和縮小(金利上昇)の観測から2013年春頃より(明確には5月以降)新興国通貨が安くなっている(輸入価格上昇 インフレ 消費低迷 政情不安 外貨準備による自国通貨買い介入+政策金利引き上げ)。
とくに ブラジル インドネシア インドなど(投機の対象となり売り込まれている 背景は巨額の経常赤字 ユーロ危機 新興国からの資金引き上げ 新興国経済の失速 一次産品価格の下落 アラブの春による石油価格の高騰)。(直接投資中心の資本流入のため流出は限定的。国際商品価格は下限でピークから4割減。先進国経済回復により価格は底入れか。通貨下落により輸出促進効果。通貨支援協定の強化 など通貨危機回避要因も上げられる)
別の視角からすれば 経常赤字国からのマネー逃避(金利上昇 → リスク回避高まる)資本流出が生じている リスクの高い新興国から資金が流出 先進国へ 2013年5月22日のバーナンキ発言が引き金 新興国では株価が下落
そこで流動性対策という視点でのこれらの国では金利引き上げ 自国通貨への買い介入が生じている。
新興国に為替相場の柔軟性を要求するのかどうか。新興国は先進国の金融緩和が景気過熱 通貨高を引き起こすという立場
先進国の金融緩和 新興国は予防的利下げで対抗 自国通貨高(自国通貨上昇)を抑える(輸出競争力確保 投資マネー流入抑制)たとえば米国の量的緩和第三弾で香港に資金流入。株高、不動産高。香港では香港ドル売り介入実施(2012年10月)。同様の問題は韓国、インド、フィリッピンなどにも。しかし各国地域では警戒感が強い。インドではGDP鈍化の中での株高に、企業業績や経済指標に根差したものではないとの指摘。
米国の金融緩和縮小で新興国が景気減速覚悟の利上げに追い込まれる構図が鮮明に 新興国への配慮が必要!
20130915 サマーズ元米財務長官(クリントン政権下 ハーバード大教授など 雇用と成長拡大 金融緩和にやや否定的) FRB議長への指名辞退へ(民主党内 上院民主党の反対意見で挫折 性格の強引さ 量的緩和に批判的 大学長時代の失言突かれる 対立候補はイエレン副議長ーバーナンキ路線の継承、出口戦略に慎重 スティグリッツ・コロンビア大学教授 ブラインダー・プリンストン大教授 全米女性機構などが支持 しかしオバマはサマーズを選ぶつまずく)→ 緩和の持続観測高まる 米金利はそれほど上がらない ドル買い(円売り)はにぶる可能性
20130918 米FOMC 9対1で縮小緩和の見送り決める 雇用(8月の雇用統計 前月比の雇用増は非農業部門の雇用者数16万9000人 市場予測下回る 7月の10万4000人から増えたが20万には届かず)と住宅(8月の住宅着工件数 前月比3.8%減とブレーキかかる)になお不安 フォワードガイダンス(将来の金融政策方針をあらかじめ示す)が未熟 バーナンキは失業率も魔法の数字でない(就業のしやすさ 雇用の改善が今後も続くと確信できるか) 雇用情勢は期待にほど遠い(8月の失業率7.3% オ。1ポイント改善 2008年12月以来の低水準 失業率の低下は職探しをあきらめた人の増加によるとの指摘) と 記者会見で明言 金融政策の先行きの不透明感増す(シリア情勢 連邦政府の債務上限問題がまた浮上) 失業率6.5% 物価上昇率2%が目標 物価は目標値を下回り 失業率は目標値を上回っている 米金利の上昇 国債は売り 物価上昇率が2.5%以下なら 失業率が6.5%を下回るまで金融緩和を続ける 問題は金利の上昇にある
他方 経常収支が改善している メキシコ 韓国などは通貨も持ち直している
韓国 過去最高の経常黒字
メキシコ 米景気回復 対米輸出増え貿易収支も改善(現在は小幅の経常赤字)
インドルピー 人口12億2371万人(2012年) 一人当たりGDP1491ドル
12年度の経常赤字GDP比率は4.8%
背景 経常赤字大きく(GDPの2%以上) 海外投資家が資金引き上げ
金輸入の制限 対外直接投資の規制強化
原油の8割を輸入依存 通貨安 インフレ 個人消費縮小
8月16日 一時1ドル62ルピー台まで下落 5月以降ルピー安急進展
8月14日 中央銀行が
国内企業の国外直接投資を制限する資本規制発表 投資額上限を自己資本の400%から100%に引き下げ
問題は資本流出でなく 貿易赤字と指摘される(農業から工業への転換遅れる 就業人口の6割はなお農業)
21日 1ドル64ルピー台まで下落 5月初めに比べて19%安
シリア情勢緊迫 原油高 インドのほかトルコなどに影響()ともに経常赤字がGDPの5%以上 原油などを輸入に頼る
9月4日 ラグラム・ラジャン氏 準備銀総裁に就任(50歳 MITで経済学博士 2003-2006IMF調査局長 その後シカゴ大教授 2012年からインド財務相主席経済顧問) 8月のWPI上昇率ハ6ケ月ぶりに6%台に上昇(4-6月 3四半期連続 4%台4.4% 実質経済成長率は4%台に落ち込んでいる 潜在成長率は7~8%とされる 政府の目標は6%台 8月30日に政府は目標を5.5%に下げている 通貨ルピーが5月から20%超下落)
9月20日 インド準備銀行 約2年ぶりに利上げ 政策金利を0.25%引き上げ7.50% インフレ抑制明確に インフレの高止まりが成長率を抑えている 内需減速という理解(GDPの6割を占める個人消費の伸び率は3年前までは平均8%程度 現在はその半分以下 GDPに占める製造業の比率は15%程度で低い 産業構造の高度化必要)
ブラジル 人口1億9836万人(2012年)
一人あたりGDP1万2078ドル
ブラジルでは 連続利上げ 市場介入 により 通貨レアルの下落を抑えようと必死だ。
2014年ワールドカップ開催国
これは通貨の下落が輸入物価の上昇に直結するため。2010年実質経済成長率7.5% 2011年2.7%に減速 2012年1.5%程度
12年1~3月 前期比0.2%増 年率換算0.8%程度
12年7月~9月の成長率 前期比0.6%増 年率換算では2.4%程度と低調
2012年10月ブラジル中銀 基準金利0.25%引き下げ(11年8月より10会合連続 累計5.25%下げ 今回は8人中3人が据え置きを主張)7.25%史上最低 11月は利下げ休止 低成長の前に政策転換へ 海外マネー抑制から呼び込みへ
2012年の消費者物価上昇率は5.5%の上昇 通貨安()輸出の4割は工業品航空機など・・・意外に工業国
→ インフレになる恐れ
流入促進へ
1~3月の実質経済成長率前年同期比1.9%(前四半期1.4%)依然として低調 潜在成長率は3.5%程度(4%とも)
1月の消費者物価指数6.15% 前年同月比
3月の消費者物価指数6.59%と高い(中銀の政策目標の6.5%より微妙に高い)
4月17日 1年9ケ月ぶりに0.25%利上げに転じる 年7.5%(8人中2人が据え置き主張)
4月の消費者物価指数6.49%(中銀の政策目標6.5%に近い→追加利上げか 決定会合8人中2人は反対)
5月29日 通貨政策委員会 0.5%引き上げ8%とする を決める インフレの封じ込みを優先
5月31日 レアル対ドル1ドル2.1324レアル 2009年5月以来4年ぶりのレアル安 1~3月のGDP 前年同期比伸び率1.9%
6月の消費者物価は前年同月比6.7%上昇
6月株価下落 24日 09年4月以来4年2ケ月ぶりの安値
インフレ通貨安 物価上昇 利上げ 景気悪化 通貨安・・・の悪循環が懸念される
4~6月 成長率前年同期比3.3%(11年同期比3.3%以来の伸び) 4四半期連続で改善
7月までに3回利上げ 断続的に市場介入 10日0.5%引き上げて年8.5% 3回連続引き上げ
7月31日 一時1ドル2.3レアル台4年4ケ月ぶりの安値
背景 最大の輸出品目の鉄が中国減速の影響受ける 大きな経常赤字に(GDPの2%以上)
同様の問題はオーストラリアでも起きている 鉄石炭の輸出減少 価格下落 鉱山閉鎖 開発延期などの影響
石油やガスを輸出するロシアでも輸出額減少
南アフリカではプラチナの価格が下落
8月16日 1ドル2.34レアル前後出推移年初に比べ12%安
21日 1ドル2.4512レアル 2008年12月以来のレアル安
8月22日 中央銀行が年末にかけ600億ドル規模の市場介入発表 毎週5億ドル規模の通貨スワップ このほかスポットでレポ取引→ レアル売りの勢い鈍化
8月28日 基準金利を0.5%引き上げ年9.0%とする 4回連続の引き上げ→景気悪化懸念
7月の消費者物価上昇率は前年同月比6.27%上昇(前年同月比1.1ポイント上昇)
失業率5.6%(同前0.2ポイント上昇)
レアルは1ドル2.34レアル前後
7月~9月の成長率 前期比0.6%増 年率換算では2.4%程度と低調
インドネシア 人口2億2360万人 世界4位
一人当たりGDP3560ドル 3500ドル超え 若年人口多く人口ボーナス享受できる
現在は財政収支 経常収支の双子の赤字に悩む 輸入物価上昇によるインフレの加速
5月下旬から株価下落(5月20日に過去最高の5214 ジャカルタ総合指数 そこから下落
それまでは欧米の量的緩和 内需型企業の好調を背景に年初来20%上昇 人件費 エネルギー価格の上昇 ルピア安などマイアンス要因)
昨年夏以降 ルピア安進む(貿易収支 経常収支の赤字拡大が背景) 6月中ばから急落 資源価格の低迷 輸出の減少
輸出の6割が資源 石油 ガス 石炭 バーム油など 2012年貿易収支 経常収支ともに赤字になる
鉱業かタイと異なり製造業に厚みがない タイ:自国内で一貫生産して輸出
インドネシアの場合は生産増えると部材や工作機械の輸入が増える問題
牽引は自動車産業 代表的企業にアストラインターナショナル
6月11日 金融政策決定会合に先行して翌日物中銀金利を0.25%引き上げ 13日の会合で政策金利くぉ0.25%引き上げ(ルピア買いにより中銀の外貨準備が減少している 5月末で1051億ドル 4月末比2% 前年同月比6%減)
6月18日 3年6ケ月ぶりのルピア安 1米ドル9955ルピア 株安 さらに債券安 10年物国債利回りが6.5%台 5月には5.5%前後から上昇
7月11日 中央銀行2ケ月連続で利上げ決める (一時2009年9月以来のルピア安)
8月23日 輸入制限 投資優遇など発表
28日 1㌦1万1000ルピア前後まで下落 09年4月以来の水準 1週で5%の急落
株価も8%下がる
8月29日 中央銀行が緊急利上げ決定0.5%上げて政策金利は7%に
株価も下げている
経済成長の鈍化と資金流出(経常赤字体質)が悩み
インドネシア トルコ インドなどで 外貨準備急減(市場介入のためとされる)
他方 量的緩和をどのように縮小するかについても議論が進んでいる。現在は月額850億ドル単位で米国債などを購入。
まず200億ドル単位で縮小する(一案では3ケ月単位で200億ドル減らして来年6月にゼロ)。
3段か4段の数段階に分けるとの意見が多い
小刻みに100億ドル単位で縮小する。
購入資産の市場売却は避けるとの見方が多い。
縮小の開始は9月との予想が多数。
失業率、物価という2大目標をどう設定するか
物価上昇率2%近い 証券購入減額の目安
失業率約7%がQE3停止時の数値。7%程度 景気回復の指標(13年7月は7.4% 2009年当時の
9%後半から低下)。
6.5%に下がるまではゼロ金利を続ける(逆にいうと6.5%は政策金利引き上げの目安)
5-6%完全失業率の目安